慰安婦問題について、いろんな報道: さよなら(^_^)/~ #韓国【 #日韓国交正常化50年 】、朴正煕氏の評価、半世紀で一変  始まりは“用日” 残された“反日”。ついに「核武装」を訴えた韓国の最大手紙 「米国は今度こそ許してくれるはずだ…」

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2015年6月18日木曜日

さよなら(^_^)/~ #韓国【 #日韓国交正常化50年 】、朴正煕氏の評価、半世紀で一変  始まりは“用日” 残された“反日”。ついに「核武装」を訴えた韓国の最大手紙 「米国は今度こそ許してくれるはずだ…」

2015.6.18 07:00更新 【日韓国交正常化50年】産経ニュース
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朴正煕氏の評価、半世紀で一変 
始まりは“用日” 残された“反日”
日韓両国が基本条約に調印し、
国交正常化に踏み切ってから22日で丸50年。
韓国国内の猛反対を押し切り、正常化を決断したのが当時の大統領、
朴正煕(パク・チョンヒ)だ。「売国奴」呼ばわりされた朴正煕に対する評価は、
この半世紀で一変した。



 1962年11月12日、東京・外務省で大平正芳外相(右)と
日韓国交正常化交渉を行う金鍾泌中央情報部長(肩書は当時、
「写真と読む 大統領朴正煕」から)
   寒村のイメージを抱いていたので、そのにぎわいぶりに拍子抜けしてしまった。
韓国・亀尾にある朴正煕元大統領の生家(藤本欣也撮影)

韓国南東部、慶尚北道・亀尾(キョンサンプクド・クミ)にある朴正煕の生家。 
土壁の家屋自体は粗末だったが、周囲には記念館や焼香所、公園が整備され、
観光客が押し寄せていた。1日平均2千人以上-。
 「優れた大統領のおかげで私たちは幸せに暮らしています」
「強力な改革だけが韓国を維持できる」
「将来、朴正煕大統領のような政治家が再び現れたらいいのに」。
寄せ書き帳を見ると、強いリーダーを求める声や賛辞であふれている。
 だが、およそ半世紀前には、それからは想像もつかない光景が広がっていた。
 1964年6月3日、ソウル中心部。
「韓日交渉を中止せよ」「屈辱外交を許すな」「売国奴を殺せ」
 催涙弾が飛び交う中、大学生ら1万5千人以上が集結し、
治安当局と衝突を繰り返した。

夜、戒厳令を布告したのは当時の大統領、朴正煕その人だった。
デモ隊がやり玉に挙げたのが、日韓国交正常化の秘密交渉に当たっていた
朴大統領の側近で、後に首相を務める金鍾泌(キム・ジョンピル)(89)だ。
61年5月16日、朴正煕が主導した軍事クーデターの中心人物の一人である。
 金鍾泌は今年、韓国紙への寄稿で、日韓国交正常化を
「(クーデターに続く)第2の革命だった」と振り返っている。
朝鮮戦争(50~53年)で壊滅的打撃を受けた韓国経済は最貧国の水準。
「近代化のための資金を何としても捻出しなければならなかったのだ」
 日韓国交正常化の立役者とされるのが、大統領の朴正煕の命を受けて
秘密交渉に当たった金鍾泌である。
中央情報部(KCIA)の初代部長を務めた金は
「反日より、“用日”こそ困難な道である」という話をよく朴と交わしたという。
 日本を用いて経済発展の道を探る-。
1962年に始まった経済開発5カ年計画は莫大(ばくだい)な資金を必要としていた。
 当時、ソウル大学生で学生運動のリーダーの1人だった玄勝一
(ヒョン・スンイル)(73)と金道鉉(キム・ドヒョン)(72)に、かつて学生たちが
デモ隊を組織した光化門(クァンファムン)前の大通り沿いのホテルで会った。
 「朴正煕のリーダーシップで韓国が発展を遂げたのは事実だ。
が、だからといって軍事クーデター、人権・民主化弾圧などを許すことはできない」
玄は逮捕され服役した後、米国に渡った。
帰国できたのは79年に朴正煕が暗殺されてからだ。
その後の民主化過程で、国民大学の総長や国会議員を務めた。
 「反日デモというより、クーデターで樹立された朴政権への不満、
批判が爆発したデモだった」
 こう振り返る金道鉉は、文民大統領の金泳三(キム・ヨンサム)政権
(93~98年)時代に文化体育省次官などを歴任した。
 国交正常化の前年に起きた6月3日の騒乱は、韓国の近代化を優先する勢力と、
民主化を求める勢力の衝突でもあった。
民主化勢力も反日を利用して朴政権打倒を目指した意味では、
“用日”だったのである。
 朴政権は、日韓国交正常化の果実である日本の資金や、
米欧の援助を元手に60年代中盤以降、10%を超す高度経済成長を実現。
「漢江(ハンガン)の奇跡」と評された。
  その朴正煕の最大の政敵が、
民主化勢力リーダーの金大中(キム・デジュン)だった。
97年の大統領選に出馬した金大中が保守派の票を取り込むために利用し たのが、
朴正煕の生家だ。
投票の約2週間前に生家を訪れて和解を演出、劣勢を覆し勝利を収めた。
いわば“用朴”である。
 以後、朴人気も裾野が広がり、96年に約4万2千人だった生家の観光客数は昨年、
実に69万人を数えた。
 “用日”から始まった日韓国交正常化。
50年がたち近代化と民主化が一通り達成された韓国に、
むき出しの反日が残された。
反日より困難な道、つまり新たな対日戦略を打ち出せる強いリーダーシップこそ、
韓国には求められている。=敬称略 (藤本欣也)

【プロフィル】朴正煕(1917~79)
  韓国・慶尚北道亀尾の貧しい農家に生まれる。
大邱(テグ)師範学校、満州国軍官学校、日本の陸軍士官学校卒。
満州国軍中尉で終戦。
朝鮮戦争を経て韓国軍での地歩を固め、陸軍少将だった61年、
5・16軍事クーデターを主導して全権を掌握し、前年の李承晩(イ・スンマン)政権
崩壊に伴う内政の混乱を収拾。 
63年から5期にわたって大統領を務めた。
開発独裁型の統治を推し進め、民主化勢力を弾圧する一方、
高度経済成長を達成した。
反政府暴動の高まりの中、 79年に側近に暗殺された。
現大統領の朴槿恵(パク・クネ)氏(63)は長女。

【用語解説】日韓国交正常化
  日韓両政府は14年間の交渉を経て、1965年6月22日に
日韓基本条約に調印(同年12月18日に発効)、国交が正常化した。
付属協定では、日本側が韓 国に「無償3億ドル、有償2億ドル」を供与する一方、
双方の財産・請求権については「完全かつ最終的に解決された」と明記された。
しかし韓国側は近年、元慰安婦の賠償請求権は残っているとの主張を強めている。 

