慰安婦問題について、いろんな報道: 鈴置 高史、コリア・アズ・No.1 「従中」するにも「卑日」が要。韓国人の「自嘲」が生んだ「卑日」 今度は日本が見下される番だ。「卑日」で日本から“独立”目指す韓国 四半世紀前には「崇日」国家だった 2015年8月6日。これが「卑日」だったのか―― 世界遺産妨害の次は天皇提訴 鈴置 高史 2015年7月23日

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2015年8月11日火曜日

鈴置 高史、コリア・アズ・No.1 「従中」するにも「卑日」が要。韓国人の「自嘲」が生んだ「卑日」 今度は日本が見下される番だ。「卑日」で日本から“独立”目指す韓国 四半世紀前には「崇日」国家だった 2015年8月6日。これが「卑日」だったのか―― 世界遺産妨害の次は天皇提訴 鈴置 高史 2015年7月23日

「早読み 深読み 朝鮮半島」

コリア・アズ・No.1 「従中」するにも「卑日」が要
鈴置 高史 >>バックナンバー 2015年8月11日(火) 2 3 4 5 6 7
「卑日」は止まらない。韓国が中国に従う以上は。 

「日本に勝った」と言い合っても……
前回は「韓国人はなぜ世界で日本を貶めようとするのか」
という話で終わりました。
鈴置:答えは「韓国人にはまだ、本当の自信がないから」です。
韓国人同士で「日本を超えた」と言い合っても、確信が持てない。
 そこで世界の人に「韓国が日本よりも上だ」と言ってもらうべく、
国を挙げて世界中で日本の悪口を言って歩くわけです。
 韓国の国際政治学者、李春根(イ・チュングン)博士の著書
米国に堂々と対した大韓民国の大統領たち』(日本語版)は、
その意味で冒頭から興味深いのです。
 原著の韓国語版は2012年に出版されました。
韓国人に対し米韓同盟の重要性を説きつつ、
自分の国に誇りを持つように訴えた本です。書き出しは以下です(2ページ)。
大韓民国は誇らしい国である。北韓を除けば面積はわずか10万平方キロメートルで、
世界108位にすぎない小国だが、人口は世界25位、
経済力は 2011年基準で世界14位、輸出額は世界9位、国民の大学進学率、教育熱、
インターネットの普及率と速度は世界1位、
そして伝統的な国力の基準である軍 事力は世界6位と、決して弱い国ではない(中略)。
国際政治学者である筆者は、大韓民国の現在の総合的国力を
世界200カ国中、12位と評価する。
韓国の過去の歴史と比べれば12位でも大したものだが、
われわれは間もなく統一を成し遂げ、
世界5位レベルの国力が望める国際的な環境に生きている。

世界の中心にある韓国
意気軒昂ですね。
鈴置:ええ。
未来の歴史家は
「2010年代初めの韓国は異様に高揚した気分に包まれていた」
と書くと思います。この頃には
「統一後は1人当たりGDPが主要国中2位になる」という主張も
韓国紙上に踊るようになりました。
 韓国は2010年に20カ国・地域(G20)首脳会合の、2012年に
核安全保障サミットのホスト国となりました。
いずれも日本より先の主催でした。
李明博(イ・ミョンバク)政権もメディアも「世界の中心となった韓国」を祝いました。
 この本も、そんな気分の中で書かれたのです。
もっとも李春根博士も「世界に冠たる韓国」を韓国人がうたい上げているだけでは
読者に信用されないと考えたのでしょう。
62、63ページには以下のくだりが続きます。要約して載せます。

世界を指導する韓国、衰退する日本
2012年、米国の著名な国際政治雑誌「フォーリン・ポリシー」(Foreign Policy)には、
韓国が世界で一番うまくやっている国であるという論文が2編も掲載された。
5月17日付にブルース・ジョーンズ(Bruce Jones)とトーマス・ライト(Thomas Right)
が書いた「Meet the GUTS」という論文は、世界で今一番うまくやっている国、
未来の世界を主導する新興西側強大国の4カ国をドイツ、米国、トルコ、大韓民国とした。
一方、没落しつつある西側強大国は英国、フランス、イタリア、日本である。
6月7日には、クライド・プレストウィッツ(Clyde Prestowitz)が書いた
「韓国は一番だ」(Korea as Number One) という論文が掲載された。
ハーバード大学教授のエズラ・ヴォーゲル(Ezra F. Vogel)が
1979年『ジャパン・アズ・ナンバーワン』(Japan as Number One)という本を
執筆したことがあるが、プレストウィッツは、今ヴォーゲルに
「韓国が一番だ」という本の執筆をお願いしたいと述べている。

日韓は双子?
なるほど「韓国が優れた国である」ことを確信するには

外国の「認証」がいるのですね。
鈴置:あまり勉強のできなかった子が、初めて模擬試験で
いい点をとったのと似ています。うれしくてしょうがない。
でもこれはまぐれかもしれない、との不安も残る。
 そこで「秀才と言われた日本より韓国の方が賢い」と言ってくれる大人を必死で探す。
それでも足りなくて
「あの子は昔悪いことをした。だのにまだ、謝っていない」と町内を叫んで歩く、
という構図です。韓国人の行動は、彼らの自信のなさを知らずには理解できません。

「日韓は似ている。双子国家だ」という専門家もいます。
鈴置:ひと昔前、自信のない韓国人をおだてるために
そんなことを言う日本人もいました。そうした言説が韓国への誤解を生みました。
日本と同じような国が隣にもう1つあるわけではないのです。
 日本は太平洋戦争で大負けし、しょげかえりました。
1964年、東京五輪を開いた頃にようやく自信を取り戻しました。
 でも韓国人が今、感じる不安混じりの不確かな自信とは大きく異なります。
戦前、「5大国」の一角を占めていた日本人にとって、
それは「昔に戻った」という安堵に裏打ちされていたのです。

「戻るべき時代」がある日中
 戦争のため中止にはなりましたが、
1940年に東京五輪を開くことになっていました。
もちろん、アジアで初めての五輪となるはずでした。
 「もはや戦後ではない」と書いた経済白書(1956年版)があります。
「戦前の水準に戻った」という感慨を吐露したもので、
これも「けっこう豊かな戦前」があったがゆえの表現です。
 中国人も韓国人とは異なります。「失われた20年」を嘆く日本人に対し
「こちらは失われた200年だ」などと言ってみせる中国人がいます。
清朝末期に西欧や日本に領土を食いとられ、
戦後も社会主義の採用で低迷した自分の国を自嘲してのことです。
 でも「失われた200年」の前の中国は、世界最大のGDPを誇る超大国でした。
だから今の中国人に「栄光の昔に戻りつつある」という安堵はあっても
「この栄光は本物だろうか」との迷いは薄いのです。

米国から自立した台湾
同じ元植民地でも、台湾人は「落ちぶれた日本」に対し、
威張り散らしたりしませんね。
鈴置:台湾人の民族的なベースは中国人ですから、自信を持っています。
だから「崇日」にもならなければ、その反動としての「反日」や、
まして「卑日」には陥らないのでしょう。
 韓国と同様に、日本統治時代に近代化しましたから、
台湾には「日本好き」の人は残っていますけれど。
 もう1つの差は戦後、台湾は韓国ほどには
日本に「世話にならなかった」からと思います。
台湾政府も日本の産業政策を研究しましたが、
韓国のように全面的にまねしたわけではありません。
 企業経営もそうでした。台湾には華僑の伝統があるわけで別段、
日本人から「商売」というものを学ぶ必要はありませんでした。
品質管理などの“手口”を日本から導入しましたが。
 一番大きな差は外交、軍事面で、韓国ほどには米国と日本に
「世話にならなかった」ことでしょう。1970年代、日本と米国は中国を承認しました。
 台湾は米国からの全面的な軍事支援を期待しにくくなりました。
中国の顔色を見る一部の日本企業も台湾と距離を置くようになりました。
台湾は自分の足で立つことによって生き残ったのです。
 韓国でも1970年代、
ニクソン(Richard Nixon)、カーター(Jimmy Carter)政権時代に
米軍撤収が検討されましたが、朴正熙(パク・チョンヒ)政権は
日本の協力もあって引き留めに成功しました。
韓国は台湾とは異なり、ずうっと米国と日本に依存してきたのです。

