慰安婦問題について、いろんな報道: 【WSJ、社説】「中国のバフェット」失踪の意味。消えた中国の富豪が仕事に復帰 当局の調査に協力。チャイナリスクが露見 当局拘束で「星野リゾートトマム」買収に暗雲。 星野リゾートがトマムを中国系に売った理由 独占!星野佳路代表に直撃インタビュー(上・下)

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2015年12月14日月曜日

【WSJ、社説】「中国のバフェット」失踪の意味。消えた中国の富豪が仕事に復帰 当局の調査に協力。チャイナリスクが露見 当局拘束で「星野リゾートトマム」買収に暗雲。 星野リゾートがトマムを中国系に売った理由 独占!星野佳路代表に直撃インタビュー(上・下)

星野リゾート トマム
中国の民営投資会社、復星集団会長の郭広昌氏
=11月、中国湖北省(共同)
郭広昌氏(48)
ウオールストリートジャーナル 2015年12月14日13:54 JST 更新
【社説】「中国のバフェット」失踪の意味 
習主席の反腐敗運動、共産党経済支配の手段に
時価総額約150億ドル(約1兆8140億円)の
中国の複合企業、 
復星国際の創業者で董事長(会長)の郭広昌氏が
10日、上海で突然、連絡を絶った。
ここ数カ月、中国の大物実業家たちが
異様な頻度で行方不明になっている。
復星をはじめ、それら企業はいずれも
後日、失踪した幹部が「特定の捜査に協力して いる」と述べている。
いずれにせよ、当局によるこうした拘束は、
習近平国家主席の反腐敗運動が中国共産党による
経済支配を復活させるための
取り組みになりつつあることをあらためて示している。

 復星の汪群斌・総裁(社長)は
13日、郭氏が拘束された理由について「個人的な問題」だと述べ た。
郭氏は同僚に電話をすることが許されていることから、
捜査当局は郭氏に別の誰かを立件するための
証拠を提供させようとしている可能性がある。
しかし、 共産党の中央規律検査委員会は捜査の詳細は公表せず、
彼らの業務に法の手は及ばないため、事実を知るよしもない。

 郭氏らの突然の不可解な失踪を受け、

共産党幹部が感じていた恐怖が民間企業の経営者にまで広がっている。
郭氏は保険会社を土台に多角的複合企業を育て上げたことから
「中国の ウォーレン・バフェット」とも呼ばれ、
高潔でプロ意識の高い経営者で、共産党にも忠実な人物とみられていた。
複数の大物実業家が拘束されていることについて聞かれた際、
郭氏は恐れるものは何もないと断言していた。
中国ではここ数日、郭氏が拘束されるのなら
誰が拘束されてもおかしくないとささやかれ始めている。

 これは中国経済の基本的な真実を捉えている。

つまり、政治的支援の要求には誰も逆らえないということだ。
共産党が意思決定を自由にコントロールできるということは、
最も独立した実業家でさえ、土地や資本、
その他資源を手に入れるためには
役人との関係作りが不可欠だということを意味する。

 役人が失脚すれば、その役人の保護の下で

利益を得ていた人も立場が危うくなる。
全てのビジネスマンに何らかの弱みを持たせることは、
当局にとっても都合がいい。
大物実業家が政治的な同盟を形成して
共産党の権限抑制を要求するのを防げるためだ。

 多くの裕福な中国人が資産や家族を国外に移すのは、

拘束される危険があるためだ。
大物実業家は海外資産を購入することで、
自らのビジネスが政治的な脅しにさらされるのを防ごうとしている。 
郭氏率いる復星はここ数年、マンハッタンのオフィスビルや
仏リゾート運営企業クラブメッド(地中海クラブ)などを相次いで買収してきた。
その資金は融資や起債、新株発行で賄っている。

  郭氏は、現在「重大な規律違反」で捜査を受けている

艾宝俊・元上海副市長と親しくしていた。
また、国営新華社通信によると、国営スーパーマーケットチェー ンの
王宗南・元董事長が8月に有罪判決を言い渡された裁判で、
復星の名が挙がっていた。王元董事長は、邸宅2軒を
相場を下回る価格で販売してもらう見返りに復星に便宜を図ったとして、
懲役18年の判決を言い渡された。復星は容疑を否定した。

