慰安婦問題について、いろんな報道: ユネスコのいい加減さも浮き彫りに・・記憶遺産に登録された「南京虐殺文書」 中国が申請したずさんな目録。「見解が全く違う」義家副大臣が南京事件登録で不快感、 中国文科相「歴史決定」と反論。日中韓、各国五輪へ交流強化/文化相会合が行動計画。世界記憶遺産、制度見直しへ ユネスコ事務局長が明言。その他関連。

Translate

2016年1月10日日曜日

ユネスコのいい加減さも浮き彫りに・・記憶遺産に登録された「南京虐殺文書」 中国が申請したずさんな目録。「見解が全く違う」義家副大臣が南京事件登録で不快感、 中国文科相「歴史決定」と反論。日中韓、各国五輪へ交流強化/文化相会合が行動計画。世界記憶遺産、制度見直しへ ユネスコ事務局長が明言。その他関連。

【記憶遺産】中国、ずさん目録で申請 
「南京大虐殺文書」 ユネスコ審査も1委員だけ…
国連教育科学文化機関(ユネスコ)記憶遺産に
中国の「南京大虐殺文書」が登録された問題で、
中国が登録申請の際にユネスコに提出したのは、
資料の一覧と、資料を保管する
7カ所の公文書館名を記しただけの
目録だったことが9日、わかった。

 日本政府は昨年12月に
中国側より外交ルートで目録の提出を受けており、
各公文書館で資料の確認を急ぐ。
 申請資料として目録が提出されるのは通例だが、
多くは詳細な内容を記載しており、日本の場合は
「何の資料が棚の何段目にあるかなども含めて
詳細に記している」(外交筋)という。
中国側の資料の
ずさんさが改めて浮き彫りになったといえる。

 南京文書の目録に一覧として挙げられた資料は十数種類。
「南京市民の羅瑾が死の危険を冒して保存した16枚の写真」や、
「大虐殺」の様子を書き留めた唯一の中国人とされる
程瑞芳の日記も含まれているという。
これらの資料について中国側は一方的に
「虐殺の証拠」と主張しているが、
多くは日本人学者らの調査によって否定されている

 一方、最初の審査機関となる「登録小委員会(RSC)」で、
南京文書を担当し「登録可」との評価をしたのは
1人のベテラン公文書管理の専門家だったことがわかった。

 RSCでは、9人の委員が
申請案件を分担して審査するしくみになっている。
昨年は全88件の申請があったことから、
委員1人あたり約10件を担当したとみられる。
「各委員の意見は尊重される」(関係者)といい、
委員が相互に審査結果をチェックする機能はないようだ。

 このベテラン専門家は記憶遺産事業に
長年携わり、地域レベルの申請を審査する
アジア太平洋記憶遺産委員会(MOWCAP)の
議長を務めた経験があり、
関係者の間では「重鎮」として影響力もある。
中国側に追加の資料提供を求めていたという情報もある。

 南京文書は、RSCで「登録可」の評価を受け、
上部組織の「国際諮問委員会(IAC)」に勧告された。
昨年10月のIACでは日本側の働きかけもあって、
南京文書の登録に否定的な意見も出たが、
最終的に多数決で登録が決まった経緯がある。
関係者によると、
IAC委員の多くは目録さえ見ていない可能性があるという。

 記憶遺産はユネスコが実施する一事業だが、
厳格に運営される世界遺産と比べ
「審査過程はブラックボックス」(政府筋)と指摘されている。
南京文書をめぐっても、
申請から登録可否の決定までの過程のずさんさについては
日本政府も把握している。
政府は、記憶遺産制度全体の正当性を揺るがしかねないとして、
引き続きユネスコに制度改革を強く求めていく方針だ。
日中韓文化相会合で記念撮影する(左から)
韓国の金鍾徳文化体育観光相、中国のラク樹剛文化相、
義家弘介文部科学副大臣=20日、中国山東省青島市(共同)