ルトワックの深い省察
外交はともかく、軍事面でも韓国が日本に依存してきたということですか。
鈴置:「日韓同盟」なるものは存在しませんから、表面的にはそうは見えません。
しかし北朝鮮が韓国に侵攻した際、米軍は日本を兵たん基地として戦います。
日本との良好な関係があってこそ、韓国は北朝鮮に対抗できるのです。
朝鮮戦争を見れば明らかです。

要は、韓国は米国や日本に依存してきたから嫌う、ということですか?
鈴置:人間は他者に絶対的に依存すると、憎しみがわいてくるものです。
仮に好意ではあっても、生殺与奪の権を握られるというのは
気持ちのいいものではありません。
 「相手が嫌いだから憎む」だけではないのです。
世話になり過ぎても憎らしくなるものです。
米国の戦略家、ルトワック(Edward N. Luttwak)が韓国の反米感情に関し、
面白い観察をしています。
 『自滅する中国』の224―225ページから要約して引用します。
原著『The Rise of China vs. the Logic of Strategy
では170ページの第3パラグラフです。

教育を受けた韓国人は単なる事故でも容易に
(米国に対する)怒りを爆発させてしまう。
それは人間の感情として、最も根本的なものに根差しているからだ。
見返りを求めない施しは、受け取る側の屈辱感へと容易に変化するのだ。

韓国のパンとサーカス
 「受け取る側の屈辱感」に関するこの分析は反米感情について語っていますが、
もちろん「反日」にも適用できます。
私がルトワック氏の論文を読むのは、人々の心情にまで
踏み込んで国際情勢を分析するからです。
 「情緒」というものが「外交」を動かすようになっています。
ことに韓国という国を分析する時には、
彼らの心の底をのぞき込む必要があると思うのです。

韓国政府は国民の情緒に乗って外交をする、ということですね。
鈴置:どの国にもそういう傾向はありますが、韓国の場合は極端なのです。

例によって、韓国メディアも「情緒」をあおり続けているのでしょうか。
鈴置:その通りです。
ただ最近になって「反日は人気取りだ」と政府を批判するコラムが、
たった1本ですが朝鮮日報に載りました。
 書いたのは朴正薫(パク・ジョンフン)デジタルニュース本部長。
東京特派員経験者です。「パンとサーカスの自殺コース
(5月8日、韓国語版)は渾身の力を込めて書いた感じです。
長くなりますが、なるべくはしょらずに引用します。

反日ポピュリズムで没落
今、我々は外交的な孤立のジレンマに直面している。
主犯はもちろん安倍の右傾化暴走だが、それに翼を与えているのが我々だ。
政治圏と外交マフィアらが「外交」の代わりに、反日ポピュリズムの
「国内政治」をした結果が自縄自縛になって戻って来たのだ。
その端緒が2012年の李明博(イ・ミョンバク)大統領の突然の
対日強硬策だったことに異見を挟む専門家はさほど多くない。
日本に融和的だった李大統領は、執権の最後の年になって突如
「静かな外交」を放棄し、独島(竹島)訪問を強行した。
「日本の国力は昔ほどではない」との非外交的な発言まで吐い た。
「日本に対する訓戒」パフォーマンスで支持率が上がると李大統領は期待した。
しかし、これは日本の嫌韓心理を爆発させる起爆剤になった。
1975年に日本の『文芸春秋』が「日本の自殺」という論文を載せた。
知識人が共同で執筆したもので、古今東西の文明を分析した結果、
すべての国家が外敵ではなく、内部要因により自ら分解したとの結論を出した。
「国家の自殺」に共通する要因は利己主義とポピュリズムだ。
ローマ帝国の没落もそうだった。市民は責任と義務を忘れ遊民と化し、
大地主と政治家に「パン」を要求した。
支配階級は彼らの歓心を買おうとそれを与えた。
すると市民は「サーカス」まで要求した。
「パン」は無償福祉を、「サーカス」はポピュリズムを象徴する。
自分が40年前の論文を再び精読したのは、大韓民国の状況がまさにそうだからだ。
「パンとサーカス」による国家の自殺の兆候は様々の分野で目撃されている。
今、我々が本当に心配すべきは日本の右傾化でも中国の膨張主義でもない。
病理を知りながらも治癒する力を失うという、自己解決能力の喪失が
より問題なのだ。滅びる兆しの浮かんだ国は、他者に殺される前に自ら衰退する。

卑日をやめればアベへの敗北

「反日はポピュリズムだ」とはっきり書いてしまっていますね。
“愛国者”から怒られないのでしょうか。
鈴置:自分の国の外交への深い危機感からでしょう。
朴槿恵(パク・クンヘ)政権は「卑日」をやり過ぎて
米国との関係まで怪しくしてしまった。
かといって中国から期待したほどの外交的な支持を得られていない。
 大声では言わないけれど、韓国の指導層の一部は「ここらで『卑日』に
歯止めをかけるべきだ」と考えているようです。
外交常識から考えてもそれは異常な様相を
呈していますしね(「韓国の主な『卑日』」参照)。

では、朴槿恵政権は「反日」
――鈴置さん風に言えば「卑日」をやめるのでしょうか。
鈴置:やめないと思います。理由は2つです。
まず、朴槿恵政権にとって損だからです。
ここで「卑日」をやめれば、国民から“サーカス”を取り上げるだけでなく
「安倍に負けた」と思われてしまいます。
政権にとって「自殺」です。韓国という国家の自殺を避ける道かもしれませんが。

従中に必須の卑日
 もう1つは「卑日」が韓国の国益にかなっている可能性が大だからです。
「卑日」を続ければ、日本人は嫌韓感情を高めますから、当然、日韓関係は悪化する。
 一方、台頭する中国と、それを警戒する周辺国とが引き起こす対立に
韓国は絶対に巻き込まれたくない。
例えば米国が主導する「日―米―韓」の中国包囲網には
何があっても参加したくない。
 そのためには「卑日」で日本を怒らせ、日韓関係を悪化させるのが
一番てっとり早いのです。
米国には「参加したいが、日本との関係が悪く国民が納得しない」と言い張れます。
 また、実際そうしてきました。このへ理屈は米国からすっかり見抜かれていますが、
いい訳がまったくないよりはいい。
 「卑日」を続けるうちに日本が「韓国との軍事協力は嫌だ」などと言い出せば、
しめたものです。日本のせいで中国包囲網ができなかったことにできるからです。

中国につき従う韓国
「他国との関係を悪化させる」という、

乱暴な外交手法があるのでしょうか。
鈴置:あります。
米国にミアシャイマー(John J. Mearsheimer)という国際政治学者がいます。
実現困難な理想を追い求めるのではなく、
現実を直視して世界を分析するリアリストです。
 彼の大著『大国政治の悲劇』の中に、参考になるくだりがあります。
211ページの「バック・パッシング」の項です。
原著の「The Tragedy of Great Power Politics」だと157ページの「Buck-Passing」です。
 ここでは「覇権を求める危険な国家が登場した時、
周辺国家がどう対応するか」が検討され、対応別に2つの国に分類されます。
私の言葉で言えば「立ち向かう国」と
「つき従うことで危険な国の台頭に便乗する国」です。

中国に立ち向かう日本、つき従う韓国』という本の題名そのままですね。
鈴置:ミアシャイマーは前者を バック・キャッチャー(buck-catcher)
――侵略性国家の台頭阻止に責任を負おうとする国、
後者をバック・パッサー(buck-passer )
――その責任を回避する国と呼んでいます。
そして後者のバック・パッサーは、以下のように行動する、と書いています。
要約します。

仏ソはお互いを誹謗
侵略主義的な国と良い外交関係を結ぶ。
もしくは最低でも刺激するようなことはしない。
侵略主義的な国の関心が
常にバック・キャッチャーに向けられるようにするためだ。
1930年代後半にフランスとソ連はともに、ヒトラーとよい関係を保とうとしていた。
もう1つは、普段からバック・キャッチャーとの関係を親密にしない方法だ。
バック・キャッチャーとの外交関係が疎遠になればなるほど、
同じ側に立って侵略主義的な国と戦うという危険な状況に巻き込まれないからだ。
第2次大戦前、ヒトラーを恐れる仏ソ両国がお互いを誹謗したのもそのためだ。