 艾元上海副市長も王元董事長も江沢民元国家主席と関係があった。

一部アナリストは、習氏の反腐敗運動が現在、江氏率いる
政治グループ「上海閥」を標的にしているとみている。
これは危険な動きだ。
江氏は 習氏が中国政界のトップに上りつめる上で手を貸してきた。
江氏は89歳で10年以上も権力の座から遠のいているとはいえ、
依然相当な影響力を保持している。
しかし習氏は、上海の政治だけでなく
中国政治の隅々に至るまで
自らの支配力を固めたいと考えているようだ。

 郭氏をはじめとする経営者は、共産党への奉仕や

現指導部が掲げるプロジェクトへの支援に努める一方で、
巧みな経営を通じて株主にも尽くしてきた。
しかし習氏は、共産党の規律に沿った経済運営を求めている。
共産党が富の創造より安定と支配を優先する限り、
行方不明になる大物実業家がさらに増えてもおかしくない。

2015.12.14 12:13更新産経ニュース
失踪の中国著名投資家が仕事に復帰
当局の調査に協力
周囲と連絡が取れなくなっていた中国の民営投資会社、
復星集団会長の郭広昌氏が14日、同集団の会議に出席し、
仕事に復帰した。
連絡が取れなかったのは当局の調査に協力させられていたためという。
中国メディアが報じた。

 郭氏は、米著名投資家ウォーレン・バフェット氏になぞらえ

「中国のバフェット」とも呼ばれる著名人。
復星傘下の企業は11月に北海道占冠村にあるリゾート施設
「星野リゾートトマム」の全株式を約183億円で買収すると発表した。

 中国メディアによると、同集団の幹部は、

調査は同集団に関したものではないと説明している。
調査対象は不明だが、既に汚職で摘発された
企業幹部と郭氏の関係が問題視されているとの観測も出ている。(共同)

2015.12.13 13:31更新2 3
消えた中国の富豪
…新たなチャイナリスクが露見
当局拘束で「星野リゾートトマム」買収に暗雲
中国有数の民間投資会社「復星集団」の会長で、
米著名投資家ウォーレン・バフェット氏(85)になぞらえ
「中国のバフェット」とも呼ばれる郭広昌氏(48)が、
10日から当局の拘束下におかれ、
周囲と連絡が取れなくなっている。(SANKEI EXPRESS)

  中国メディアが報じたもので、これを受けて関連株が軒並み下落。

上海証券取引所では11日に復星傘下企業の上場株が取引停止となった。
復星は日本とも関わ りが深く、傘下の上海豫園旅游商城が
先月、北海道占(しむ)冠(かっぷ)村(むら)にある
スキーリゾート「星野リゾートトマム」の全株式を約183億円で取得したばかり。
トマムはどうなるのか? 
新たなチャイナリスクが露見した形だ。

■「捜査に協力」火消し
  郭会長は中国電子商取引最大手、

阿里巴巴(アリババ)集団の馬雲(ジャック・マー)会長(51)と並ぶ
中国民営企業のカリスマ実業家として国際的にも有名だ。
中国東部、浙江省の農家に生まれ、
上海の名門、復旦大学を卒業(哲学専攻)。
1992年に大学の同窓生4人と復星の前身会社を設立し、
投資、保険、医 薬、不動産など幅広い分野に事業を拡大、
中国を代表する民営複合企業体に育てた。

中国経済誌「財新」(ウェブ版)などによると、

郭氏は拠点とする上海の空港で警察に連れて行かれた。
ただ、何らかの嫌疑で自身が捜査対象になってい るのか、
単に参考人として事情を聴かれているのかは不明で、
復星の広報担当者はメディアに「『捜査協力』で警察に呼ばれているだけで、
(郭氏は)『適切な 手段』を通じて社の主要な決定に関与できている。
上海上場の関連株も、14日には取引が再開される」と語った。
捜査協力の内容についてはノーコメントとし ている。

■無罪に「不公平」
 上海市では現在、艾(がい)宝(ほう)俊(しゅん)副市長(55)が

「重大な規律違反」をしたとして中国共産党の中央規律検査委員会から
取り調べを受けており、これに関連しているとの報道もある。
  また、郭氏は今年8月、中国国有の光明食品集団の会長だった