義家弘介文部科学副大臣は19日、
中国の●(=各の右にふるとり)樹剛文化相と会談し、
中国が申請した「南京大虐殺の資料」が国連教育科学文化機関
(ユネスコ)の記憶遺産に登録されたことについて
「(日中)双方の主張と見解がまったく違う」と不快感を示した。
●(同)氏は「歴史として決定している」と反論した。
 義家氏は、韓国の金鍾徳文化体育観光相とも会談し、
韓国で慰安婦に関する資料の記憶遺産登録を目指す動きがあることに触れ
「大きな問題にならないよう対応をお願いしたい」と懸念を伝えた。
 義家氏は●(同)氏に対し

「不幸な歴史を乗り越え、未来をつくらなければならない」
として文化交流の促進を訴えた。
金氏との会談では、長崎県対馬市から盗まれ、
韓国に持ち込まれたままの仏像1体の返還も求めた。(共同)

朝日新聞デジタル
義家弘介副大臣、中韓と会談 慰安婦問題など懸念伝える
青島=佐々波幸子 2015年12月19日21時45分

日中韓文化大臣会合に出席のため中国・青島市を訪れている
義家弘介文部科学副大臣は19日、
韓国の金鍾徳(キムジョンドク)文化体育観光部長官(大臣)と会談し、
ユネスコ世界記憶遺産慰安婦問題を登録する動きが
韓国の民間団体にあることに触れ、
「大きな問題にならないような対応を」と懸念を伝えた。
金長官は「透明性が大切だ」と答えたという。
韓国側からはヘイトスピーチなど
日本の「嫌韓デモ」を遺憾に思うと伝えられた。
 また、長崎県対馬市の寺から2012年に盗まれた
県指定有形文化財の仏像の返還を改めて要請した。
日本に渡った経緯が判明するまで返さないように命じる仮処分を
韓国の裁判所が出しており、韓国側からは
「司法の判断を待っている」との説明があった。
 一方、中国の文化部長(大臣)との会談では、 
記憶遺産に南京事件が登録されたことを巡り、
義家副大臣が
「双方の主張と見解がまったく違う問題が発生している」と伝え、
プロセスの透明性や公開性の確保を要請。
中国側からは「歴史として決定している」と反論があり、
議論は平行線をたどったが、
「平行線を乗り越えて交わっていく力が
三国間の文化交流にある」と確認しあったという。
 日中韓文化大臣会合は07年に始まり、今回が7回目。 
当初、10月に開かれる予定だったが、
中国側の都合で遅れ、予算折衝の大詰めを迎えている馳浩文科相に代わり、
義家副大臣が出席した。(青島=佐々波幸子)


ユネスコのイリナ・ボコバ事務局長(右)と
握手する馳文科相=6日、パリ(共同)

世界記憶遺産、制度見直しへ ユネスコ事務局長が明言
2015/11/06 21:12共同通信
 【パリ共同】国連教育科学文化機関(ユネスコ)の
イリナ・ボコバ事務局長は6日、
パリのユネスコ本部で馳浩文部科学相と会談した。
中国の「南京大虐殺」資料が登録された
世界記憶遺産制度について
「透明性の確保が必要だ」と述べ、
改善の検討に着手したことを明らかに した。
馳氏はユネスコ加盟国の合意形成を目指し、
佐藤地ユネスコ政府代表部大使に働き掛けを指示した。

 会談でボコバ氏は「分断ではなく融合の原則が大事だ。

加盟国間で問題意識の共有が必要だ」と強調。
登録に当たって関係国が対立するような事態を避けるため、
具体策を検討する考えを示した。
  
記憶遺産審査見直し、ユネスコ着手…事前協議案
2015年11月01日 15時36分 YOMIURI ONLINEホームへ
 【パリ=本間圭一】国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)が、
世界記憶遺産の登録手続きの見直しに着手したことが分かった。

 複数の関係者が明らかにした。

 登録候補の文書の内容に複数の国が関与する場合、
関係国で事前に協議した上で申請する仕組みを
義務化する改革案が検討されている。
来春のユネスコ執行委員会で改革案が承認されれば、
次回2017年の記憶遺産の選考から適用される可能性がある

 ユネスコは今年10月、中国が申請した「南京大虐殺の文書」について、

日本政府が懸念などを伝えたにもかかわらず、記憶遺産に登録した。
日本政府は「中立・公平であるべき国際機関として問題」とユネスコを批判。
馳文部科学相は3日から始まるユネスコ総会に出席し、
制度改善を働きかける。