なるほど、韓国そのものですね。
中国という侵略的な国とは良い関係を結ぶ。
一方、中国に対抗する日本との関係は悪化させる。
鈴置:「すべての国と良い関係を結ぶのが外交だ」と信じるのは、
能天気な日本人ぐらいです。
韓国は今、アジアで中国が覇権国家になるか見極めようとしています。
 そうなると判明したら直ちに中国の勢力圏に入る。
一方、米国が依然、影響力を維持するのならその傘下に居続けるつもりです。
 二股外交の結果、韓国は米国に守ってもらいながらも、
中国の顔色を見て動く国になりました。
「米中星取表」を見れば、米中が対立する案件で、
ほぼ中国の指示に従っていることがよく分かります。
米中星取表~「米中対立案件」で韓国はどちらの要求をのんだか (○は要求をのませた国、―はまだ勝負がつかない案件、△は現時点での優勢を示す。2015年8月10日現在)
案件 米国 中国 状況
日本の集団的自衛権
の行使容認
2014年7月の会談で朴大統領は習近平主席と「各国が憂慮」で意見が一致
米国主導の
MDへの参加
中国の威嚇に屈し参加せず。代わりに「韓国型MD」を採用へ
在韓米軍への
THAAD配備
青瓦台は2015年3月11日「要請もなく協議もしておらず、決定もしていない(3NO)」と事実上、米国との対話を拒否
日韓軍事情報保護協定 中国の圧力で署名直前に拒否。米も入り「北朝鮮の核・ミサイル」に限定したうえ覚書に格下げ
米韓合同軍事演習
の中断
中国が公式の場で中断を要求したが、予定通り実施
CICAへの
正式参加(注1)
正式会員として上海会議に参加。朴大統領は習主席に「成功をお祝い」
CICAでの
反米宣言支持
2014年の上海会議では賛同せず。米国の圧力の結果か
AIIBへの
加盟 (注2)
米国の反対で2014年7月の中韓首脳会談では表明を見送ったものの、英国などの参加を見て2015年3月に正式に参加表明
FTAAP (注3) 2014年のAPECで朴大統領「積極的に支持」
中国の
南シナ海埋め立て
米国の対中批判要請を韓国は無視
(注1)中国はCICA(アジア信頼醸成措置会議)を、米国をアジアから締め出す組織として活用。
(注2)中国はAIIB(アジアインフラ投資銀行)設立をテコに、米国主導の戦後の国際金融体制に揺さぶりをかける。
(注3)米国が主導するTPP(環太平洋経済連携協定)を牽制するため、中国が掲げる。
もちろん米国は韓国に怒り出しました。
韓国は米中の間で危険な綱渡りをしているのです。
そんな外交的な大勝負に出た韓国にとって、
日本との関係悪化などは大した問題ではないのです。

泥沼化するしかない日韓関係
朴槿恵政権は、そこまで考えて「卑日」をやってきたのでしょうか。
鈴置:どこまで意図したかは分かりません。
しかし、今や「卑日」を手放せなくなったのは確かです。
 前回の「韓国人の『自嘲』が生んだ『卑日』」で説明したように
「卑日」は「崇日」の反動でした。
メディアがあおり、政権が利用した。
初めは単なる人気取りの手段だったかもしれません。
 しかし、侵略主義的な国と戦わない「バック・パッサー」へと
この政権がかじを切った以上、「バック・キャッチャー」との関係を
悪化させる「卑日」をやめるわけにはいかなくなったのです。

「卑日」による日韓関係の悪化。
その根には日韓を越えた国際情勢の変化があるのですね。
鈴置:そこがポイントです。
日韓関係は米中関係の1局面に過ぎません。
日本が中国に立ち向かうことを決め、
韓国が中国につき従うことを決めた時から、
日韓関係の泥沼化は約束されていたのです。

韓国人の「自嘲」が生んだ「卑日」 今度は日本が見下される番だ
鈴置 高史 >>バックナンバー  2015年8月7日(金)2 3 4 5
恐ろしいほどの韓国人の自嘲。それが激しい「卑日」に変容した。
「葉銭」は自嘲の言葉 

前回は「崇日」の時代があり、
それが「反日」の爆発を抑えていた、という話でした。
鈴置:
私のソウル在勤時代、まだ「葉銭」(ヨプチョン)という単語が使われていました。

自嘲、卑下の言葉で「旧弊にしがみついて没落した韓国人」というぐらいの意味でした。
 もともとは朝鮮朝の銅貨を指す単語だったそうです。

それが
「日本が紙幣を持ち込んだのに、古臭く使いにくい銅貨にしがみついた朝鮮人」
という意味に転じ、さらには近代化に失敗した結果、
日本の植民地に転落した自らを嘲笑う言葉に使われるようになった
――と聞きました。 
 日本語にはそれに相当する、自嘲の単語は見当たりません。
19世紀末、近代化に乗り遅れたことに
韓国人がどれだけ悔しい思いをしているかをよく示す話と思います。
そしてこの悔しさが奇妙な“崇日思想”を生んだのです。
 1987年の民主化直後のことです。

民主化ムードに乗って、中央銀行である
韓国銀行の独立性を増すべきだ、との意見が韓銀から噴出しました。
一方、韓銀をコントロールしていた財務省は当然、反対しました。
 前者が掲げた理屈は「日銀は大蔵省から独立している。

だから日本は経済大国になったのだ」でした。 
 それに対し後者は
「日銀の独立性は米欧の中央銀行に比べ実は低い。
日本では『大蔵省本石町支店』と言われているほどだ。
だから、韓銀の独立性を増すべきではない」だったのです。 

「日本だってできないから」
 1988年のソウル五輪の前後でした。

韓国で、個人の住民番号を元に徴税システムを
一元管理しようとの構想が浮かびました。脱税を防ぐのが目的です。

 1962年以降、韓国では国民全員が「背番号」を持っています。

今、日本が導入しようとしている「マイナンバー」のようなものです。
だからそれによる徴税管理は容易に思えました。 
 でも、ある大物政治家が
「どうせうまくいかない。失敗が目に見えていることをすべきではない」
と言ったこともあって、この時は沙汰やみになりました。
 大物政治家氏の挙げた「うまくいかない理由」とは

「日本だってグリーンカードの名で導入しかけたが、結局はやめた」でした。
 行政能力と民度の高い日本だって、ちゃんと運用できないと諦めたのだ。

それらの低い韓国では無理に決まっている――という意味です。
そしてそう言われれば、皆が「それもそうだな」と思ってしまう雰囲気だったのです。

“崇日思想”に転化
 1990年代前半のことです。
テレビの視聴者参加番組が新しい健康器具を特集しました。
「効果が絶大だ」という愛好者と「まがいものだ」
と批判する人が議論したのですが、見ていて唸りました。
 前者は「効果が絶大だったという日本人の意見」を口頭で引用し、
自分の意見を正当化しました。
すると後者はファクスの束を示し「これは『効果は皆無』という
日本の専門家から今届いたばかりの証拠だ」と言い放ったのです。
何かを議論する際に、
皆が「日本」という葵の印籠を持ち出すようになったので す。
 1980年代初めに「克日」というキャッチフレーズが生まれました。
「日本は倫理的に劣るうえ、憎むべき敵(かたき)の国だ。
だが、現実には我が国よりも一足先に近代化に成功している。
日本に勝つためには日本から学ぶしかない」という決意です。
 この理屈は戦術論としては間違っていなかったと思いますが、
危うさもはらんでいました。
「日本は悪い国だけど日本から学ぼう」と韓国人同士で言い合っているうちに、
いつのまにか「日本は正しい国だ」との“崇日思想”に転化しかけたからです。

謝れば収まった「反日」

当時「反日」はなかったのですか?
鈴置もちろんありました。歴史教科書問題は1982年に起きました。
藤尾発言問題は1986年。いずれも1980年代です。
 要は「日本人に見下された」との怒りからでした。
当時の「反日」は日本への劣等感が原動力だったのです。
その背景には「日本が上にあり、我々は下である」という
韓国人の認識――つまり「葉銭」意識がありました。
 だから「崇日」の対象である日本が謝れば
韓国人は溜飲を下げ、関係は直ちに修復しました。
 韓国の政府やメディアが「対日戦」の矛を収めようと呼び掛ける際には
「日本に馬鹿にされないためには発展するしかない。
そのために日本からもっと学ぼう」といった
克日論を持ってして国民を説得し得たのです。
 日本が謝ろうが謝るまいが、
とにかく日本を貶める材料を探し出して大声で日本を叱りつける
――現在の「卑日」とは、韓国人の行動原理は全く異なったのです。