「早読み 深読み 朝鮮半島」
ついに「核武装」を訴えた韓国の最大手紙 
「米国は今度こそ許してくれるはずだ……」
鈴置 高史  >>バックナンバー
2015年6月4日(木)3 4  5 6 7
誰からも止められず、核武装を着々と進める北朝鮮。
焦った韓国人が「我々も核を持つ」と言い出した。

次の核実験で宣言
鈴置:韓国の朝鮮日報が「核武装」を訴えました。

朝鮮日報は韓国で最大の部数を誇る保守系紙です。
日本の新聞業界で言えば、読売新聞のポジションと似ています。

 書いたのは楊相勲(ヤン・サンフン)論説主幹。

政治部長、編集局長を経て論説委員会入りした、
韓国保守論壇の本流中の本流の人です。
それもあって、この「核武装論」は見過ごせません。

 以下は、その「金正恩も、恐れさせてこそ平和を守る

(5月21日、韓国語)のポイントです。
朴槿恵(パク・クンヘ)大統領は、北朝鮮のミサイルを

先制打撃するシステムであるキル・チェーンと、韓国型ミサイル防衛(MD)で
十分(北の核に)対応できると言う。
だが、それが技術的に可能になるには相当の時間がかかる。
さらに核保有国を相手に、成功するか不確実な先制攻撃をするというのは
机上の空論だ。
今の韓国にそれを命令する大統領も、実行する軍も、耐える国民もいない。
MDの重要手段である終末高高度ミサイル防衛(THAAD=サード)も、

数十発のミサイルを同時に発射された場合、対応できない。
国家間の平和の本質は恐怖の均衡だ。

「自分も死ぬ」という恐怖が双方にあってこそ戦争は防げる。
核国家である北と、非核国家である南の間の最も大きな危険は、
恐怖の不均衡にある。
それを均衡させるために、有事の際は

金(正恩=キム・ジョンウン=第1書記)を含む北の指導部を「
最優先」で「必ず」除去するという斬首作戦を、対北抑止戦略の
第1の軸に据えるべきである。
第2の軸は核武装の選択権を持つことである。

今後、北が核によって挑発した時に、
米国の拡大抑止の実効性がないことが確認された場合には、
韓国も即座に核武装すると予告しておくのが核選択権だ。
北が4回目の(次の)核実験を実施し、

核ミサイルの実戦配置が確認された瞬間が、大韓民国が核選択権を
明らかにすべき時期と思う。
月城原子力発電所(慶尚北道慶州市)の重水炉を利用すれば、

核武装には2年もかからない。我が国の技術をもってすれば、核実験の必要もない。

1年半以内に核選択権
 重水炉から出る使用済み核燃料は、核兵器への転用が比較的容易です。
1970年代に朴正煕(パク・チョンヒ)大統領が
月城原発への重水炉の導入を決めたのは、
核兵器開発を念頭に置いたためと言われています。

「核武装論」とはいえ、今すぐの話ではないのですね。
鈴置:北は近く4回目――次の核実験を実施する可能性が高いのです。
1回目は2006年、2回目は2009年、3回目は2013年です。
このペースから判断して、2015年か2016年に4回目が実施されると見られています。
 そして4回目の実験で、核弾頭が実用化段階に達して
――ミサイルに載せられるほどに小型化して
――実戦配備される、と見る専門家が多い。
 ですから、もし楊相勲論説主幹の主張が採用されれば、
1年半以内に韓国が「核選択権」を宣言する可能性が増すのです。

「弱腰のオバマ」は信頼できない

でも「核選択権」の宣言から、
次の段階の「核武装」に進むには条件が付いています。
鈴置:その通りです。
「米国の拡大抑止の実効性がないことが確認された場合」との条件です。
「米国の拡大抑止」とは、北朝鮮が韓国を核攻撃すれば、
必ず米国は北を核報復する――との見通しから、
北が韓国攻撃を思いとどまる、という意味です。
 ただ、韓国人はここを
――米国が本当に核報復してくれるかを、疑い始めたのです
韓国が北によって核攻撃された際、米国が在韓、在日米軍基地、
あるいはグアムへの核攻撃のリスクを甘受してまで
北朝鮮を核攻撃してくれるのかと、韓国人は考えるようになったのです。
 この記事では触れていませんが、
米国の大統領が「弱腰のオバマ」であることも、韓国人の不安をかきたてています。
 一方、北の指導者は粛清で権力を維持する、何をするか分からない若者です。
韓国人にとっては最悪の組み合わせなのです。
 もっとも米国は北朝鮮の核の脅威の増大を受けて、
日本とはMDを共同で開発する一方、在韓米軍基地やグアムへの
THAAD配備を計画するなど、努力しています。

侵攻後に「核を使うぞ」

米国の拡大抑止、要は「核の傘」ということでしょうが、
それが破れているのではないかとの恐れですね。

鈴置:その通りです。
日本人だって「実は破れ傘ではないか」と心配してもいいのですが。


韓国人はなぜ、米国を疑うのでしょうか。
鈴置:「米国に捨てられた」記憶があるからです。
まずは、朝鮮戦争の引き金になったアチソン国務長官の声明。
「韓国は米国の防衛線の外にある」ことを表明したもので、1950年の話です。
 もっと古くには米国と日本が、朝鮮とフィリピンの支配権を
お互いに認め合った1905年の「桂―タフト協定」があります。
 韓国紙はいまだに「米国から捨てられる不安感」を
大きく書きます(「日米の『同時格下げ宣言』に慌てる韓国」参照)。
アチソン声明も桂―タフト協定も、彼らにとっては昔の話ではないのです。
 北朝鮮と領土を接する韓国ならではの、極めて困惑するシナリオもあります。
北が通常兵力による攻撃と、核威嚇を組み合わせたらどうなるか、考えて下さい。
 北が韓国に侵攻した場合、米韓両軍は空軍の攻撃により
北朝鮮の兵站線や指揮部を叩きます。
これで侵攻を食い止める計画であり、空軍力が北の冒険主義を
抑止しているわけでもあります。
 でも今後は、核武装した北が
「爆撃への報復として核兵器を使うぞ」と恫喝するかもしれません。
米韓両国は逡巡し、韓国の一部を北に占領されたまま、
休戦に応じる羽目に陥るかもしれないのです。