ユネスコ委に日本人派遣へ…記憶遺産に発言力
読売新聞 10月31日(土)3時5分 最終更新:11月1日(日)14時48分
 政府は30日、世界記憶遺産の審査に影響力を持つ
国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)のアジア太平洋地域委員会に、
日本人委員を送り込む方針を固めた。
 日本がユネスコに慎重な対応を求めたにもかかわらず、
中国が申請した「南京大虐殺の文書」が
世界記憶遺産に登録された教訓を踏まえた。
政府は委員派遣を通じ、
審査過程における日本の発言力を高めたい考えだ。
 ユネスコの記憶遺産には〈1〉世界〈2〉地域〈3〉国内
――の三つのレベルがある。
審査は各レベルの委員会で個別に行われる。
世界レベルの場合は、14人で構成される国際諮問委員会が審査し、
ボコバ事務局長に登録を勧告する。
ただ、諮問委員の選考基準は明らかでなく、
日本が委員の派遣を申し出ても、受け入れられる保証はない。
産経ニュース2015.10.30 12:51更新 【世界記憶遺産】
馳文科相のユネスコ派遣 
萩生田副長官「日本側の提言に期待」
萩生田光一官房副長官は30日午前の記者会見で、
国連教育科学文化機関(ユネスコ)総会に
馳浩文部科学相を政府代表として派遣することを
閣議で決め たことに関し
「ユネスコの記憶遺産の在り方について、
日本側としての思いや提言をしていただきたい」と述べ、
制度改善を求める考えを改めて示した。

 萩生田氏は

「ユネスコの世界遺産制度そのものが、
2国間や複数国の見解の違いから
争いのもとになるという問題認識を持っている」と強調。
「日本政府としては(登録された資料の)内容について
疑義を申し上げているところだ」と述べた。
 日本政府は、中国がユネスコに申請した

「南京大虐殺文書」が記憶遺産に登録されたことに対し
「政治利用」と批判。登録された南京事件について
両国の見解が異なり、審査も不透明なことから、
記憶遺産の制度そのものや審査方法の改善を求めている。

【世界記憶遺産】「ユネスコ分担金を停止し、広報活動費に」 
「『南京大虐殺』の歴史捏造を正す国民会議」が安倍晋三首相に要請
【世界記憶遺産】日本政府、ユネスコ審査部門への
日本人起用を働きかけ強化 菅官房長官「改善強く求める」
【世界記憶遺産】南京登録は日本外交の“敗北” 
松浦前ユネスコ事務局長「部分的に取り消す手順ある」
【世界記憶遺産】河野洋平氏「南京虐殺あったのは事実」
「分担金停止恥ずかしい」
【世界記憶遺産】岸田外相「登録制度改善の実現に尽力」 
中国の南京大虐殺の登録申請で
【世界記憶遺産】安倍首相、楊国務委員に「遺憾」伝達 
南京大虐殺登録申請、自民党は拠出金停止へ決議文
「中国新聞趣聞~チャイナ・ゴシップス」
南京事件「世界記憶遺産登録」の教訓
歴史的事実の追求か、

政治的視点の戦略か
福島 香織  >>バックナンバー
2015年10月21日(水)
国連教育科学文化機関(ユネスコ)の
世界記憶遺産に中国が申請していた
旧日本軍による南京事件に関する資料11点が登録された。
同時に申請された 「従軍慰安婦」に関する資料の登録は却下された。
これは日本にとっては、かなり大きな外交的失点であるし、
中国の国連外交の底力を見せつけられた、といっ ていいだろう。
今後の日中関係にも大いに影響すると思われるので、
今回は中国側の立場と思惑を中心に、