王宗南氏(60)の親族による不動産取得で便宜を図り、
王氏から何らかの見返りを得ていた容疑で警察に事情を聴かれている。
この際、贈賄罪に問われた王氏には懲役18年の実刑判決が下ったのに対して、
郭氏は無罪放免だったことから、「不公平」との 声が国民から上がっていた。

■民間摘発を強化
 腐敗追放を掲げる中国の習近平指導部は、

これまでは主に党幹部や高級官僚の摘発に力を注いできたが、
今年前半の株価暴落を機に、金融業界などを重点に
民間分野へも追及の手を伸ばしている。
今年後半からは、企業経営者が突然、当局に拘束され姿を消すケースが頻発。
個人資産57億ドル(約6900億円)の郭氏の場合は、初の大物拘束であり、
摘発強化を示す習指導部のサインとも受け取られている。
 だが、本格的な郭氏摘発となれば、影響は甚大だ。

復星は最近は国際展開にも積極的で、日本のトマムだけでなく、
フランスのリゾート施設運営会社「クラブメッド」を買収したほか、
ギリシャのジュエリーブランド「フォリフォリ」、
カナダのサーカス劇団「シル ク・ドゥ・ソレイユ」などにも出資。
東京や米ニューヨーク、英ロンドンなどでランドマーク的な
大型オフィスビルを相次いで手に入れている。
異形の国「中国」とビジネスでパートナーを組むには、どこまでも慎重さが必要だ
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2015年12月13日12:21 世界のニュース トトメス5世 
中国のバフェット、郭広昌身柄拘束 5兆円企業が一瞬で崩壊
中国有数の資産家で企業家の郭広昌が中国当局に拘束され、
反汚職運動の対象だと噂されています。

郭広昌が会長を務める復星グループは株価が売買停止になり、

社債は元本割れで破綻が有力視されている。

中国のバフェット
中国の上場企業・復星集団の郭広昌会長が行方不明になり、

その後当局に拘束されているのが分かり衝撃が広がっている。
中国では「餃子事件」など一部の事件以外は、

捜査の進行状況も被疑者の逮捕も、その後の処遇も発表されません。
逮捕されても逮捕容疑すら公表されず、

逮捕した事実すら認めないまま「失踪者」になる人が大量に存在する。
特に公表すれば政府に打撃と成る事件ではそうで、

連行されたフリーカメラマンや人権活動家に失踪者が多い。
だがそれが世界的な資産家で、

中国でも有数の富豪となれば隠しおおせるものではない。
復星集団の上場会社・復星国際は12月11日に売買停止になり、

さながら「ライブドアショック」の様相を呈している。
復星国際の株価は一時は15元だったが、

停止前は13元台になり、
下げ幅が大きく売買停止になっていました。
復星国際のドル建て社債は

額面1ドルに対して88.3セント(0.883ドル)となり、
企業として破綻したのを示している
郭広昌(48)は過去3年間で企業買収を繰り返して、
小さな保険会社から巨大財閥に拡大しました。
投資手法はウォーレンバフェットに学んだと話していて、

フランスやギリシャのリゾートを多く保有している。
2014年ごろギリシャでは

「中国人による爆買い、乗っ取り」と騒がれたが、
こういう事だったらしい。
ブルームバーグによると郭会長の純資産は

56億ドル(約6840億円)で中国17位となっている。

習近平の汚職狩りターゲット

 復星集団の資産規模は480億ドル
(約4兆9000億円)にまで成長しました。
郭広昌は1967年生まれ、上海の復旦大学で哲学を専攻したが、

貧しかったので仕入れたパンを学生に売り歩いた。
町で仕入れたパンを、店が閉店した後で学生の部屋を

一部屋ずつ訪問して売り、一日1元(約50円)ほどの収入を得た。
ウォーレン・バフェットを真似て保険会社から

(バフェットのバークシャー・ハサウェイも保険会社)買収攻勢を掛けた。
保険会社には徴収した保険料から

多額のキャッシュを確保でき、買収資金を得やすいとされている。
得意としているのは土地転がしとリゾート開発で、

バブル期の日本の土地成金にも似ている。

復星集団は2015年の12月に北海道の「星野リゾートトマム」を

約183億円で買収発表しているが、白紙に戻る可能性があります
中国のメディアによると郭広昌の失踪は、

最近激しさを増している習近平主席の「汚職狩り」と関係がある。
12月9日午後、上海空港で突然連行され、それきり行方不明になった。
9日夜には、「微博(ウェイボー)」の郭広昌の書き込みが