未曾有の恐怖と混乱

核を持った北は、通常兵力の使用を逡巡しなくなる、ということですね。
鈴置:その通りです。
さらに注目すべきことがあります。
このケースでは、北は核を使っているわけではない。
ただ「使うぞ」と言うだけです。
 米国はその北に対し核攻撃はかけにくいのです。
そして米韓両軍は、通常兵力による反撃もしにくくなってしまいます。
 楊相勲論説主幹の言う「北が核によって挑発した時に、
米国の拡大抑止の実効性がないことが確認された場合」とは、
このようなケースを念頭に置いているのです。
 この記事では、2010年に砲撃された延坪島を含む西海5島
――ソウル西北の黄海上にあって、北朝鮮と
目と鼻の先で対峙している韓国領の島です
――に北朝鮮が侵攻する可能性が高い、と指摘しています。
 さらに楊相勲論説主幹は「こうした北の挑発に対抗できない場合、
韓国社会には未曾有の恐怖と混乱、内紛が起きるであろう」と警告しました。
 結局、核を持った北朝鮮が次回、小規模なものでも通常戦力を行使した際に、
韓国が「核武装」に動く可能性が大きいのです。
その前に「核選択権」を宣言してあれば、ですが

「核選択権」の元祖

「核選択権宣言論」は韓国でどう受け止められていますか?
鈴置:掲載されて2週間経った今も、メディア上に大きな反応は見られません。
ただ、この記事が掲載される少し前の5月12日に、
保守運動の指導者、趙甲済(チョ・カプチェ)氏が同様の主張を訴えています。
 実は、趙甲済氏こそが「核選択権」の元祖的存在です。
左派から「極右」と批判されるこの人の意見を、大手紙がついに掲載したのです。
韓国の保守指導層に「核選択権」の合意が形成されつつあるように見えます。
 趙甲済氏の記事
核ミサイル実戦配備に対応する政策を国民投票に付せ!
(韓国語)の論旨は以下です。

大韓民国の憲法72条には「大統領は必要だと認めれば

外交、国防、統一、その他の国家の安危に関する重要な政策を
国民投票に付すことができる」とある。
大統領は「国民投票案」に「自衛的核武装の権利の確認」を入れることができる。
国連と国際社会が北韓政権の核武装を防ぐことができなかったことにより、

大韓民国は国家の生存次元で核武装を含むすべての自衛的な手段を
考究する権利を持つとの宣言だ。
国民は必要なら核拡散防止条約(NPT)も脱退する権限を政府に付与する。
NPT第10条の規定によれば、韓国は北韓の核武装を防げなかった

NPT体制から脱退する権利がある。
核選択権を政府に委任するとの案が国民投票を通過し、

政府がNPT脱退を検討した瞬間、韓国が核問題解決の主導権を握ることになる。
中国と北の指導部に深刻な悩みの種をもたらすであろう。
 楊相勲論説主幹の記事と比べ、より具体的です。
「国民投票にかけて核選択権の権威を増す」とか
「NPTからの脱退を検討する」とか、
核武装が世界に受け入れやすくなる手法を提言しています。

 なお、趙甲済氏も
北韓の潜水艦が釜山港のそばから核ミサイルを撃ったなら?
(5月9日、韓国語)で、
「西海5島への攻撃と、核を使うぞとの威嚇により、
米国は北朝鮮にどんどん譲歩するのではないか」との懸念を表明しています。

70%弱が「核武装に賛成」


国民はどう考えるでしょうか。
鈴置:被爆国、日本とは大いに異なり、韓国人には核兵器への忌避感が薄い。
例えば、世論調査すると70%近い人が
――3分の2の韓国人が核武装に賛成します。
 例えば、3回目の核実験(2013年2月12日)の直後に
韓国ギャラップと、峨山政策研究院が国民に聞いています。
 核武装に賛成した人はそれぞれ64%と66.5%に上りました
(「今度こそ本気の韓国の『核武装論』」参照)。
もっとも、大手メディアが核武装を主張することはタブーだったのです。
 朴槿恵大統領の就任式の日の2013年2月25日
――3回目の核実験の直後でしたが、朝鮮日報は社説で
核武装を検討する必要性を説きました。
 ただ、この社説「北の核を切りぬける新しい国家安保戦略が必要だ」では
「核」という単語は一切使いませんでした
(「今度こそ本気の韓国の『核武装論』」参照)。
 「北朝鮮から核兵器で脅されている韓国としては、
国際協力などとは別次元の軍事的・政治的な対処方法を
独自に模索するしかない」と、読む人が読めば分かる書き方に留めたのです。

原子力協定改定で"解禁"

なぜタブーだったのですか?
鈴置朴正煕政権(1963-1979年)が核武装に動き、
米国に潰された過去があるからです
朴正煕大統領暗殺もそれに絡むとの見方さえ韓国にはあるのです。
もちろん米国もそれをしっかりと覚えています。
 娘の朴槿恵大統領が初めて訪米した時、米議会調査局(CRS)は
U.S.-South Korea Relations」(米韓関係)という報告書で
「韓国の核武装への希求」をはっきりと指摘しました
(「『独裁者の娘』を迎える米国の険しい目」参照)。
 それに加え、2010年から韓国は米国と原子力協定の改定交渉に入り、
ウラン濃縮や使用済み燃料の再処理の権利を要求していました。
 大手メディアが核武装論など書こうものなら、
米国から「ウラン濃縮などの要求は核保有が目的だな」と見なされ、
交渉が不利になるのが確実でした。
 2015年4月22日に、新たな米韓原子力協定が仮署名されたので、
核武装論が"解禁"になった面もあると思います

水中発射が最後の一撃

5月9日に北朝鮮が
「潜水艦から弾道ミサイルを水中発射する実験に成功した」と発表しました。
これも韓国の「核武装論」の背中を押したということですか?

鈴置:ええ。
それが最後の一撃となったと思います。
北朝鮮の実験が本当に成功したか、疑問を持つ向きもあります。
しかし、もし本当なら、米韓両国は対北軍事戦略を
根本から見直す必要に迫られます。
 これまでの計画では、北が核ミサイルを発射しようとしたら、
それを察知し、発射前にミサイル基地に攻撃をかける
――キル・チェーン――で防ぐつもりでした。
 でも「察知」が可能なのは陸上のミサイル基地。
水面下から撃たれたら発射前に察知するなんて、とてもできないのです。
 このため、韓国が北の核ミサイルを防ごうと思ったら、
韓国も核ミサイルを持つしかない――との結論に至るのです。
 日本とは異なって、国民の間に忌避感がありません。
今後「核への希求」が一気に表面化する可能性があります。

核武装論のバイブル
 趙甲済氏は、韓国の核武装や、
その前段階の「核選択権」の必要性を説いた本を、
2014年に日本語で出版しています。『韓国の自衛的核武装論』です。
 朴正煕時代の核武装の試みと、米国の牽制によって断念した経緯を
丹念に取材し書いています。
韓国の参考になるとして、インドやイスラエルの核開発にも詳しく言及しています。
韓国の核武装論のバイブルといえる本です。

核武装に関し、韓国政府はどう考えているのでしょうか。

鈴置:分かりません。
ただ言えることは保守の指導層には、核武装のような戦略的動きは
朴槿恵政権にはできないと見る人が多いのです。
 ポピュリズムそのままに、その場その場で
一番受けそうな行動をしているだけ、との冷ややかな見方です。
 だからこそ、核武装論者は「核選択権の宣言」や「国民投票」
へのムードを盛り上げて、政権をそちらに動かそうとしているのでしょう。

日本も駒のドミノ

「核武装するぞ」と韓国が言えば、日本や台湾もその方向に動く。
それを嫌う中国が北から核兵器を取り上げるはず、
との狙いも核武装論者にはあるのですか?