「崇日」の反動で「卑日」

だんだん分かってきました。
1980年代に韓国人は「克日」の名の下に「崇日」に陥りかけていた。
その反動で……。
鈴置:そうです。
日本人が見ても異様な「崇日」の反動で、世界から見ても
異様な「卑日」が生まれたのです。
この振幅の幅を極大化したのが韓国メディアでした。
 1980年代初めから1990年代半ばにかけて「克日の時代」には
韓国で問題や事件・事故が起こると必ず、韓国紙の東京特派員が
大きな解説記事を書きました。
 「日本は同じ問題をどう解決している」
「日本はそんな事故が起きないよう、予めこんな措置をとっている」といった内容です。
 そして結論は
「日本はちゃんとやっているのに、我が国は何たることだ」――。
要は日本の権威を借りて、自分の国を説教するノリの記事が定番だったのです。
 2014年の「セウォル号」や2015年の
「中東呼吸器症候群(MERS=マーズ)などの問題が四半世紀前に起きたら、
韓国紙には「日本と比べ、我が韓国は」と悲憤慷慨する記事で満ち溢れたことでしょう。

苦い顔の東京特派員たち
 しかし今や様変わり。私が見た限りの話ですが前者に関連しては、
そんな「崇日」記事は1本もありませんでした。
後者では、淡々と「日本では」と書いた記事を1本発見しただけでした。
 「ちゃんとやる日本」を東京特派員が書くのはタブーになった感さえあります。
たまに「日本にもまだ学ぶ点はある」という記事も載りますが、
筆者を見るとほぼ外部の識者。
物書きとして生きる記者は「崇日主義者」と名指しされるリスクは冒せないのでしょう。
 さて、私は1992年に東京に戻り、1995年に再び海外に赴任したのですが、
その間の3年間は「崇日報道」の片棒を担ぐ羽目に陥りました。
 韓国で何か事件が起きるたびに、韓国メディアの東京特派員から
「日本の専門家を紹介してほしい。
『韓国がいかにダメか』はっきり言ってくれる人を探してくれ」と頼まれたのです。
 とりあえず社内の専門家に相談するのですが、
怪訝な顔をされることが多かった。
その頃から、日本が韓国よりもうまく処理しているとは限らなくなっていた。
むしろ韓国の方がちゃんとしていることもあったからです。
 それを東京特派員諸氏に伝えると皆、苦々しい顔で
「それは分かっています。でも、ソウルの本社が
『韓国の後進性を指摘する
日本の専門家のコメント』を欲しがって聞かないのです」。

日本はもうダメだ
 転機は1997年の経済危機でした。
韓国はヘッジファンドの通貨攻撃を受け、
国際通貨基金(IMF)の管理下に入りました。
韓国人は「第2の国恥」と呼びました。「第1」は日本による植民地化です。
 「日本を手本としてやってきたが、失敗したではないか」
「やはり、世界は市場原理を旨とする米国モデルで動いているのだ」と、
韓国人は一気に日本への評価を下げたのです。
 同じ頃、山一証券や日本長期信用銀行など
日本の金融機関も相次ぎ破綻し「日本モデル」のご本尊が
苦境に陥ったことも当然、日本への失望を加速しました。
 2003年のことと思いますが、ある韓国メディアの特派員が
「日本はもうダメだ」と言い出したのが、非常に印象に残っています。

発言は以下です。
女子ゴルフの世界で韓国は世界を席巻し始めた。

「世界の技術」を日本経由で学ぶのではなく、
米国から直接学ぶようになったからだ。
一方、日本は自分のやり方に拘り、米国の最新技術を学んでいない。

これから韓国が日本に負けることはない。

 この人はゴルフにかこつけて語りましたが、
当然、経済でも「韓国が日本に負けることはない」と言いたかったのでしょう。
実際、半導体でもテレビ、自動車でも日本企業のシェアを奪った
韓国企業が世界を席巻し始めていました。

「崇日」を解毒する「卑日」
 先ほどの、韓国人の卑下の言葉を使えば「今度は日本人が葉銭だぞ」
と言いたかったのです。その数年後、別の東京特派員が以下のように語りました。

これまでの韓国メディアの日本報道はすべて間違っていた。自分がそれを正す。


 この発言は象徴的でした。
韓国社会に残る「崇日」精神を叩き壊し「卑日」を広める
――という宣言だったからです。

「崇日」をやめるのは分かります。
「卑日」まで突っ走る必要があるのでしょうか。
鈴置:「崇日」があまりに激し過ぎて、それを解毒するには
「卑日」をやる必要があるとの判断だったのでしょう。
 それに「崇日」をやめるだけでは記事にコクが出ません。
「卑日」という強烈なスパイスを振りかけてこそ、読者を獲得できるのです。
 この後、東京特派員の間では「卑日報道」競争が始まりました。
日韓関係に限らず日本の内政問題に関しても
「落ちて行く日本」を描写するのが定番になりました。
 東日本大震災の際は当然「あたふたする日本」が格好の材料となりました。
「ダメな日本」に対し、上から目線で説教する記事を書くのが、
東京駐在のシニア記者の必要条件になったようでもありました。

羽田行きのモノレールで
 興味深いのは「ジャパンスクール」の記者こそが「卑日」を先導したことです。
日本報道が「卑日モード」に入った以上、当然ではあります。
同時に、それまでの「崇日」を
一番、苦々しく思っていたのも彼らだったからだと思うのです。
 この傾向は記者だけではなく、韓国の外交官も同じです。
1965年の日韓国交正常化の際に結んだ一連の条約が
「不平等条約だった」として見直しを求める外交官や記者が
「ジャパンスクール」に目立つのも、それを示しています。
 悪化する一方の日韓関係を懸念するのも
「ジャパンスクール」の人々が中心ではあるのですが。
いずれにせよ「日本ってたいした国じゃなかったんだねえ」
と確認し合うのが韓国の空気となったのです。
 複数の韓国人から同じ話を聞きました。
浜松町から羽田空港に向かうモノレールの中で、韓国に戻る観光客が
「日本と言ったって、我が国の水準と変わらないじゃないか」
と言い合うのを見かけるようになったとのことです。2010年頃からだそうです。

「卑日」に手も足も出ない日本
 こうなると、韓国政府も「たいしたことはない日本」を国民が実感できるよう
「卑日ネタ」を豊富に提供する必要があります。
それは「反日」に代わる、新たな国民的娯楽となったからです。
 2012年8月に当時の李明博(イ・ミョンバク)大統領が竹島に上陸し
「韓国がやりたい放題やっても、手も足も出ない日本」を国民の前で示しました。
 数日後の「国際社会の日本の影響力も昔ほどではない」との発言が、
彼の“心意気”をよく示しています(「韓国の主な『卑日』」参照)。
 

韓国の主な「卑日」 
「従軍慰安婦」像設置
2011年12月14日、韓国挺身隊問題対策協議会がソウルの日本大使館前に
「従軍慰安婦」像を設置。日本政府が抗議したが、ソウル市と韓国政府は無視。 
その後、韓国と米国の各地に相次ぎ設置された。
「像」以外に「碑」も世界中で立てられている。
2014年1月には仏アングレームの国際漫画祭で、
韓国政府 主導の慰安婦をテーマにした企画展が開催。
大統領の竹島上陸

2012年8月10日、李明博大統領が竹島に上陸。
日本政府は抗議し駐韓日本大使を一時帰国させた。
同月13日これに関連、李大統領は「日本の影響力も昔ほどではない」と発言。
同月17日、野田佳彦首相がこの問題に関し親書を李大統領に送るが、
同月23日に韓国政府は郵便で送り返した。 
天皇謝罪要求
2012年8月14日、李大統領が天皇訪韓について「独立運動をした人に

心から謝罪をするのならともかく(昭和天皇が使った)『痛惜の念』だとか、
こんな言葉1つなら、来る必要はない」と発言。
対馬の仏像窃盗
2012年10月8日、韓国人が対馬の仏像と教典を盗んだ。