このテーマに日本はどう対処していけばよいのか、を考えてみたい。

新華社「中国の申請が成功」

 中国国営新華社通信はこう報じている。
 「中国の申請が成功し、"南京大虐殺公文書(中国語で档案)"が
正式に国連世界記憶遺産に登録された。
現地時間の9日夜、
パリのユネスコ本部が2015年の世界記憶遺産登録リストを公表し、
新たに登録された47項目の中に"南京大虐殺公文書"の名前があった。
同時に日本軍の強制慰安婦関連資料は 残念ながら落選した。
これにより、大戦史上三大人類大虐殺(南京大虐殺、
アウシュビッツ強制収容所、広島原爆投下)に関する歴史史料が
すべて世界文化遺産に入った」
 「2010年3月に、世界記憶遺産暫定リストに申請。
2014年6月、ユネスコの世界記憶遺産事務局側が
中国側の申請した資料11点について受理した。
今年10月4~6日に、国際諮問委員会が
アラブ首長国連邦アブダビで開かれた第12回会議で、
世界から申請のあった90項目のリストに関して審査した。
これに"南京大虐殺公文書"と
"慰安婦-日本軍性奴隷公文書"が含まれる。
 ユネスコの紹介文によると、
"南京大虐殺公文書"は三部構成になっており、
①1937~1938年当時の南京大虐殺事件に関する資料
②1945~1947年の中華民国政府軍事法廷の戦後調査と
  戦犯判決に関する資料
③1952~1956年の年中華人民強国司法機関の文献に分類される。
  " 性奴隷公文書"は1931~1949年の慰安婦の実態と
   彼女らが遭遇した苦痛の記録である」

"公文書"の中には含まれるのは具体的には次のようなものだという。
①国際安全区の金陵女史分離学院舎監の程瑞芳の日記
②米国牧師のジョン・マギーの16ミリカメラとオリジナルフィルム
③南京市民・羅瑾が死守した日本軍が平民を虐殺したり、
 女性をいたぶり強姦している様子を自ら写した写真
④中国人・呉旋が南京臨時参議会に贈った日本軍の暴行写真
⑤南京軍事法廷での日本戦犯・谷寿夫への判決文の原本、
   米国人・ベイツの南京軍事法廷上での証言
⑥南京事件での生存者・陸李秀英の証言
⑦南京市臨時参議会南京大虐殺事件敵人罪行調査委員会調査表
⑧南京軍事法廷での調査罪証
⑨"南京占領-目撃者記述"と題された外国人の日記、南京市民の証言…。

中国の重要な外交カードに
 新華社によれば、「これら内容の真実性、重要性、独自性は、
ユネスコに次のように評価された。
"この公文書の歴史的ルーツは明晰であり、記録の真実性は信用できる。
資料が相互に補完し合って、完全な一連の証拠となっている。"
 南京大虐殺記念館の朱成山館長は
『"南京大虐殺公文書"は人類の傷跡の記憶の一部であり、
人類文明の発展に対して十分重要な啓示的意義があり、
世界遺産の地位にふさわしいと思う』とコメント。
南京市師範大学南京大虐殺研究センター主任の張連紅教授は
『中国史学専門家と民衆は、この世界記憶遺産申請の成功は
日本の右翼勢力に対する有力な反駁と反撃になるだけでなく、
日本社会の認知度を改変し、正確な歴史観の樹立のたすけとなり、
また世界人民の戦争の残酷性、歴史の記憶、平和を尊び気持ち、
人類の尊厳を共に守るということへの認識の一助となるだろう』と語った」
 新華社報道を一読して分かるように、中国は何年もかけて、
この南京事件の世界記憶遺産登録にむけて準備をしてきた。
私は「南京事件がなかった」と いう立場ではない。
だが、ベイツ・リポートやマギー・フィルムなど、
その信ぴょう性が論争の的になっている資料をまとめて
"南京大虐殺公文書"と名付けてしまう
中国の歴史認識国際プロパガンダに、このまま流されてしまうことは、
日本の外交にとってはかなり危険であろうと感じている。
このあたりの歴史は、今 後の中国の領土・主権の主張や、
外交駆け引きの重要なカードになっていくだろう。
南京事件とは、どういう事件であったかについては、
日本国内でも、
「こういう事実があった」と断言できる人は決して多くなく、
一方「なかった」という証拠も何ひとつなく、
その犠牲者の数についても規模についても議論がある。
 南京事件についての研究者や、その論文、書籍は、
中国よりもむしろ日本の方が多く、
その研究も進んでいると思われるが、
自由な研究や言論が活発なほど、その真相というのが
一層わからなくなってくるものなのだ。
その点、中国は歴史というものを「真実の追求」ではなく、
あきらかに政治として取り扱って いるので、
政府が、大虐殺があった、と断言すればあったことになり、
犠牲者が30万人といえば30万人が事実になる。