鈴置:そうした「口先介入によるドミノ効果」も、あることはあるでしょう。
が、本音は「自分も核を持つ」ことではないか、と思います。
なぜなら「口先介入によるドミノ」はさほど効果がないと
韓国では見なされ始めているからです。
 趙甲済氏は『韓国の自衛的核武装論』の第4章「北核の後援者は中国」で、
米国に対抗するため中国こそが北朝鮮などに核を拡散させてきたのだと説きます。
 そして第5章「イスラエル式の秘密核開発」(178頁)などでは
「北は米中の間で緩衝の役割をしているため、
中国は日本が核武装をすることがあっても、北の核武装を止めないだろう」
とのリー・クアンユー・シンガポール首相の発言を引用しています。
 もし、核武装論者が期待するなら、中国ではなく米国でしょう。
オバマ政権は北朝鮮にまんまと騙されて以来、
北の核問題からは身を引いています。
 北が核やミサイルを実験しても非難するだけ。
「戦略的忍耐」と呼んでいますが、はっきり言えば
この問題を放置したままなのです。
 6月16日に米韓首脳会談がワシントンで開かれます。
朴槿恵大統領は、この場で切羽詰まる北の核問題の解決を
オバマ大統領に迫るべきだ、との声が韓国にあがっています。

朴正煕の復讐劇

「核武装論」を持ち出せば、オバマ大統領も
少しは本気になって北の核阻止に動くかもしれない、ということですね。
鈴置:もう1つあります。
「暗黙に」でしょうが、米国が韓国の核武装を認めるかもしれない、
との期待が韓国にはあるのです。
 カーター(James Earl "Jimmy" Carter, Jr.)政権(1977-1981年)時代に
大統領国家安全保障担当補佐官を務めた
ブレジンスキー(Zbigniew Kazimierz Brzezinski)氏が、
2012年に『Strategic Vision: America and the Crisis of Global Power』を書きました。
 この本の114ページでブレジンスキー氏は
「米国の力が弱まると、その核の傘の信頼性が落ちる。
すると韓国や台湾、日本、トルコ、ひいてはイスラエルでさえ
新たな核の傘を求めるか、自前の核武装を迫られる」と指摘しています。
 安全保障の専門家として名高いブレジンスキー氏が、
韓国の核武装を自然な流れと認識し、
食い止めるべき対象とは書かなかったのです。
 そしてこの本を、韓国各紙は一斉に社説で取り上げています
(「『中国に屈従か、核武装か』と韓国紙社説は問うた」参照)。
 米国の大きな変化に気づかない日本人が「寝ぼけて」いるのであって、
韓国人はそれを織り込んで「自前の核」を語り始めているのです。
朴正煕の屈辱の歴史を塗り直す核武装を――。

米国も今度は許す? 韓国の核武装 
核抑止論が専門の矢野義昭客員教授に聞く(1)
2015年6月11日(木) 3 4 5 6
韓国で浮上する核武装論。核抑止論が専門の
矢野義昭・拓殖大学客員教授(元・陸将補)は
「今度は米国も認めるかもしれない」と言う
(司会は坂巻正伸・日経ビジネス副編集長)。 

朴正煕時代から核開発
矢野:鈴置さんの記事「
ついに『核武装』を訴えた韓国の最大手紙」を面白く読みました。

誰も止めない北朝鮮の核武装。これに焦った韓国の保守が
「いつでも核武装できる権利――核選択権――を
我が国も持つと宣言しよう」と呼び掛けた、との話でした。
矢野:それを「宣言抑止」と言います。
核兵器を持たない国が「あなたが核で私を脅したら、こちらも即座に持つよ」
と予め宣言しておくことにより、仮想敵の核攻撃や威嚇を防ぐ手法です。
 もちろん核兵器を短期間に開発できる能力があることが前提となります。
そして韓国はその能力を持っています。
朴正煕(パク・チョンヒ)時代からプルトニウムの抽出技術に取り組んだ結果です。
 弾道ミサイルや巡航ミサイルなど、核の運搬手段もすでに保有しています。
6月3日、韓国軍は射程500キロの地対地の弾道ミサイルの発射に成功しました。
射程800キロのミサイルも開発中です。
また、潜水艦から発射する巡航ミサイルも開発済みです。

朝鮮半島に「核の均衡」
鈴置:注目すべきは
「作ってしまえば、米国も核武装を認めてくれる」と韓国人が考え始めたことです。
矢野:まさに、そこがポイントです。
私も、韓国の核武装を米国が黙認する可能性が高いと見ています
北朝鮮の核武装を止める手立てがほぼない、という厳しい現実からです。
 鈴置さんがあの記事で指摘したように
「北が核を持つことで、南を軍事的に挑発する可能性」が増しました。
つまり、米国から見れば戦争に巻き込まれるリスクが高まったのです。
 このリスクを減らすには韓国にも核武装させて、
南北朝鮮の間で「核の均衡」を作ればよい、という理屈になるのです。
 例えば、仮想敵に囲まれるイスラエルの核武装を米国が黙認したのも、
中東での戦争に巻き込まれないためです。

米国が日本と進めるミサイル防衛(MD)に韓国も加わればいいのではないですか。

MDでは撃ち漏らす
矢野:公式的には米国もそう言っています。
でも、自分のミサイルで敵のミサイルを落とすMDは万全ではないのです。
大量のミサイルで攻撃された時、撃ち漏らしが出てくるからです
 これを「飽和状態」と言います。
完全に核攻撃から身を守る手段がない以上、信頼できる同盟国の
核保有を認めるのもやむを得ない、との考え方もあるのです。
 核兵器の製造技術は世界に拡散しており、核分裂物質と
適当な資材があれば、誰でも初歩的な核兵器を作れるようになりました。
米国は世界的に「同盟国の核」を黙認する方向にあると思います。
 中東をご覧下さい。
先ほど申し上げたように、米国はイスラエルの核武装を黙認しました。
イスラエルは公表していませんが、300発近い核弾頭を持つ、
英仏並みの核保有国です。
 さらに、米国はイランとの核協議で和解し、
その核保有を黙認する可能性が出てきました。
「イスラム国」(IS)との戦いで、米国はイランの地上戦での協力を必要とするからです。
 今後、米国から核を黙認されたイスラエルとイランの間で、
核の相互抑止体制が成立するのかもしれません。
 そのイランを念頭に、サウジアラビアが核保有に動く可能性が高まっています。
中国から「東風3」など弾道ミサイルを輸入済みです。
核弾頭に関してもパキスタンの核開発に当初から資金を提供しており、
入手に障害はないと見られています。