2013年1月に韓国の警察が犯人の一部を逮捕、仏像2体を回収。
しかし韓国・大田地裁は「韓国から盗まれた可能性がある」と日本に返さず。
2015年7月18日に1体だけ日本に返還。
中国人放火犯の本国送還
2013年1月3日、ソウル高裁が靖国神社放火犯の中国人を政治犯と認定、

日本に引き渡さない決定を下した。
日本政府は日韓犯罪人引渡条約をたてに抗議。 
犯人は2011年12月26日の靖国放火の後、2012年1月8日に
ソウルの日本大使館に火炎瓶4本を投げ、逮捕されていた。
朴大統領の「告げ口外交」
2013年2月の就任似来、朴槿恵大統領は世界の首脳やメディアに会うたびに、

安倍晋三首相の「歴史認識」など日本を批判。
産経元支局長起訴
2014年10月8日、ソウル中央地検が産経新聞の加藤達也元ソウル支局長を

在宅起訴。容疑は「大統領に関し虚偽の事実を報じ、名誉を棄損した」。
報道の 元となった朝鮮日報の記事に関してはおとがめなし。
同年8月7日からの加藤元支局長への出国禁止措置は2015年4月14日に解除。

 李明博大統領は以下の趣旨の話をしてもいます。

「貧しかった頃、自分を見下す男がいた。
私が出世した後、この男が近づいてきたが、自分は許せなかった」。
これこそは多くの韓国人の日本に対する率直な心境でしょう。
 次の朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が世界を舞台に「告げ口外交」を展開し
「卑日」のアクセルを踏んで見せたのも、国民のニーズを見抜いていたからです。
さすがに「究極のポピュリスト」と呼ばれる人です。
まだ、自信のない韓国人

「卑日」の動機と構造がよく分かりました。最後の質問です。
韓国人はなぜ、「卑日」を世界で繰り広げるのでしょう。
羽田行きモノレールの中でのように、
韓国人同士で言い合えば十分な気もしますが。
鈴置:いい質問です。そこがポイントです。
答えは、韓国人がまだ、日本を見下すほどの自信を本当は持っていないからです。
 世界の人々が「韓国が日本より上だ」とはっきり言ってくれるまで、
韓国人はその確信が持てないのです。
結局、慰安婦像は世界で立てられ続けることでしょう。

「卑日」で日本から“独立”目指す韓国 四半世紀前には「崇日」国家だった
鈴置 高史 >>バックナンバー
2015年8月6日(木)  3 4 5 (前回から読む)
 韓国人は日本からの独立戦争を闘う。「卑日」はその武器だ。
東京五輪をヘイトに絡める 

韓国の「卑日」攻勢。やはり、でした。
前回の「これが『卑日』だったのか――」で鈴置さんが指摘した通り、
東京五輪も標的ですね。朝鮮日報の社説で読みました。

鈴置: 7月23日の日本語版に「嫌韓高まる日本、

五輪ホスト国にふさわしいのか」という見出しで載った社説のことですね。
 同じ日に韓国語版に載った元記事の

日本右翼の在日韓国人への人種攻撃、五輪開催国にふさわしいのか
からポイントを訳します。
7月8日、日本の入国管理局に「違法滞在中の在日韓国人を

国外追放してほしい」との虚偽申告が殺到し、
そのホームページが一時、マヒした。数年前から韓国人と在日韓国人への
憎悪を煽る日本の嫌韓情緒が急速に表面化し、攻撃的な様相に変わっている。
反韓団体によるヘイトスピーチは人種差別にあたると

大阪高裁と最高裁が判決を下したのに、日本で攻撃的言動が減る兆候は一切ない。
ヘイトスピーチに関しては自民党が昨年、特別チームを立ち上げて

実態調査に乗り出した。
菅官房長官も今月初めの国会答弁で調査に乗り出すことを約束した。
来年はG7(主要7カ国)首脳会談のホスト国となり、

2020年には東京五輪の開催を控え、日本政府は
国の威信が傷つくことを懸念しているようだ。
重要なことは、果たして日本が一部過激勢力の

人種差別的言動を根絶できるかということだ。
これを黙認する社会は内側から病んでいるのであり、
世界から孤立するだけなのだ。

東京都知事から言質
韓国はヘイトスピーチを東京五輪に絡める作戦ですね。
鈴置:
今のところは新聞が書いているだけです。

が、状況に応じ韓国政府が「日本がヘイトスピーチを規制しないなら、
五輪を開く資格はないと世界に訴えるぞ」と言い出す可能性がかなりあります。
 韓国政府はちゃんと伏線を敷いています。

ソウル市が2014年7月に東京都の舛添要一知事を招いた際、
朴槿恵(パク・クンヘ)大統領も青瓦台(大統領官邸)に知事を呼び、
ヘイトスピーチを非難しました。 
 すると、舛添知事は以下のように約束したと聯合ニュースの
舛添知事が朴大統領と会談 安倍首相のメッセージを伝達
(2014年7月25日、日本語版)が報じています。
ヘイトスピーチが続けば2020年の東京五輪・パラリンピックは

開催できないという覚悟で、
東京に居住する韓国人など外国人の安全を守って行く。
 韓国は五輪開催都市である東京都知事から

「ヘイトスピーチが根絶できない限り、五輪は開かない」
との言質をとったつもりでしょう。 “慰安婦大使”任命 
 これに限らず、韓国の「卑日」は“地道な努力”によって支えられています。
安倍晋三首相の米議会演説に対してもそうでした。

 大統領以下、政府も議会もメディアも、

そして在米韓国人も力を合わせ
「日本は悪い国だ。米議会での演説を許してはならない」
と叫び続けました(「『安倍演説阻止』に向けた韓国の動き」参照)。
「安倍演説阻止」に向けた韓国の動き

(2015年)
2月14日 聯合ニュース「在米韓国人、安倍首相の議会演説阻止に動く」と報道
3月4日 訪米した韓国国会の鄭義和議長、安倍首相の米議会演説に関し

      米下院議長に「日本の真の謝罪と行動が必要」
3月19日 聯合ニュース

      「米議会、安倍総理の上下院合同演説を許可する方向」と報道
3月20日 韓国外務省「安倍首相は米議会演説で歴史への省察を示すべきだ」
3月29日 韓国の尹炳世外相「安倍首相の米議会演説と70年談話が

       日本の歴史認識の試金石になる」
4月2日 鄭議長、訪韓した民主党のナンシー・ペロシ下院院内総務に

      「日本の首相は米議会演説で過去を認め謝罪すべきだ」
4月2日 尹外相、ペロシ総務に「安倍演説は侵略、植民地支配、慰安婦に関し

         すでに認めた立場を具体的な表現で触れねばならない」
4月2日 朴槿恵大統領、ペロシ総務に「慰安婦問題の解決は急務」
4月16日 日米韓外務次官協議で韓国の趙太庸第1次官

      「安倍演説は正しい歴史認識を基に」と注文
4月21日 韓国国会の羅卿&#29783・外交統一委員長、

       リッパート駐韓米大使に安倍首相の歴史認識について懸念表明
4月21日 WSJ「韓国政府が安倍首相の米議会演説に韓国の主張を

      反映させるべく米広報会社と契約」
4月22日 韓国の柳興洙駐日大使、戦後70年談話で

      「(侵略、植民地支配、反省の)3つの言葉を使うよう期待」
4月22日 韓国外務省、バンドン会議での安倍演説に関し

      「植民地支配と侵略への謝罪と反省がなかったことが遺憾」
4月23日 米下院議員25人「安倍首相が訪米中に歴史問題に言及し、

      村山・河野両談話を再確認する」ことを促す書簡送る
4月23日 韓国系と中国系の団体、元慰安婦とともに米議会内で

      会見し「安倍首相は演説で謝罪を」と要求
4月24日 韓国外交部「尹外相とケリー米国務長官が電話、

      歴史対立を癒す努力で一致」と発表
4月24日 ブラジル訪問中の朴大統領

      「日本に、正しい歴史認識を基にした誠意ある行動を期待」
4月24日 ローズ米大統領副補佐官「安倍首相に対し、過去の談話と合致し、

      地域の緊張を和らげるよう働きかけている」
4月24日 メディロス米NSCアジア部長「歴史問題は最終解決に達するよう

       取り組むことが重要」
4月28日 安倍首相、ワシントンでオバマ首相と会談
4月29日 安倍首相、米上下両院で議会演説。

        日米同盟の強化を訴え万雷の拍手受ける

まさに国を挙げての運動でした。
鈴置:
安倍演説阻止には失敗しましたが、韓国人はめげません。

「卑日」を目指す官民一体の協力体制をさらに強化しています。
聯合ニュースの「日本軍慰安婦問題を広める『女性人権大使』が誕生」
(7月21日、韓国語版)は以下のように報じています。
日本軍慰安婦問題を全世界の国際機関、政府、教育機関、