(おそらく当局によって)すべて削除されました。

上海市前副市長の艾宝俊氏と企業幹部の汚職を捜査しているが、

郭広昌もこれに関係している疑いがある。

習近平の反汚職運動については

「逮捕されるのは習近平反対派だけ」という悪評が聞こえてきます。

習近平の最大の政敵は江沢民であり、

江沢民の息が掛かった人物が次々に拘束されている。

復星集団は前政権時代に急成長したので、

江沢民派の資金源になっている事は充分に考えられる。
このまま会長の拘束が続いたり、逮捕・起訴になれば
復星集団は破綻するか、習近平派に乗っ取られる可能性が高い
「実家の軽井沢だって売却した。
トマムの売却はなんら特別なことではない」
と語る星野佳路氏(撮影:梅谷秀司
星野リゾートがトマムを中国系に売った理由
独占!星野佳路代表に直撃インタビュー(上)
松浦 大 東洋経済 記者 2015年12月062 3 4
国内各地で高級旅館やホテルを展開し、
老舗旅館の再生実績も多い星野リゾート。
11月11日、同社は2005年から全面的に再生を手掛ける、
「星野リゾート トマム」
(北海道占冠〈しむかっぷ〉村)の所有者が変わると発表した。
トマムの運営は従来通り星野リゾートが継続するが、

12月1日から中国のコングロマリットの
フォースングループ(復星集団)傘下の企業が所有者となる。
北海道のニセコなど、全国各地で中国系企業が

ホテルや旅館を買い漁るイメージが先行していることもあり、
トマムの件は話題を集めた。
なぜ相手が中国企業なのか。
狙いは何か。星野佳路代表が真意を語った。 

トマム再生には10~15年の時間がかかる
──トマムを売却する理由は?
1991年に、僕が星野リゾートの社長になったときから、

星野リゾートは「運営会社になるんだ」ということを掲げてやってきた。
基本的には(不動産や建物の)「所有」と、
ホテルや旅館の「運営」を分離する方針だ。

もともと「星野リゾート トマム」は米国系ファンドのグローブが

80%を所有しており、星野リゾートは20%しか持っていなかった。
われわれはこの10年間、トマムの運営をやってきたし、
これからも運営を続けていく。 
トマムは巨大なリゾート施設で再生には10〜15年かかる。
僕が提案している改善策は右から左までたくさんあるが、

再生の初期段階では短期的に収益をあげる施策を優先してきた。

2006年にグローブと組んでから、再生の第1ステージとして、

スキーリフトを掛け替えたり、
雲海がよく見える「雲海テラス」を設けるなど、
短期的に収益を出すための投資をしてきた。
おかげで安定収益をだすところまできている。
ファンドには、必ず出資している投資家がいて、

どこかで出口戦略を決めなければならない。
9年間という期間は比較的長いが、ファンド側としても、
結論を出す時期に来ていたという事情がある。

ここから再生の第2ステージとして、もうひとリスクとれ、

われわれの成長戦略に合意してくれる投資会社が必要だった。
そのために、今回、フォースンという投資会社と組むことにした。

――トマムの投資会社交代が話題を集めた理由は、

新しい所有者であるフォースンが中国企業だったという点にある。
2014年11月15日号で復星についてリポート。
2014年6月には「ついに日本上陸、中国企業
『復星』の全貌」を配信している

それは偏見だ。会社を見ていなくて、たまたま上場していた場所で見ている。
フォースンという会社は中国だけでなく、
中長期的な視点で、世界中に投資している会社だ。

確か、2014年の「週刊東洋経済」で、フォースンが

日本に投資を始める準備をしているという記事があったはずだ。

中国で上場しているが、もともと学生2人がスタートした民間企業。

フランスのクラブメッド(旧地中海クラブ)などにも投資しており、
国際的な視点を持ったいい会社だ。
ファンドと組んで始まる再生の第2ステージ

――フォースンと組んだ第2ステージの再生戦略をどう描くのか。

2006年に開設し、夏場の集客の成功事例となった「雲海テラス」 

トマムは1983年に開業しているが、日本のスキーリゾートは
どれもバブルの頃に開発されたもので、新しいものはほとんどない。
この20年余りで、世界のスキーリゾートは進化した。
トマムの雪質や山は世界トップクラスのスキーリゾートになる可能性がある。