真実の追求か、政府の断言か
 南京事件の残虐な写真として中国で流布していたものが、
実は同じ年の1937年7月29日に通州(現在の北京市通州区)で起きた
日本人居留民虐殺 事件の写真であったとか、
南京虐殺の犠牲者写真として新聞に使用されていた生首の写真が、
じつは1931年の馬賊の処刑写真であったとか、
かつて南京事件の"証拠"とされてきたものの中にフェイクが混じっていた。
 あの時代の戦争で、旧日本軍が捕虜や民間人の殺害を
行わなかったということは私自身、あり得ないと思っているが、
ではドイツ・ナチスの民族浄化や 長崎・広島の原爆投下と並べられる
規模の大虐殺が繰り広げられたのだ、と断言されれば、
そうではないだろうと反論したい気持ちは抑えられない。
 厄介なのは、日本とて清廉潔白であるとは言い難く、
あの当時の戦争の常であったとはいえ、
戦時国際法に違反する行為は多々あったと思われることだ。


それが国民党軍の行ってきたような
黄河決壊作戦などとどちらが非道であったか、
という比較はひとまずおいておこう。
 卑近な例を挙げて考えれば、ある組織の中で、
周囲の雰囲気に流されて、昔にセクハラ行為をやった男が、
そのセクハラ被害者にレイプ犯だと訴えられ たとき、
「俺は何もやっていない!」と言えるかどうか。
しかしながら、ほうっておけば、
やったこと以上の何倍もの罪をかぶせられる。
当時、被害者は圧倒的 弱者であったが、
いまや出世して発言権も強くなり、
周到に根回して周囲を味方につけてしまった…。
こういう状況で、自らの冤罪を晴らす、あるいは
正確な罪の大きさをはかるにはどういう方法があるか、
という話である。
 それにはまず、南京事件について、
なぜ中国が自国の主張する歴史認識を国際社会に
かくも確実に広めることができたかを考えないといけない。
 かつて中国の
「パブリックディプロマシー
(公共外交=民間の文化・人的交流などを通じて
相手国の世論を自国に有利に誘導する外交の在り方)」について
取材したとき、清華大学のある専門家から
「日本はアニメや漫画など公共外交に必要な文化資源を
中国より多く持ち、
自国の国際社会でのイメージアップに非常に成功している。
だが一つ大きな失敗をした。
それが歴史認識世論の形成の失敗だろう」と指摘されたことがある。
米国の「日本洗脳」を研究した中国
 中国は21世紀に入ってから、公共外交で
いかに中国の利益になる国際世論を
形成するかという研究に力を入れている。
そうした研究や論評の中で散見するテーマの一つに
「米国はいかに日本を洗脳したのか」というのがある。
 いわゆるWGIP
(ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム)
についての研究や考察である。
米国に原爆を落とされた日本が、
なぜ、米国を恨まずに同盟国になりえたのか。
それは、米国の巧妙な洗脳戦(WGIP)の成果である、
という見方である。
 「この洗脳戦の最大の特色は、
日本人と日本人のイデオロギー戦を設計したことである。
つまり、米国の利益を代表する日本人とその他日本人の
"戦争"である」(2010年12月 党政論壇幹部文摘
『第二次大戦後の米国の"日本洗脳"』)。
平和憲法、教育制度やメディアを通じて、
日本人が日本人を洗脳したことによって、
日本人は洗脳されたという意識をもないまま、
原爆投下した米国への恨みよりも罪悪感をすりこまれた。
そのプロセスについて、
中国共産党の専門家たちはかなり研究している。
もう少し言えば、その米国のやり方を、
中国も踏襲しようと考えて研究しているのである。
 つまり、日本国内の平和主義者、リベラル左派に
中国利益を代弁させ、日本の世論形成に影響力を与える。
そういう平和主義者を育てたのはもともと米国の戦略である。
ただ、米国の育てたリベラル派はその後、
国際社会の構造変化の中で"反米親中"的になり、
保守派が"親米反中"的になってしまうという捻じれが起きた。
中国の外交路線の基本は、
こういう戦後の日本のイデオロギー対立状況を
よく理解した上での日米離反にある。
中国はこうした米国がうまく日本人に植え付けた
戦争の罪悪感に乗る形で、
南京事件を30万人大虐殺とするロビー活動を展開してきた。
敗戦直後に南京事件を「30万人大虐殺」という形に
定着させたのは米国の思惑も働いていると言えるかもしれない。
 南京軍事法廷、東京裁判でこの大虐殺説を支えたのは、
ベイツやルイス・スマイス(金陵大学社会学部教授)、
ロバート・ウィルソン(金陵大学付属鼓 楼病院勤務医)、
ジョージ・アシュモア・フィッチ(YMCA南京支部長)、
ティルマン・ダーディン(NYタイムズ記者)といった
米国人たちの証言だった。
 彼らが明確に意識していたかは別として、
そこに日本が、原爆投下や東京無差別爆撃以上の
非道を南京で働いたのだという"事実"は、
少しは米国人の良心の呵責を和らげることになったのではないか。
 戦勝国が中心となっている国連で、
日本を最悪の罪人にすることは
中国にとって決して難しいことではなかった。
今年秋、解放軍八一製作所が制作した
抗日映画「カイロ宣言」は、米国原爆投下を
日本がポツダム宣言受諾勧告を無視した「懲罰」だと、
正当化している。
こうして米国の"正義"を肯定する延長上に、
今の中国の歴史認識プロパガンダがある。
 そういう中国の戦略に日本政府が、
なんの対抗策ももてずに来たのは、
一つには日本国内の世論が最大の障害となったのだと思う。
外交官も含め、日本 人の心の中には「30万人は多いとしても、
やはり虐殺はあったのだから、言い返せない」という罪悪感が、
対抗アクションを躊躇させてきたのだ。