外国人に対し思う存分に知らしめる
「グローバル女性人権大使」が間もなく誕生する。
サイバー外交使節団のVANKと女性家族部は

独立70周年、国連創設70年を迎え、慰安婦問題を広報する
青少年と大学生200人を選抜した。
 なお、VANKは韓国で「外交使節団」と呼ばれますが、民間団体です。
「慰安婦」以外にも「竹島」など各方面に渡り、
世界で「卑日」を展開しています。

「天皇もひざまずけ」
元慰安婦は米国で、天皇まで訴えましたが。
鈴置:
天皇や安倍首相を訴えた、

この裁判を企画した弁護士のインタビューが中央日報に載りました。
米国内の慰安婦訴訟を主導するキム・ヒョンジン弁護士
(7月22日、日本語版)です。同弁護士は以下のように語っています。
(「なぜ、韓国や日本で訴えなかったのか」)との記者の問いに)

日本で訴えても100%勝てない。
韓国で勝っても日本側が応じなければ意味がない。
(「米国で勝てるのか」との問いに)18歳以下の未成年者との性関係は

米国の方では強姦だ。(ボクシング)ヘビー級チャンピオンだった
マイク・タイソンもそのケースで負けている。
(「米国に裁判管轄権はない、と日本は主張するはずだ」との質問に対し)

人道主義に反する反倫理犯罪は時効も管轄権も関係ない。
(「訴訟で重要なことは何か」との問いに)ポーランドを訪れた

西独のブラント首相は戦争犠牲者の碑の前でひざまずいて祈った。
なぜ天皇はそうできないのか。そうなるまで戦わなくてはならない。
 相当に無理筋の訴訟です。

でも、どんなことをしてでも
「世界の人々の前で天皇をひざまずかせよう」との
韓国人の強い意志が伝わってきます。 

残った植民地意識
韓国人の日本相手の「外交戦」。

彼らが総力で取り組んでいることがようやく分かりました。
鈴置:
総力戦かつ、全面戦争です。

ありとあらゆる機会をとらえ日本を貶めようとしています
(「韓国の主な『卑日』」参照)。 

でもなぜ、そこまでやるのか、いま一つピンと来ないのです。
鈴置:
韓国の外交戦は日本からの「独立戦争」なのだ、

と考えると納得できるかもしれません。
韓国は1945年に日本から独立した――と日本人は思っている。
でも韓国人の心情には長い間、植民地意識が残ったままでした。
 今から四半世紀も前のことですが、

1987年から1992年までの5年間、私は特派員としてソウルに住みました。
 韓国が「反日」国家であることは有名でしたから

気を引き締めて赴任したのですが、日本や日本人への接し方が
想像とは180度異なったので、大いに面食らったものです。
 私が驚いたのは、日本が異様に尊敬されていたことです。

政府も企業もすべて「日本がお手本」なのです。
 役所は日本政府の政策を実によく研究していて、

いいと思ったら可能な限り取り入れます。
韓国で私が記事にした産業政策の多くは、日本が実施済みのものでした。
 企業経営者も日本の同業者のやることを忠実に真似ました。

「日本企業のやったことをそのままやれば間違いない」と
公言する経営者もいました――というか、それが常識でした。
 真似する対象は、事業分野の選定から新製品のラインアップ、

果ては終身雇用、年功序列といった人事管理までに及びました。 

韓国にもあった「日経」
 韓国のある経済新聞の題字は日経とそっくり。

紙面構成も同じで前から「総合」「政治」「経済」「国際」「産業」
……と続き、最終面は文化面。
 もちろん経済教室面もありましたし、

文化面には「私の経歴書」という連載コラムもありました。
外部の識者が書く
「今日の話題」という欄もありました。
日経夕刊の「あすへの話題」をヒントにしたものと思われます。
レイアウトがそっくりでしたから。
 1987年に韓国は民主化し、労働組合が一斉に結成されました。

あちこちの会社で激しい労使紛争が起きました。
 そんな中「日本経済新聞社の労使関係は健全だ」

という噂が立ったためでしょう、
韓国の新聞社の幹部から「正しい労使関係を学びたいので、
日経の労務担当役員と労組幹部を紹介してくれ」と頼まれました。

 政治体制もそうです。

1987年の民主化当時、アジアの国で
民主国家と呼べるものはほとんどありませんでした。
 その中で韓国人の多くが「民主化するのは当然」と考えたのも、

お手本の国の人々が自由と人権を保障され、
民主主義を謳歌していたことが大きかったのです。
 しばしば韓国人から、こう言われたものです。

「米国が民主主義かどうかは関係ない。
彼らは社会構造も歴史も韓国とは異なるから模範にはならない。
でも、似たような国である日本が民主主義を実現している以上、
我々もそれを目指さねばならない」。
 民主化後には「国会議員は中選挙区制で選ぼう」

「議院内閣制の導入を検討しよう」との声も起きました。
もちろん日本がモデルでした。

強い国作るお手本
現在の「卑日」の韓国からは想像もつきませんね。
鈴置:
全くです。当時の話に戻りますと、

私は次第に「大丈夫かなあ」と思い始めました。
「お手本」とされれば悪い気はしないのですが、
こちらは日本人ですから日本の弱点もよく分かっている。
「そのまま真似」したら、まずいことも多いのです。
 でも、そう言っても聞いてもらえませんでした。

それどころか逆に韓国人から「自分の国に問題が多いと言うなんて、
やはり日本人は謙虚だ。
これだから日本は発展したのだ」と褒められたりしました。
 「反日」どころか「崇日」です。

「崇日」という言葉は今、私が作ったのですが。

なぜ、そんなに日本が「崇拝」されていたのですか?
鈴置:
1980年代の日本は日の出の勢いだったからです。

米国人でさえ追い越されるかもしれない、
と不安な眼差しで日本を見ていました。
強い国を作るのが国家目標であった韓国人にとって
、格好の「お手本」に見えたのです。 
 その頃は「ルックイースト政策」を掲げたマレーシアのように、
日本をお手本とする途上国がけっこうありました。
ただ、韓国の「崇日」ぶりは度を超していました。 

「反日」を抑えた「崇日」
なぜでしょうか。
鈴置:
日本の植民地だった経験を持つからでしょう。

韓国の近代化は植民地の時代に始まりました。
近代化とはすなわち、西洋の文明を導入することでしたが、
それはほぼ日本経由でした。 
 韓国にとって日本が「先生」だったのは、
日本が明治維新を成功して以来のことで、100年もの年季が入っていたのです。
そこで日本人が気味悪くなるほど「模範」として崇められたのです。
 見落としてはならないのは、

この「崇日」が「反日」の爆発を抑えていたことです。 (次回に続く)

これが「卑日」だったのか―― 世界遺産妨害の次は天皇提訴
鈴置 高史  2015年7月23日(木)  2
韓国が世界で展開する「卑日」――。
日本人はようやくそれを身を持って知った。 

日本を貶め快哉叫ぶ
――世界遺産登録での韓国のやり口。あれが「卑日」だったのですね。
鈴置:多くの人からそう言われました。

『目下の日本』からドルは借りない――韓国は『反日』から『卑日』国家へ」で、
韓国の「反日」は「卑日」に変容している――と説明しました。
 すると、かなりの人から「そんな、おおげさな。

国を挙げて日本を卑しめ、快哉を叫ぼうとする国民が
この世に存在するなんて、想像できない」との感想が寄せられました。
 しかし、そんな人も「世界遺産事件」を見て「卑日は本当だったのですね」

と言ってきました。 
 「卑日」というのはたぶん私が使い始めた言葉なので、
改めて定義しておきますと
「世界を舞台に日本を貶めて快哉を叫ぶ韓国の国民的運動」です。
 韓国専門家の間ではけっこう有名な動きで

