慰安婦問題について、いろんな報道: 【宇宙の波紋・重力波の初検出】(下)暗黒世界の扉を開く ブラックホール見えた。(上)米、歴史と組織力で圧倒

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2016年2月14日日曜日

【宇宙の波紋・重力波の初検出】(下)暗黒世界の扉を開く ブラックホール見えた。(上)米、歴史と組織力で圧倒

重力波研究の歩み/重力波望遠鏡の仕組み
重力波のデータから模擬計算した
2つのブラックホール(中央)が合体する様子
(想像図)=米LIGOチーム提供
LIGOの検出器では、レーザーと正確に並べた鏡を使って、
重力波が引き起こす非常に小さな動きを検出する。
(PHOTOGRAPH BY MATT HEINTZE, 
CALTECH/MIT/LIGO LAB)

《重力波の観測》
内部を真空にした2本のパイプをL字形に並べ、
それぞれにレーザー光を往復させることで、
重力波によって空間がひずんだときに生じる
わずかな距離の差をとらえる。
LIGOの設備はワシントン州ハンフォードと
ルイジアナ州リビングストンの2カ所にあり、
1本の長さは4キロ。
約3千キロ離れた2施設で同時に測ることで
検出精度を高めている。カリフォルニア工科大や
マサチューセッツ工科大などが共同で運営し、
世界各国の科学者1千人超が参加している。

【宇宙の波紋・重力波の初検出】
(下)暗黒世界の扉を開く ブラックホール見えた
「アインシュタインは正しかった! 
重力波の検出おめでとう。
宇宙を理解するための突破口だ」
 米オバマ大統領は米チームの発表直後、
ツイッターで歴史的な快挙を祝福した。

 ニュースは世界中を駆け抜けた。
闘病を続ける英物理学者のホーキング氏は
「観測結果は私が1970年代に行った
ブラックホールの理論研究と一致している。
自分の予言が実際に観測されるのを、
生きているうちに見ることができ、
わくわくしている」とネット上で心境を明かした。
 ホーキング氏が胸を躍らせたのは、
これまで直接観測できなかったブラックホールを、
重力波で初めて「見る」ことができたからだ。
■ ■ ■
 ブラックホールは非常に重い天体で、
その巨大な重力で全てのものを吸い込んでしまう。
光さえも脱出できない「黒い穴」のような存在だ。
光や電波を観測する望遠鏡では、
決して見ることはできない。
 だが米チームは2つのブラックホールが衝突、
合体する際に生じた重力波をキャッチ。
そのダイナミックな“実像”を映し出す驚くべき成果を挙げた。

日本の観測装置「かぐら」チームの安東正樹東大准教授は

「ブラックホールの合体は、すぐに見つかる可能性は
低いと考えられていたので予想外だ。
新しい天文学が幕を開けた」とたたえた。

 重力波は「聞く」こともできる。
米チームは空間のゆがみである重力波を、
空気の揺らぎである音波に変換して公開した。
はるか13億光年離れた場所から、
地球に届いた宇宙の響き。
それは鳥のさえずりのような不思議な音色だ。
重力波の音:LIGOが観測する2つのブラックホールが
互いに近づくにつれ、放出される重力波の周波数が高くなり、
振幅も大きくなる。
これを音に変換すると、特徴的な「さえずり音」になる。
動画で最初に聞こえる音は重力波の正確な周波数で、
次に聞こえる高周波数の音は人間の可聴域に合わせたもの。