そのためには、世界の新しい潮流に合あわせた、積極的な投資が必要だ。

昔はゲレンデがあって、そのふもとに、
ベースとなるレストランやホテルがあった。
スキーを担いで、子供の手を引っ張って、歩かなければならなかった。
星野佳路(ほしの よしはる)/1960年生まれ。
米コーネル大学大学院を経て、日本航空開発(旧JALホテルズ、
現オークラ ニッコー ホテルマネジメント)に入社。
1989年に帰国後、実家の星野温泉に入社するも、半年で退職。
シティバンクを経て、1991年に星野温泉に戻り、社長に就任。
現在はグループの代表を務める(撮影:梅谷秀司)

今はゲレンデの中に、
さまざまなアクティビティができる場所が備わっており、
スキーで滑り込み、そのまま出て行く、スキーイン・スキーアウトが一般的だ。
つまりストレスなく、楽しめるリゾートに世界は変わってきた。

「リゾナーレ トマム」は、レストランなどのパブリックな機能はベースにあるが、

すでにリフトを掛け替えて、コースも付け替えた。
スキーで滑り込んできて、滑り出していける、
スキーイン・スキーアウトができるホテルになっている。

それから、閑散期である夏場の集客にも、

中長期的な投資をしていく必要がある。
今までも雲海テラスなど、
夏の滞在を魅力的にするアクティビティをたくさん導入したが、
お客様の声を聞いていると、夏の北海道らしい風景を求めている。

先日もレストラン街「フォーレスタ モール」の一部を壊した。

これからは、20数年前に建てたものを、壊し、新しく建てていく。
こうすることで、トマムというリゾートが北海道らしい風景として、
魅力的に見えるように再編していく必要がある。 

ホテルの「所有」と「運営」は別のノウハウ
──トマムを含めて、ファンドがホテルや不動産を所有し、

星野リゾートが運営を受託する、「所有」と「運営」を
分離する方式を取っている施設が多い。これはなぜなのか。
 

ホテル業界では、1970年~1980年代に、所有と運営の分離が始まった。
この業界において「所有する」というこ とは「投資する」ということ。
「運営する」ということは、接客して、食事を作って、掃除するという、
「サービスを提供する」こと。この2つは根本的に違う ノウハウだ。

不動産投資からすると、ホテルは毎日値上げできるのでインフレに強いが、

オフィスはなかなか値上げできないのでインフレに弱いと言われている。
投資会社のグローブにしたって、フォースンにしたって、
不動産投資のポートフォリオの中で、オフィスやホテルなどに投資している。

世界には、ホテルに投資したいし、所有もしたいけど、

運営はしたくない人の方が多い。
食事も、掃除も、サービスもやりたくない人は、いっぱいいる。
そこは専門である運営会社に任せましょうとなっている。

――運営に特化することは、

星野リゾートにとって、どんなメリットがあるのか。
 2005年に全面改装して誕生した「星のや 軽井沢」。
この星野氏の実家も売却済みだ(撮影:今井康一) 

僕は1991年に実家の星野温泉の社長に就任してから、
「星野リゾートは運営会社になるんだ」と言い続けてきた。
運営会社から見ると、所有しないことは、借金しなくてもよいということ。

バランスシート上の資産や負債を増やさなくて済む。

それで得られるのが、展開の速さだ。

星野リゾートは2001年に「リゾナーレ小淵沢」の運営を受託し、
軽井沢から一歩を踏み出した。
それから15年間で、軽井沢に1軒だった施設は、35軒になっている。
これだけ案件を増やせたのは、所有をしないからだ