緩くなった「韓国に対する縛り」
 中東で、地域の主要国に核を持たせて均衡する、
という新たな核政策に米国は転換しつつあるように見えます。
それが朝鮮半島にも及びかねないのです。
 兆候と言うべき動きがあります。
2012年に米韓ミサイル協定が改定され、韓国は射程が
800キロまでの弾道ミサイルを持てるようになりました。
それまでは300キロでした。
これでは北朝鮮の北東部へはミサイルは届きませんでした。
 2015年4月には米韓原子力協定が見直され、仮署名に至りました。
様々の制限は付いていますが、韓国はウラン濃縮も可能になり、
使用済み燃料の再処理も自由度を増しました。
鈴置:改定された原子力協定でもかなり制限が付いています。
米国が「韓国の核武装」を黙認したとは言いにくいと思いますが。
矢野:でも、核の縛りが緩くなったのも事実です。
米国の同意――暗黙裡の同意も含みますが
――さえあれば、韓国は核開発に動けるようになったのです。

「黙認の時代」が始まる

「核の黙認」の時代が始まるというのですね。
鈴置:米国の外交誌で「アジアの同盟国に核を持たせるべきか」
で議論が起きました。
 2014年1月30日、The National Interestは戦略国際問題研究所(CSIS)の
デヴィッド・サントロ(David Santoro)シニア・フェローの
Will America's Asian Allies Go Nuclear?」を載せました。
 「韓国や日本が核武装に走る可能性が出てきた。
その際、米国はそれらの国との同盟を打ち切るべきだ。
核拡散防止条約(NPT)体制の崩壊を呼ぶからだ」との主張です。
はっきり言えば、韓国や日本の核武装は何があっても止めるべきだ、
との意見です。
 これに対し、新アメリカ安全保障センター
(Center for a New American Security)のエルブリッジ・コルビー
(Elbridge Colby)フェローが2月28日、同じ雑誌に
Choose Geopolitics Over Nonproliferation」を寄稿して反論しました。
 その主張は見出し通り
「事実上破綻している核不拡散を守るよりも、
       同盟国をつなぎ止めておく方が重要だ」です。
 2つの意見は真っ向から対立します。が、共通点もあります。
「北朝鮮が核兵器を持ち、中国が膨張するのに対抗し、
韓国や日本が核武装に走るのは当然だ」との認識です。

日本も核を持て
矢野:ちょうどその頃、日本に対して核武装を勧める
米国の安全保障専門家が登場しました。
ウォルドロン(Arthur Waldorn)ペンシルバニア大学教授が
2014年3月7日の日本経済新聞で「核武装の勧め」を書いています。
鈴置:そうでした。
経済教室欄に寄稿した「米国との同盟、過信は禁物」ですね。
肝心の部分は以下です。

日本のミサイル迎撃システムは、おそらく世界の最先端だが、

英国やフランスに匹敵するような安全保障を提供できないことは
明確に理解する必要がある。
システムが「飽和状態」になってしまう、つまり対処できる以上の

攻撃にさらされる可能性があるからだ。
大規模な通常兵器と核兵器を開発している敵対的な中国を背景に、

これらの事実は、日本がこれまで考慮してこなかった、
政治的に微妙だが現実的で避けることのできない問題を突きつける。
日本が安全を守りたいのであれば、英国やフランス、その他の国が

保有するような最小限の核抑止力を含む
包括的かつ独立した軍事力を開発すべきだ。

2014年に変わった米国の姿勢

なるほど、はっきりと核武装を勧めていますね。
矢野この記事が載った少し後、訪日した別の米国の安保専門家も
少数の日本人の前で核武装の勧めを説きました
 「日本は米国から原子力潜水艦を購入すべきだ」との言い方でした。
核武装を前提にした議論でして、核ミサイルを発射するための
プラットフォームも必要だから整備しろ、という意味です。
 米国の専門家の間では
「日本人に対し、核武装を認めるような発言をしてはならない」
との暗黙の合意がありました。
でもそれが、2014年初めを境に突然、変わったのです。
鈴置:矢野さんは2014年に核抑止に関する共同研究のため、
フランスに滞在されました。
欧州の専門家は「アジアの核」をどう見ているのでしょうか。

ドゴールの核の独立
矢野:フランスの複数の核の専門家が
「韓国が核兵器開発を念頭に置いていることは我々も承知している。
驚くにはあたらない。北朝鮮がそれを実際に進めていてかつ、
韓国には潜在能力があるからだ」と語っていました。
 これが世界の常識的な見方でしょう。
日本は被爆国ですから国民は核に対し強い忌避感を持ちます。
しかし、韓国人に核アレルギーはありません。
そして過去に侵攻してきたうえ、
今も厳しく敵対する国が核兵器を持ちつつあるのです。
 東西冷戦下の1960年、フランスは初の核実験に成功し、核保有国となりました。
「米国の核の傘の信頼性への不信」からです。
 米国は様々の特恵と引き換えに、
仏の核の引き金も共同で持とうと持ち掛けました。
しかし、フランスは拒否したのです。当時のドゴール大統領は
「どの国も、自分のためにしか核の引き金は引かない」と信じていたからです。
 旧・西ドイツのアデナウアー首相も核を持ちたかった。
しかし敗戦国であり、フランスや英国など他の欧州諸国からの不信感が根強く、
とても持てなかった。そこで「核シェアリング」の権利を確保しました。

西独の核シェアリング

「核シェアリング」とは?
矢野:西ドイツは米国が自国内に配備した戦術核の使用に関し
平時から訓練しておく。緊急時には米大統領の承認を得たのちに
核兵器を譲り受けて使用する――権利です。
 「核の引き金」は米大統領が握っているので真の「シェアリング」とは言えず、
象徴的な権利に過ぎません。
それでも西ドイツは、緊急時には核を使える可能性を確保したのです。
 ちなみに、韓国の軍事的な環境は西ドイツに似ています。
国土が狭くて――つまり奥行きがないというのに――地続きの、
北朝鮮と中国の強力な通常戦力の脅威に直面しています。
 英国は1952年に核実験に成功し、いち早く自前の核を持ちました。
しかし国力の限界から、現在は抑止専用の自衛的な核戦力に留めています。

