日本漁船も操業するロシア200カイリ内サケ・マス流し網漁を
来年1月から禁止する法案をロシア上院が可決した。
 法案は、プーチン大統領が来月8日までに署名すれば成立する。
 この海域では根室などの漁船が操業し、漁を継続できなければ
道東経済を直撃する。
日本政府は時間が限られた中で、存続に向けて全力を尽くしてほしい。
 同時に、禁止になった場合に備え、
国や道は影響を最小限に抑える方策を練り上げるべきだ。
 ロシアは禁止の理由として、日本の流し網漁が
資源の減少につながっていることを挙げる。
確かに網を固定せずに流して魚をからめとる流し網漁は、
国際的に風当たりが強いのも事実だ
 だが、昨秋の2国間協議でロシア側は資源量について、
おおむね良好としていた。
それがなぜ変わったか。唐突感が否めない
 ウクライナ問題をめぐって日本はロシアに制裁を科した。
ロシア議会での一連の動きが、日本に対抗するものとしたら筋違いだ
 そもそもロシア200カイリ内での操業は、
1985年の日ソ漁業協力協定などに基づき行われてきた。
割当量や入漁料は毎年、日ロの政府間交渉で決めてきた
 この海域でとれるベニザケは、高級品として引き合いが強く、
魅力ある漁場である。
 流し網から定置など他の漁法への転換も考えられるが、
それでは採算割れを起こしかねない。
 とりわけ、流し網漁業者の多くは春から夏にかけてサケ・マス、
引き続きサンマなどを手がける。
こうした通年操業のサイクルが崩れれば、
地域漁業の衰退を加速させかねない。
 北洋サケ・マスの裾野は広い。関連産業を含めた
道東への影響額は250億円に上る。
うち漁業・水産加工業が150億円以上を占める―。
これは根室市の試算だ。
 こうした事態を見過ごすわけにはいくまい。
 考えられる手だての一つは、サケ・マスに代わる魚への転換だ。
北太平洋公海でのサンマ漁への転向を探る動きもある。
ただ、既存漁業者への影響が出てくる可能性が指摘される。
 また、養殖など栽培漁業へのシフトも俎上(そじょう)に載せるだろうが、
これも重い初期投資がネックだ。
 先行きが見えにくい中、関連企業への低利融資や
減船があった場合は補償も必要である。
国と道は地域の実情に即した対策を打ち出してもらいたい。