「ジャパン・ディスカウント」(Japan Discount)と呼ぶ人もいます。
 一方、これまでの「反日」は

「自分を見下す日本への反発」とでも言うべきものでした。
表面は似ていますが、対応は完全に変える必要があるので、
はっきりと区別すべきです。 

大統領が歴訪先で糾弾
 さて「『世界遺産で勝った』韓国が次に狙うのは……」で触れたように、

日本が明治の産業革命遺産をユネスコの世界遺産に登録するにあたっては
2年前から韓国に根回ししていました。 
 韓国政府はその時は別段反応せず、登録直前になって
「朝鮮人が強制労働させられた場所だ。
登録に反対する」と世界に訴えました。

 下村博文・文部科学相が2015年4月10日の会見

「昨年、一昨年と韓国の文化大臣に説明した。
その時は特に反論はなかったのに……」
と当惑を隠さなかったのもそのためでしょう。
 この韓国の行動は「卑日」からすれば当たり前なのです。

世界で「日本は悪い国だ」と宣伝するチャンスが到来したのです。
日韓の2国で話し合うなどという、もったいないことはできません。
 当然、ユネスコの場に持ち込んで日本の悪行を公開の場で糾弾すべきなのです。

実際そうしましたし、そのためだけに外相を欧米に送りました。
 韓国外交部は「朴槿恵(パク・クンヘ)大統領も

海外歴訪のたびに各国首脳に直接訴え、
日本の強制連行を世界に認めさせた」と国民に誇りました。
 韓国の目的は日本の世界遺産への登録阻止や、

「強制連行」の言質を日本からとるだけではありません。
「日本は悪い国」というイメージを世界の人々に植え付けることにあるのです。

「卑日」は解決しない
――日本の外務省は「韓国に騙された」とこぼしています。

韓国の主張した「forced labour」(強制労働)ではなく
「forced to work」(働かされた)を使うことに
6月21日の日韓外相会談で合意した。
しかるにユネスコの会議の場で反故にされかけた――と言っています。
鈴置:そこで日本側が押し問答して、ようやく1日遅れの日曜日の

7月5日に明治遺産の登録が決まったのです。

 外交を担当する役所でさえ「卑日」を理解していなかったということでしょう。

韓国にとって、世界の人々の前で日本ともめて見せることが重要なのです。
もめればもめるほど、「日本の悪行」を知らしめることができるからです。

 「卑日」と、過去の「反日」が異なるのは、まさにこの点です。

いずれも「ごねる」という点では同じですが「反日」はモノなりカネなり謝罪なり、
日本から何かを「得る」のが目的だった。だから日韓の2国間協議により、
最後は折り合いをつけることもできた。

 でも「卑日」の目的は「何かを得る」のではなく

「日本を貶める、卑しめる」ことにあるのです。
他の国が見ている前で日本を叩く必要があるのです。

 そして問題は決して解決しないのです。

今や韓国にとって「日本の存在」そのものが攻撃対象です。
日本がどうしようと韓国は非難を続けます。 

当たった木村幹教授の予想
 日本の政治家も外交官もいまだ、韓国を「反日国家」と考えている。

だから昔ながらの2国間交渉でコトが済むと思い込んでいるのでしょう。
「forced to work」という英語を使ってしのぐやり方も、昔の発想そのものです。

 これまで日韓両国政府は、協定なり条約の英語を

自分の都合のいいように解釈し、それをそれぞれの国民に説明するという、
玉虫色の解決方法を時にとりました。

 「世界遺産」の問題でも、ユネスコの会議の場で日本政府代表が使った

「forced to work」を日本政府は「働かされた」という日本語に訳しました。
一方、韓国政府は自国メディアに対し、この単語は
「日本が強制性を認めたことを意味する」と説明しました。

 しかし今回は、それでは終わりませんでした。韓国の通信社は

さっそく英語でこれを世界に伝えました
(「『世界遺産で勝った』韓国が次に狙うのは……」参照)。

 福井県立大学の島田洋一教授は

「英文で読んだ人は『強制連行』『強制労働』を思い浮かべることになる」
「いわゆる慰安婦の強制性にも影響を与えるだろう」と懸念しました。

 神戸大学大学院の木村幹教授も

「元慰安婦や元徴用工は米国で日本政府などを訴える準備を進めている。
韓国は『forced to work』という英語を
米国で十二分に活用するだろう」と予想しました。
木村教授の予想は直ちに現実となりました。
日本の栄光に泥
――7月13日に元慰安婦が米国で日本を訴えましたね。
鈴置:これを報じた産経新聞の

『元慰安婦』が日本政府や本紙を提訴」によると以下の通りです。
元慰安婦女性2人が、第2次世界大戦中に「性奴隷」の扱いを受けたことは

人権侵害にあたるとして、日本政府や日本企業に2千万ドル(約26億円)の
損害賠償を求める訴えを米サンフランシスコの連邦地裁に起こした。
訴訟対象には、昭和天皇や天皇陛下、岸信介元首相、安倍晋三首相、

戦時中に旧日本軍と関係のあった日本企業などのほか、
産経新聞も含まれている。

 天皇を訴える――。韓国人にとっては

「日本を卑しめ、快哉を叫ぶ」ための最高の手口です。
2012年8月14日に、当時の李明博(イ・ミョンバ ク)大統領が
「日王(天皇)が韓国に来たいなら、独立運動家にひざまずいて
謝罪すべきだ」と発言、韓国人の喝采を狙ったのと同じことです。

 今回、ユネスコから世界遺産として認められた施設の1つである

「松下村塾」に対しても、韓国人は
「吉田松陰は朝鮮侵略を提唱した」ことを挙げ、攻撃し始めました。
 明治の産業革命遺産は日本近代化の成功の象徴です。

松下村塾は明治維新の原点です。いずれも日本の栄光の記録です。
 それに何とか泥を塗りつけたい――と韓国人は思うものです。

なぜなら西洋諸国が武力を持って東洋に押し寄せてきた時、
韓国は近代化に失敗し日本の植民地に転落したからです。 

卑しい根性から抜け出せ
 ただ「卑日」を危ぶむ韓国人もいます。

匿名で自らの国を厳しく批判する韓国保守の論客、ヴァンダービルド氏です。

 趙甲済(チョ・カプチェ)ドットコムの

先進国になろうとするなら、卑しい習性から抜け出せ
(6月8日、韓国語)という記事の前文が以下です。
日本が(明治の産業革命遺産の施設で)朝鮮人徴用を明記したら、

むしろ我々は自尊心と子孫の体面を考え、
その削除を要求するのが正常ではないのか。

 日本人の栄光を世界に示す施設で、植民地にされた韓国人の

屈辱の歴史を公開されて何がうれしいのか――との憤りです。

 憤りの背景には、日本を卑しめて喜ぶ

韓国人に対する絶望感があります。
見出しの「卑しい習性」がその深さを示しています。

――例によって、この人の意見は少数派なのでしょうね。
鈴置:その通りです。

多くの韓国人にとっては、屈辱の歴史を隠すことよりも、
日本を世界で貶め、快哉を叫ぶことの方が重要なのです。
だから、こうした意見は普通の新聞には載りません。

外交官離れした外交官
――「反日」はいつから「卑日」に転化したのですか?
鈴置:2010年前後からです。

それまでも「日本を世界で卑しめよう、貶めよう」と
行動する韓国人は散見されました。
しかし、政府が音頭をとり、国民運動と呼べるほどに
広範囲の韓国人が参加するようになったのはその頃からです。

 2011年に私は以下のような経験をしました。

香港で開かれた国際シンポジウムで、韓国の外交官が突然、
前後の脈絡とは関係なしに「慰安婦に関し謝罪していない」
と日本批判を始めたのです。

 あまりの唐突さに参加者は白けましたし、司会者も困惑しました。

しかし、この外交官氏は涼しい顔。
出席した日本の外交官によると、この韓国人は
各国の外交官が集まる場で必ず
「日本は悪い国だ」と大声で叫ぶ「外交官離れ」した人とのことでした。