英国の切り札は潜水艦

具体的には?
矢野:原子力潜水艦に核兵器を載せて、これを核報復力としたのです。
鈴置:先制核攻撃を受けても、位置を発見されにくい潜水艦は生存できる。そ
こで他国に対し「もし我が国を核攻撃したら、
潜水艦から核で報復するよ」と脅せるわけですね。
矢野:その通りです。潜水艦は陸上の核ミサイル基地と比べ、
敵の先制核攻撃からの残存性が高い。
そこで、報復の切り札に使うのが合理的なのです。
 日経に論文を載せたウォルドロン教授も、訪日して
「米国製の原子力潜水艦を導入せよ」と語った米国の専門家も、
英国方式の――潜水艦搭載型の弾道ミサイルによる核抑止力を持て、
と言っていると思われます。
 なお、英国は「潜水艦の核」に関し、
自前の核弾頭と原子力潜水艦を運用していますが、
潜水艦搭載型の弾道ミサイルは米国から「ポラリス」を導入しました。
米英は1962年のナッソー協定(Nassau Agreement)でこれに合意しました。
 いずれにせよ、欧州各国の「核の歴史」からすれば、
アジアの同盟国に独自の核戦力を持たせて抑止力を増そう、
と米国が考えても何ら不思議ではないのです。

「衝動的な人々」と核
鈴置:日本は敗戦国のうえ、原爆を落とされていますから
「核を持たせれば、それで復讐してくるかもしれない」との恐怖が米国にはあったでしょう。
 韓国人は「情緒的に不安定な人たち」との認識を米国の指導層からも持たれがちです。
例えば1972年に訪中したニクソン大統領は、周恩来首相に以下のように語っています。

朝鮮人は、北も南も感情的に衝動的な(emotionally impulsive)人たちです。

私たちは、この衝動と闘争的態度が私たち(米中)両国を
困らせるような事件を引き起こさないよう影響力を行使することが大切です
(『ニクソン訪中機密会談録』=日本語=100ページ)。

 原文は「Nixon’s Trip to China」の「Document 2」の17ページで読めます。
 米国にとって「自分たちと同じ人間が住む欧州」と比べ、
アジアは「信用できない人たちの地域」でした。
未だにそうした見方が根強いと思います。
はて、アジアの核も「欧州並みに」と米国人が考えるでしょうか。
矢野:「韓国が核を持ったら、黙認してもいい」と米国が考える動機が
急速に膨らんでいるのです。
それは「北朝鮮の核武装」というローカルな理由に留まりません。
米国の軍事戦略が根本から変化しているからです。

10年後には「北朝鮮」がもう1つ? 
核抑止論が専門の矢野義昭客員教授に聞く(2)
鈴置 高史  2015年6月12日(金) 3 4 5 6 7
 米国が止めても韓国は核武装する――。
矢野義昭・拓殖大学客員教授(元・陸将補)と
「朝鮮半島の核」の展開を読んだ(司会は坂巻正伸・日経ビジネス副編集長)。 

大戦争はできない米国

前回の矢野さんのお話は、韓国の核武装を米国が黙認するかもしれない。
北朝鮮の核武装に加え、米国の軍事戦略が世界的に変わったからだ、
ということでした。
矢野:東アジアと西太平洋で、米中の軍事的な力関係が
逆転する可能性が出てきました。
米国は今後10年間で1兆ドル近い国防費を削減します。
一方、中国は成長率の鈍化にもかかわらず
毎年、軍事費を2桁のペースで増やしています。
 米国の陸軍と海兵隊は、アフガン戦争以前の水準に削減されます。
そんな米国に、数10万人もの死傷者が出るような
大規模の地上戦はもう、不可能なのです。
 米国が絶対に避けたいのは2つ。まず、中国との核戦争に拡大する
恐れのある紛争に巻き込まれること。
もう1つは大規模の地上兵力を長期に派遣すること、です。
鈴置:米国は、同盟国を守るという約束を果たせるのでしょうか。
矢野:難しくなります。
米国は今でさえ、1つの戦争をすることで精一杯です。
下手すると今後は、同盟国の領土の回復にさえ直接は関与できなくなります
 そこで「韓国や日本などの同盟国が独自の核抑止力を持つことを黙認し、
中国や北朝鮮の侵攻を防ぐ」という選択を米国がするかもしれない、
との見方が広がっているのです。

有事の際、米軍は後退
鈴置:ブレジンスキー (Zbigniew Kazimierz Brzezinski)
元・大統領国家安全保障担当補佐官が「
米国の力が弱まると、その核の傘の信頼性が落ちる。
すると韓国や台湾、日本、トルコ、ひいて はイスラエルでさえ
新たな核の傘を求めるか、自前の核武装を迫られる」と書いたのも、
そうした判断からなのですね。
 2012年に出版した
「Strategic Vision: America and the Crisis of Global Power」の114ページです
(「ついに『核武装』を訴えた韓国の最大手紙」参照)。

米国が「エア・シー・バトル」(Air Sea Battle)という、
新しい戦争の方法を検討してきたと聞いています。
矢野:その構想でも、有事の際は中国のミサイルの集中攻撃を避けるため、
在韓米軍も在日米軍もいったんは後方に分散退避することになっています
今後は基本的には韓国の防衛は韓国の、日本のそれは日本の責任となります
 背景には、中国の中距離以下のミサイルの増強があります。
その脅威から逃れるため、米軍はグアム以東に後退します。
米国の一部シンクタンクは、
米軍が反攻に転じるのは1カ月以上先になると見積もっています
 2015年4月に18年ぶりに改定した日米防衛協力のための指針
(ガイドライン)では、日本有事の作戦構想から地上作戦時の
「極力早期の兵力来援」や、米空海軍による
「打撃力の使用を伴う作戦」を示す文言は抜け落ちました。

必敗の精神
鈴置:そこで発生する問題は、アジア有事の際
――つまり在韓米軍に後退されてしまった後の韓国が、
北朝鮮の脅威に精神的に耐えることができるか、ですね。
矢野:そこなのです。韓国人の米軍に対する依存心の高さを見ると、
とても耐えられるとは思えません。
鈴置:韓国国会の国政監査で議員が
「米国の支援なしに我が国単独で北と戦ったらどうなるか?」
と聞いたことがあります。
核を考えずに、通常戦力だけで戦ったらどうなるか、との想定です。
 軍の幹部がきっぱりと「負ける」と答えたので問題になりました。 
韓国の経済力は北朝鮮の40倍あります。
どうやったら負けるのか、外国人には理解しがたいのですが、
重要なのは多くの韓国人がそう信じていることです
 韓国には徴兵制度があって、多くの男性が軍隊に行く。
このため国軍の「必敗の精神」が国民に広く浸透してしまうのだ
――と解説してくれた韓国の記者がいます。
 なお「負ける」発言が問題になった主な理由は
「言ってはいけない本当のことを、軍幹部が語ってしまったから」でした。

崩れる「中台」軍事バランス

有事に米軍が後退する可能性が高まったことも、
韓国の核武装を加速する、ということですね。

矢野:その通りです。
鈴置:1970年代に朴正煕(パク・チョンヒ)大統領が
核武装を考えたのも在韓米軍が削減され、いずれは完全撤収もありうる、
と見られたからです。
 韓国を巡る安全保障の環境は今と似ています。
1970年代の核武装計画は、米国の強力な圧力で挫折しましたけれど。