1軒が35軒になって、借金も同じように35倍になったら、

金融機関だって、どこか1軒でも大変になったらと思うだろう。
運営に特化して、フィービジネスに切り替えたことが、
星野リゾートが成長してきているポイントだ。

トマム売却で騒いでいる人がいるが、

僕の実家である「星のや軽井沢」も2012年に売却済みだ。
所有と運営を分離することは、
僕たちにしてみれば、何ら特別なことではない。

──実家を売却してまで、スピードを追い求めた理由は何か。
僕らは待っていてもダメ。

北海道ニセコにはヒルトン、箱根にはハイアットリージェンシー、
沖縄にはリッツカールトン、京都にはフォーシーズンズができた。
軽井沢に旅館を1軒だけ所有する会社よりも、
リッツカールトンに運営させたほうがいいという時代がきている。

われわれは投資という点では、ゴールドマンサックスやグローブに勝てないし、

その体力もない。だから運営に特化するという選択をした。

※後編「星野流、規模100倍の外資系ホテルとの戦い方」に続く
「週刊東洋経済」2015年12月5日号〈11月30日発売〉「この人に聞く」に加筆)


2015年12月7 3 4
リゾートの再生にはファンドの資金が必要
――実家の「星のや軽井沢」は、

星野リゾート・リート投資法人に売却している。
トマムでは投資ファンドを選んだ理由は何か。
リート投資法人は性格上、完成した建物を買って、

安定収入を得ることはできる。
ただ、新しい建物を買ったり、リフトを掛け替えたり、
リフトの近くにレストランを作るといった、開発を手掛けることはできない。
破綻したリゾートの再生現場においては、

投資ファンドのようにリスクを取れる資金が必要だ。
彼らは、再生が終わり、価値があがったときに、
売却して利益を得ることを目的としており、
それなりにリスクをとることができる。

そして再生が完了し、収益が安定期にあがるようになると、

価値は急にあがらない。
一般的な再生期間において、
最初にリスクがとれる会社はどこにするのか。
再生が完了した時点で、安定して所有する会社はどこにするのか。
決めることはとても大切だ。

――運営会社なのに、

そこまで投資会社を意識して経営する理由は?
顧客満足度をあげるには、投資をするしかない。
日本の観光産業は、

スタッフというソフトの質という点では、世界レベルにある。
そのスタッフが活躍する舞台であるホテルや旅館は、

バブル経済のころ、20年以上前に建てたものを大事に使っている。
(施設という)ハードと(人材という)ソフトはクルマの両輪だ。

20~30年前に建てられた施設では、どんなにスタッフが優秀でも、
力をすべて発揮することはできない。

経営者の役割はお金を調達すること、

スタッフが働きやすい舞台を作ることにある。
だから、経営者の僕が発言すると、投資となってしまう。

――クルマの両輪ということだが、

2014年の東洋経済のインタビューでは 
「ホテル業界のトヨタを狙う」としている。
星野リゾートのブランドポジションからすると、
フェラーリやポルシェなど、
もっと尖ったブランドという印象がある。

そんなことはない。やっぱり目指すのはトヨタだ。

かつて、自動車メーカーとしては、
米ゼネラル・モーターズ(GM)が世界最大だった。

後発のトヨタ、日産、ホンダが世界に進出し、

成長できたのは、生産性の高さがあったからだ。
規模の経済によるメリットだけで考えれば、

当時のトヨタは、GMには絶対かなわなかった。
そこを、トヨタは各工場の生産性を高めることで、巨大な差を埋めていった。

日本のサービス産業は、圧倒的に生産性が低い。

星野リゾートは、生産性を改善する手法について、
ヒルトンやマリオットよりも、製造業から多くのことを学んできた。
ホテルの中で、一番労働集約な作業は、部屋の清掃と調理だ。
旅館メソッドで外資系ホテルに挑む

大量に時間を投下している、

この2つの作業の生産性を高めるため、トヨタでいう多能工化、
われわれの言葉でいう「サービスチーム」や「マルチタスク」で、
生産性を高めてきた。
12月2日には日本政策投資銀行と組んだ
旅館再生専門のファンドを立ち上げると発表した
(右は政投銀の関根久修・常務執行役員)