 この頃から「慰安婦像」を米国などで建立する運動が始まりました。

それと並行して、米国の大学に留学した人が、クラスメートから
「韓国人留学生が陰で『慰安婦』など日本の悪行を言い募っているよ」
と言われるケースが増えました。 

戦犯国家と決めつけ
 日本の旭日旗を「戦犯旗」と呼び、

サッカー場に持ち込んだ日本人を糾弾するのも、
韓国紙が日本を「戦犯国」と形容し始めたのも同じ時期からです。
 日本海表記を「東海」に改めさせる運動はその前からありましたが、

これも激しくなりました。ことに韓国人は
「日本海という呼称は日本が侵略に乗り出す過程で名付けた」
と主張するようになりました。 
 事実関係は完全に間違っているのですが「日本の悪行」を宣伝するためにも、
日本海の呼称問題を使い始めたのです。 
 2013年にスタートした朴槿恵政権は日本に対し
「独島(竹島)領有権の主張を放棄せよ」との要求も打ち出しました。
 竹島は韓国が実効支配しているので、国際紛争化しない方が

韓国は得なのですが、敢えて言い出したのです。
これも「独島は日本の侵略主義により一時奪われた。
日本の領有権主張は反省していない証拠だ」
と世界に向け宣伝するのが目的です。

日本を見下すのは韓国だけ

 「日本を見下すのは世界で韓国人だけだ」――という文句があります。

韓国のSNS(交流サイト)でよく見かけます。
使われ方から見て、この文句が含む意味は3つあります。
(1)韓国は日本よりも優れた「上」の国である。
(2)しかるに、世界の人はそれを知らない。
(3)であるから、韓国が日本よりも「上」であることを世界中の人々に

全力で知らしめねばならない。 
 私の見た限りでは、この文句が流行るようになったきっかけは、
2009年頃の韓国紙の1本の記事でした。内容は
「韓国人が日本を見下すのを見て、 第3国の人が驚いた」というものでした。
韓国が日本よりも「上」である理由も、
驚いた人の名前も明示されていない短い記事でした。
 そしてこの記事以降、

「日本を見下すのは……」
――という文句をあちこちで見かけるようになりました。
韓国の空気をよく表すエピソードです。

米下院での勝利体験
――2010年前後から「卑日」が本格化したのは、その頃に

「韓国が日本よりも上」との自信を付けたからですか?
鈴置:ええ、それが最大の理由でしょう。

21世紀に入り、サムスン電子が日本の電機産業を圧倒しましたし、
現代自動車も販売台数でトヨタに迫りました。
2010年頃には韓国産業が日本を追い越し快進撃中、
との認識が日韓で広まりました。 
 それに同年の尖閣諸島の中国漁船衝突事件で、菅直人政権は
中国にいとも簡単に屈しました。これが効きました。
韓国ならずとも世界が日本の弱腰にあきれ果てたからです。
 韓国は「日本には何をやっても大丈夫」との空気が満ちました。

2012年、李明博大統領も竹島に上陸した後
「日本はもう恐れるに足らない国」との趣旨で発言しました。
 見落としてならないのは2007年6月に米下院で

「従軍慰安婦に対する謝罪要求決議」が可決されたことです。
韓国メディアは
「官民が力を合わせて日本を屈服させた」と謳い上げました。
 「米下院での勝利」は米国を味方に付け日本を叩く

――という手法を韓国が活用するきっかけとなりました。
今年4月の安倍晋三首相の米議会演説を
官民挙げて阻止しようとしたのも、相当な無理筋の話なのですが、
この成功体験が背景にありました。

「日本との歴史戦に勝ち抜こう」
 2014年2月8日の朝鮮日報社説

東海表記、慰安婦 マンガ展で日本に勝とうとする民間の力
(韓国語版)は、韓国が米国の教科書に初めて「東海表記」を
盛り込ませるのに成功した際に書かれたものです。
 「日本との歴史戦は長期戦になるが、団結して勝ち抜こう」と
韓国人に呼び掛けています。骨子は以下です。 

韓国と日本は今、日本の侵略の歴史否定、独島(竹島)領有権主張、

東海(日本海)表記などで世界のあちこちで争っている。
どちらが普遍的で妥当な論理を持って世論を動かせるかに勝敗がかかる。
長期戦になるしかない。
米バージニア州は2014年7月から全米で初めて公立学校の教科書で

「東海・日本海」表記を採用する。
米国に住む韓国人、韓国系下院議員が大きな力を果たした。
韓国政府も後ろから助けた。

東京五輪阻止に「放射能」
――韓国は今後、何をテーマに「卑日」してくるのでしょうか。
鈴置:「日本の栄光に泥を塗る」という卑日の趣旨から考えて、

2020年の東京五輪を標的にする可能性があります。
というか、すでにその誘致の段階から、韓国は妨害工作に出ていました。
 東京五輪が決まった直後に、中央日報が

韓国が2020東京五輪を喜ぶ2つの理由」(2013年9月17日、日本語版)
という記事を載せました。 

(2013年9月)6日午前、韓国政府は福島県など8県の水産物の輸入と

国内流通を「9日」から全面禁止すると発表した。
海がない内陸で韓国への水産物輸出実績が「0」の

群馬・栃木県が含まれたのは、どういう理由か分からない。
五輪開催都市確定のわずか40時間前に急いで発表したのも問題だ。
もし東京が落選したとすれば、韓国はすべての疑いをかけられたかもしれない。

 この記事にもあるように、韓国政府は福島の原発事故から

1年半もたって日本の8県の水産物を
「放射能汚染恐れがある」として輸入禁止にしました。
日本はもちろん韓国でも、
東京五輪阻止に向けた作戦と見る人が多かったのです。

 何せ、五輪開催都市を決める会議の直前、それも

「フクシマの放射能汚染問題」が決定に影響しそうになった瞬間、
韓国が「輸入禁止」を発表したからです。

 内陸県で韓国には水産物の輸出実績のない、群馬、栃木という

「東京都に近い県」も対象にしたので、
韓国の動きはさらに怪しいものに映りました。

日本の恨み買う

 東亜日報も同じ主張の記事を載せています。

韓日対立の最大の被害者は『在日同胞』
(2013年9月23日、日本語版)です。ポイントは以下です。 

日本産の水産物輸入禁止の発表時期は、多少残念だった。

輸入禁止を発表した(2013年9月)6日は、
2020年夏季五輪開催地の発表2日前だった。
多くの日本人は、韓国政府が日本の五輪誘致を妨害するために

意図的に6日に発表したと誤解している。
もし、日本が五輪を誘致することができなかったら、
非難の矛先が韓国に向けられるところだった。

――中央、東亜の両紙はなぜ、こんな記事を載せたのでしょうか。
鈴置:在日韓国人が「日本の足をあまりに露骨に引っ張ると、

日本人の怒りが我々に向かう」と文句を付けたからと見られます。
 いずれの記事も東京特派員が書いています。

後者では「最大の被害者は『在日同胞』」と見出しをとっています。
 在日韓国人から抗議された韓国の一部記者が

「すぐに底が割れるような、露骨なやり方は避けるべきだ」と
韓国政府に建議したのでしょう。 
 さすがに「東京五輪の誘致を妨害するための水産物の輸入禁止」
とは書けないので「日本人の誤解」ということにしたのでしょうけれど。

約束を破ってこそ「上」
――しかしまあ、実に丹念に他人の足を引っ張る国ですね。
鈴置:他人の足を引っ張る人はどこにもいますが、

韓国社会はそれが極端なのです。
ソウル特派員時代、韓国の識者をインタビューするたびに、
必ず他の韓国人がその人の悪口を言ってくるので驚いたことがあります
(「なぜ、韓国は東京五輪を邪魔したいのか」参照)。
 韓国人同士も日常的に激しく足を引っ張っているのですから、

宿敵たる日本を貶めるのは不思議ではありません。

――とはいえ、韓国のやり方は露骨過ぎます。

世界遺産の時も、
約束を破ってまで日本を貶めようとしたのですから……。
鈴置:
約束を破ってこそ「卑日」なのです。

韓国社会では「上」の人は法律やルールを破ってよい。
というか破ってこそ「上」の人と見なされるのです。
 日韓外相会談の約束も、破って見せてこそ世界に

「韓国が日本の上にある」と示せると韓国人は考えたのだと思います。
 東京五輪に関してもそうです。

韓国が露骨に邪魔しても日本は手も足も出ない
――この姿を世界に示してこそ「韓国が上」となるのです。
「卑日」の本質がここにあります。

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