「在韓米軍や在日米軍が後方に引くような」有事とは、
具体的にはどんな状況ですか?
矢野:例えば、中国と台湾の軍事衝突です。
中国が台湾に侵攻した場合、米国はそれに「抵抗する能力を維持」することで
台湾を支援せねばなりません。米国の台湾関係法で定められているからです
 現在、台湾が持っている空と海の優勢
――昔の言葉で言えば制空権と制海権ですが
――は2020年代前半に、中国側に傾くと見られます。
 そうなれば中国が台湾を軍事的に威嚇する可能性が高まります。
これが軍事的衝突に拡大する懸念があります。
 一方、台湾はそれを防ぐための核武装を考えるかもしれません。
すると、ますます衝突の可能性が増します。
中国は、台湾の核武装を侵攻の条件の1つに掲げているからです。

南シナ海が試金石
 あるいは中国が沖縄県の先島諸島
――「尖閣」や与那国島、石垣島、宮古島に対し、
今以上に挑発の度を高める可能性があります。
 この際、1995年と1996年の台湾海峡危機と同様に、
ミサイル演習と称して中国が沖縄周辺に、
あるいは東京湾を出たあたりの公海に多数の実戦用弾頭を
撃ちこんでくるかもしれません。
こうなっても在韓、在日米軍が後退する可能性があるのです
 今、南シナ海で米中のつばぜり合いが激しくなっています。
もし、中国の人工島の埋め立てを米国が阻止する力を見せないと、
中国は「米国弱し」と見て台湾や沖縄でさらに強気に出てくるでしょう。

鈴置:20年前の台湾海峡危機の時、
米国は空母打撃部隊を台湾周辺海域に送って中国を牽制しました。
今度は反対に、後ろに引くかもしれないとは……。
矢野:中国のミサイルの性能が急速に向上しているためです。
中国が最近開発した対艦弾道ミサイルの射程圏内
――大陸から1000カイリ以内の東シナ界や南シナ海には有事の際、
米空母打撃部隊は入らないでしょう。

米空母はもう、来ない
鈴置:「空母キラー」と言われる「東風21D」のことですね。
でも、本当に実用化に成功したのですか? 
超高速で大気圏に再突入する弾道ミサイルを、
30ノットで動く艦船に当てられるものでしょうか。
矢野:確かに、そう疑う向きもあります
。ただ、同時に多数の「東風21D」に狙われたら、
直撃されなくても大きな被害が出るでしょう。
 至近弾に留まったとしても、炸裂した弾頭から放出される
約1000発の子弾によって、米艦船は通信電子装備に深刻な損害を受けます。
そのリスクを考えただけで、
射程内の海域から空母を引き上げざるを得なくなります

結局、米中が衝突した時、これまで頼みの綱だった米空母は
助けに来ないかもしれない、ということですね。
鈴置:その可能性を考えただけで、韓国人は核を手にしたくなるでしょう。
北朝鮮の挑発があれば必ず米空母が急行してくれる
――というのが韓国の常識になっていますから。

朴正煕時代の韓国ではない

韓国が核を持った場合、米韓同盟はどうなるのでしょうか。

鈴置:韓国には「核兵器を開発しようとすれば経済制裁されて阻止される」
「同盟を打ち切られる」と懸念する声もあります。
朴正煕政権当時の米国の強力な圧力の記憶が、未だに残っているのです。
 保守運動の指導者で核武装論者である趙甲済(チョ・カプチェ)氏は
この懸念に対し、以下のように説得しています。
核開発して滅びた国はない」(5月14日、韓国語)から引用します。

世界5大工業国、5大原子力技術国、7大輸出国、8大軍事力(通常兵力)、

8大貿易国に浮上した韓国が中国側に傾けば、日本も対抗できないし、
中国はユーラシア大陸の覇権国家になる。
こんな韓国が中国と北朝鮮を牽制するために核兵器を持とうとするからといって、

米国が韓国を制裁できるのか? 
韓米同盟は重要であり韓国にとって米国は大事だが、
同じように米国にとっても韓国は大事なのだ。
朴正煕大統領が1976年頃に核開発を放棄したのは、

韓国の原子力発電所に協力しないと圧迫を受けたためだ。
だが、2015年の韓国は1976年の韓国ではない。

核さえあれば、こちらのもの
 趙甲済氏ら核武装論者は「北の核にはどんなことをしても対抗しなければ、
韓国は生き残れない」との悲愴な判断と「核武装すれば道は開けるし、
それしか道はない」との覚悟を抱いているのです。

米国が反対しようが韓国は核を持つということでしょうか。

鈴置:趙甲済氏らはそこまではっきり言っていません。
しかし、そうなっていく――容易に強行突破論に転化し得ると思います。
 矢野先生との議論は「韓国の核を米国は黙認するか」がテーマでした。
また、米国の外交誌「The National Interest」で起きた
「同盟国に核を持たせるべきか否か」という論争も
「米国が同盟を打ち切るぞと脅せば、同盟国は核武装をあきらめる」
との前提が ありました(「米国も今度は許す? 韓国の核武装」参照)。
 でも韓国の場合、米国の脅しの効果は急速に薄くなっています。
「もう、昔の弱い韓国ではない。米国の言いなりにはならないぞ」
という意識が強まっていますから。

「核さえ持てば何とかなる」と、
後先考えずに核武装に走るかもしれない、ということですね。

破綻する米韓同盟
鈴置:いわば、核至上主義――北朝鮮と同じ発想です。
もう1つ、見落とすべきでないのは「完全中立化に伴う核武装」の可能性です。
 朴槿恵政権は2013年2月のスタート以来、
事実上の米中等距離外交を採用しました。でも、限界に達したのです。
 米国が北朝鮮のミサイルに備え、在韓米軍に終末高高度防衛ミサイル
(THAAD)を配備しようとしています。
 一方、それが自分の核の威力を減じる目的と考える中国は
「配備を認めたら核攻撃の対象にするぞ」と脅します。
韓国はどちらにも「NO」と言えないので頭を抱えています。
 北朝鮮の脅威から米国に守ってもらいながら、米国による防衛に反対する
――。この韓国の奇妙な態度は、米韓同盟の矛盾に根ざしています。
 韓国の主要敵は北朝鮮であって、絶対に中国ではない。
一方、米国のそれは中国であって北朝鮮ではない。
米韓同盟は主要敵が完全に異なってしまった
――はっきり言えば、破綻しつつあるのです