世界のホテルの運営会社はみんな同じ。

マリオットもヒルトンもハイアットも、同じ方法で運営されている。
彼らと同じ運営方法をしていては、

規模の大きな外資系の運営会社に勝てない。
大事なのは個々のホテルの生産性だ。
星野リゾートは旅館出身で、外資系のホテル運営会社とは違う。
だからこそ、生産性や収益力、サービスの質が高くて、

投資家も高いリターンを得られるということが大事。
僕はこれを「旅館メソッド」と呼んでいる。

──星野リゾートの自社直営や運営受託を含めた、

グループの取扱高は、約400億円。
マリオットによるスターウッド買収が成功すれば、
単純合算で売上高は427億ドル(約5.1兆円)となる。
2ケタも規模が違う相手に、どう戦いを挑むのか。

海外の運営会社には、どのホテルも運営が同じという問題点がある。

マリオットの総支配人が翌日、ヒルトンの総支配人に、
ハイアットのシェフが、翌日にはヒルトンのシェフになっていたりする。
世界の投資家に話を聞くと、彼らに対しては、

「誰でもできる運営をしている」という不満を持っている。 
今、世界の大都市には、高級ホテルのブランドが60ぐらい存在している。
マーケットセグメントがそれほどあるわけではない。
東京には「パークハイアット」があるので同じブランドは使えない。

今度は「アンダース」を作ろうという、オーナー側の事情によるものだ。
本来、ブランドというのは、顧客との信頼関係を築くことのはず。

オーナー側の事情で、
顧客の信頼を得ていないブランドが増えすぎてしまった。
消費者も60もブランドがあると、

自分にあったブランドがわからないから、
結局はエクスペディアのようなオンライン予約サイト(OTA)や
トリップアドバイザーのような口コミサイトを見ないと、
選べない状況が生じている。
増え過ぎた外資系は再編の必要があったオーナーの事情で、

そういう状態になってしまったことに対する反発は、当然ある。
ブランド評価で有名な、インターブ ランド社が発表している
「世界のトップ100ブランド」に、ハーレーダビッドソンや
ソニーは入っているのに、
ハイアットやマリオットなどホテルはひとつも 入っていない。

運営会社の再編などを通じて、

ホテルのブランドは消費者から見て正しい数まで収束することが、
どこかで起きると思っていた。

投資会社にとっても、運営会社は誰でもできる運営をしているし、

ブランドが増えすぎて、
OTAに高い手数料を支払う、耐え難い状況になっている。

そこに星野リゾートは、旅館メソッドで答えていきたいと思っている。

僕たちは生産性の高い運営方法ができる。
ほかの運営会社と違う方法ができることが、
いかに小さくても投資家に選んでもらえるポイントになる。

「星のや東京」をステップに世界へ
――長期的に星野リゾートの成長戦略をどう描くのか。

 12月10日に改装オープンする「界 加賀」。
現在は全国で13施設を展開している 

長期的な考えはあまりない。ただし、いくつか言っていることはある。
ひとつは温泉旅館ブランドの「界」(かい)を、早く30軒体制にすること。

2005年から言い出して、もう10年経ったが、まだ13軒しかない。
全国の有名温泉地に星野リゾートブランドを出すことは、

顧客の期待でもあるし、界のブランドにとっては大事なビジョンだ。
これは30軒になるまで淡々とやっていく。
それよりも、外資のホテル運営会社と戦える競争力を、

持たなければならない。
 2016年7月、東京の中心部に開業予定の「星のや 東京」は、
世界展開をにらむ旗艦の旅館となる(完成予想図) 

まずは2016年夏、「星のや東京」を出して、きちんと成功させることだ。
東京の中心地に進出することは、星野リゾートが世界に出て行くための、

ステップ、それも重要なステップだ。
東京は世界の名だたる運営会社が乱立している市場。

パークハイアット、マンダリンオリエンタル、コンラッドといった会社と戦い、
星野リゾートのほうが、稼働率も、運営や単価、利益もいいとなれば、
ニューヨークでも「星のや」を出さないか、という話になる。
世界の大都市では、日本車が走り、日本食も食べられる。

なぜ日本の旅館はないのか。その選択肢を与えるためにも、
われわれにとって、とても重要なプロジェクトだし、
投資家からも非常に注目されている。 
「週刊東洋経済」2015年12月5日号〈11月30日発売〉「この人に聞く」に加筆)

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