改めて、歴史認識とは政治である
 では、こういう事態になって日本は今後どうすればよいのだろうか。
いまさら世界遺産登録を撤回することは可能なのか。
米国やイスラエルのように、 ユネスコ分担金負担を拒否して
抗議の意志を表明するという意見も日本与党から出たが、
日本の世論はどちらかというと否定的であるようだし、
政府からも慎重さを求める声が出ている。
日本がこうした形で国連と対決姿勢を強めることこそ
中国の狙うところではないかという懸念もある。
分担金拒否によって、なんら かの勝算が見込めるなら別だが、
思い付きとはったりだけで勝負するならば、
中国の方が何枚か上手であろう。
むしろ、日本に今も昔も求められてきたのは、
表だった強行姿勢ではなく、水面下の巧妙な外交ではないかと思う。
 正規の外交のことは外交官・政治家に任せるとして、
日本の国民として改めて考えるべきは、
「歴史認識」とは政治である、という点だろう。
日本人の 多くは歴史を過去の事実の連なりだと考えているが、
世界の多くの国にとって、
歴史とは国家の正統性を裏付ける政治である。
そこにすぐばれる嘘があってはな らないにしても、
巧妙に自国の国益にかなう解釈を加える。
そういった自国の利益にかなう歴史認識を国際社会に広めるために、
海外の世論に公共外交と言う形で働きかけるのである。
 私たちはすぐ、歴史的事実に拘るが、
南京事件のように77年たっても真相がつかめない歴史事件については、
いっそ完全に政治としての冷徹な視点で、
日本人としてどのように向き合うかを考えてみてはどうだろうか。
あの歴史的事件を当事国としての罪悪感から考えるのではなく、
その歴史認識が国際政治の中で
どのような意味や影響力を持つかを考えてみるのである。

 
2015年10月19日月曜日
【高橋史朗】ユネ スコ記憶遺産国際諮問委員会報告
2015年10月10日土曜日

中国が申請した南京事件の記録も登録、
「慰安婦」は却下 記憶遺産審査。

0 件のコメント:

コメントを投稿