南シナ海でも「離米従中」
矢野:THAADだけではありません。
南シナ海を舞台に激化する米中対立もそうです。
中国は各国の反対を押し切って、南シナ海で埋め立て工事を実施し、
軍事基地を作っています。
 これに対し米国を中心に日本、豪州、フィリピン、ベトナムなど
関係国がこぞって非難しています。というのに韓国は知らん顔です
鈴置韓国の気分は「もう、中立」なのです
韓国は「南シナ海の領有権と我が国は関係ない」と逃げ口上を打っています。
 しかしそれは言い訳です。中国は、米国とその同盟国を狙う
核ミサイル原潜の隠れ家にしようと、南シナ海の内海化を進めているのです。
 中国の顔色を伺うばかりでそれに反対しない韓国を
米国はどう見るのでしょうか――。
6月3日、ラッセル国務次官補はワシントンのシンポジウムで、
韓国に対し批判の隊列に加わるよう迫りました。
 米国も二股外交の韓国に、堪忍袋の緒を切ったのです。
かといって韓国が対中批判に加われば、中国から苛め抜かれるでしょう。
 ラッセル発言は韓国で大きな問題となりました。
中央日報の「米国務次官補『韓国が南シナ海紛争に声を高めるべき』

(6月5日、日本語版)で読めます。
独島を日本から取り返される

韓国の「板挟み状態」は厳しくなる一方ですね。
鈴置:だから、悩んだ韓国が米韓同盟の破棄を考えるかもしれないのです。
そうすれば、THAAD配備問題も南シナ海問題もきれいになくなります。
 もちろん今すぐ、という話ではありません。
何らかの「引き金」がいると思います。
例えば、米中の軍事的な対立が深まって、中国が韓国に対し
「在韓米軍基地を攻撃するぞ」と脅した場合です。
 韓国は米国に対し「軍隊を引いてくれ」と頼む可能性が高い
そうなったら米韓同盟は消滅します。
同時に韓国は核武装に乗り出さざるを得ない。
 対北朝鮮はもちろんのこと、中国や日本に対しても核が必要になるからです。
米国の後ろ盾がなくなれば、
中国が韓国に対し無理難題を突きつけるのは確実です。
日本も独島――竹島を取り返しに来る、と韓国人は信じています。
 でも「核さえ持っていれば中国や日本になめられないで済む」――のです。
「韓国の核」は北朝鮮専用ではありません。

グリップが効かない核保有国
矢野:韓国は北京や東京にも届く弾道ミサイルの開発に取り組んでいます。
これに通常弾頭を載せても効率が悪い。
日本や中国への核威嚇が念頭にあるのは間違いありません。
 朴槿恵政権の米中等距離外交も「仮に米国と縁が切れても、
核を持っておけば中国の言いなりにならないで済む」
という発想が根にあるように思えます。
鈴置:世論もそうです。
「核さえ持てば、慰安婦問題だって日本は頭を下げてくる」などと
上手にナショナリズムに火を付ければ、韓国社会に
核武装論が一気に盛り上がると思います。
 そもそも国民の70%弱が核武装に賛成です
日本とは異なって核アレルギーはありません。
だから強力な反対勢力は存在しないのです
(「ついに『核武装』を訴えた韓国の最大手紙」参照)。
 むしろ韓国には「核を持たないから馬鹿にされるのだ」との思いの方が強い。
「慰安婦」で米国が日本の肩を持ったとの理由で、
ネットに「核武装して米国から独立しよう」との声が溢れる国なのです
(「『ヴォーゲル声明』に逆襲託す韓国」参照)。
 もっとも「同盟国でなくなる韓国」の核に関しては、米国は阻止するかもしれません。
米国のグリップの効かない核保有国は何をするか分からないからです。
情緒が安定した国とは言えませんしね。
米国や日本にとって“北朝鮮”がもう1つできては困るのです。

『朝鮮半島201Z年』

鈴置さんは近未来小説『朝鮮半島201Z年』で米中が取引し、
韓国が核武装する前の段階で北の核を取り上げたうえ、
朝鮮半島全体を中立化する――と予想しました。

鈴置:米国は同盟国を1つ失う代わりに、戦争に巻き込まれるリスクを軽減する。
中国は北朝鮮への軍事作戦という汗をかく代わりに、韓国から米軍を追い出す
――という談合が米中間で成立するのです、この小説では。
 中国だって韓国に核を持たせたくはない。
台湾や日本の核武装の呼び水となりかねないからです。
それに南北双方が核を持てば、この半島を操りにくくなる。


朝鮮半島の非核化を実現するためとはいえ、
米国が簡単に同盟国を手放すでしょうか。
鈴置:先ほど申し上げたように、米韓同盟自体が巨大な矛盾を抱えています。
いつまで持つか分からない同盟なのです。
苦労して維持する必要があるのか、
首をひねる米国の安全保障専門家が出始めました。
 「米国との同盟がなくなった後、中国の恐ろしい素顔を見れば
韓国は戻ってくる」と言う専門家もいます。
米軍基地を追い出した瞬間、中国にミスチーフ礁をとられた
「フィリピン体験」を韓国にもさせよう――というわけです。

米中は「半島」では仲がいい

米中関係は悪化する一方です。
小説のように米国と中国が朝鮮半島に関し「談合」できますか?

鈴置:十分可能です。
米中はこの半島に関しては一種の合意があるからです。
前回も引用しましたが、1972年に訪中したニクソン大統領は、
周恩来首相に以下のように語りました。今回は後半部分に注目下さい。

朝鮮人は、北も南も感情的に衝動的な(emotionally impulsive)人たちです。

私たちは、この衝動と闘争的態度が私たち(米中)両国を
困らせるような事件を引き起こさないよう影響力を行使することが大切です
(『ニクソン訪中機密会談録』=日本語=100ページ)。
 原文は「Nixon’s Trip to China」の「Document 2」の17ページです。

 「感情的に衝動的な朝鮮人」が起こした朝鮮戦争のために、
米国は5万人もの若者の命を失いました。
中国は数10万人の戦死者を出したと言われています。
 米中がいかに敵対しようと
「この不愉快な地域に再び足を取られてはならない」
との共通の思いは変わらないのです。

核はこっそり開発できる
矢野:米中の思いは確かにそうでしょう。
でも「鈴置シナリオ」には難点があります。
核兵器はこっそり開発できるのです。
「非核化」させたはずの南北朝鮮が、いつのまにか核を持つかもしれない。
 そうなったら元の黙阿弥です。それよりか、
インドとパキスタンのように「顕在化した核均衡」の方が安定的です。
鈴置:なるほど、そうかもしれません。「中立化」によって
南北が米中との同盟を破棄した後は、
大国の監視や干渉は受けにくくなるでしょうしね。
矢野:結局、2020年代前半に
――10年以内に日本は、潜水艦に搭載した核ミサイルを持った
南北朝鮮と対峙することになる可能性が相当にあるということです
鈴置:そうなるかもしれないし、そうはならないかもしれない。
でも可能性が出てきた以上は、
そうなった時のことを考えておかねばならないでしょうね。

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