 大阪市立大の神田展行教授は
「重力波の観測は、目で見るより耳で聞くのに近い感覚だ。
寺の鐘の音が高ければ小さい鐘、
低ければ大きい鐘と想像できるように、
星の重さなどを推定できる」と解説する。
■ ■ ■
 重力波研究のターゲットは
ブラックホールなどの天体だけではない。
最も期待されるのは宇宙誕生の謎の解明だ。
 宇宙は138億年前の誕生直後、
ビッグバンと呼ばれる現象で
超高温の火の玉になったと考えられている。
空間は物質の原料となる素粒子で埋め尽くされ、
光は邪魔されて真っすぐ進めない状態になった。
その後、宇宙は徐々に冷えて素粒子同士が結合し
空間に隙間ができ、
38万年後には光が差し込む「晴れ上がり」を迎えた。
望遠鏡で見ることができるのは晴れ上がってからの宇宙で、
それ以前の「暗黒時代」を観測する手段を人類は持っていない。
だがこの原始宇宙は、空間が急膨張した時期でもある。
空間のゆがみの痕跡を重力波として観測すれば、
暗黒時代の重い扉が開かれる可能性があるのだ。
 特に注目されるのは、ビッグバンの直前に起きたとされる
加速度的な急膨張の解明だ。
インフレーション期を経た宇宙膨張の概念図。
図の左端に時空の計量の劇的な膨張が描かれている
(2006年のWMAPのプレスリリースより翻訳)。

インフレーション理論」で提示されたシナリオで、
これが実証されると
宇宙誕生時の姿が見えてくる画期的な発見になる。
 原始重力波は宇宙膨張によって引き伸ばされ、
ブラックホールなどの場合よりも長い波長で届く。
非常に微弱で地球では検出できず、
より高感度観測が可能な宇宙でとらえる構想が進んでいる。

 インフレーション理論の提唱者の一人で
東大名誉教授の佐藤勝彦氏は
「原始重力波の直接観測は今世紀末までには必ず実現し、
宇宙誕生の現場を描き出すだろう」と期待を寄せる。
宇宙はどのように誕生し今日の姿になったのか。
人類が古来、抱き続けてきた大いなる疑問だ。
重力波はその謎を解く究極の鍵として、
重要な手掛かりを与えてくれるだろう。

 この企画は草下健夫、黒田悠希、伊藤壽一郎が担当しました。

【宇宙の波紋 重力波の初検出】
(上)米、歴史と組織力で圧倒
震災も影響、日本「かぐら」出遅れ
 「重力波を検出した。われわれはやった」
 研究チームを率いる米フロリダ大のライツィー教授は
会見でこう話し、笑顔で両手を広げた。
会場から一斉に歓声と拍手がわき起こる。
アインシュタインが100年前に示した予言を、
米国が実証した“勝利宣言”の瞬間だった。
 「ガリレイは400年前、望遠鏡を空に向け
現代の観測天文学を開いた。
それと同じくらい重要な成果だ」。
ライツィー氏は誇らしげに意義を説明した。
中継映像を見ていた大阪市立大の神田展行教授は
「すごいことだ。重力波のみならず、
ブラックホールを人類が初めて直接観測した
大快挙で、ものすごく感動している」と語った。
 日本の研究者は歴史的な偉業に賛辞を惜しまない。
だが胸中には、無念さもあるはずだ。
東大宇宙線研究所が岐阜県に建設した
大型装置「かぐら」が
来月に観測を開始する矢先の出来事だったからだ。
 「悔しさよりも、
重力波天文学がエキサイティングな時代に入ったことを、
よかったと思う」。
同研究所長の梶田隆章氏は12日の会見で、こう語った。
■  ■  ■
米国チームが重力波をとらえたのは
大型装置「LIGO」(ライゴ)。
一辺の長さが4キロに及ぶL字形の巨大施設で、
ワシントン州とルイジアナ州に計2台ある。
1992年に建設計画がスタートし、2002年に稼働した。

 日本はなぜ米国に先を越されたのか。
宇宙論の佐藤勝彦東大名誉教授は
「実力の差が大きかった」とみる。
「米国は日本よりずっと以前から、長い時間をかけて、
多くの人と金を使ってきた圧倒的に巨大な組織。
一番乗りしたのは自然なことかもしれない」
 LIGOの総工費は約1千億円で、
チームが発表した論文には千人もの研究者が名を連ねた。
これに対し日本のかぐらは総工費155億円、
研究者は約250人で大きな開きがある。
 ただ、装置が本格稼働したときの性能はほぼ同水準で、
日本がもっと早く観測に入っていれば
同時に検出できた可能性もある。
 日本学術会議は平成17(2005)年、
「大型装置の早期実現を望む」と表明したが、
国の予算がついたのは22年。
4年後の観測開始が計画されたものの、
東日本大震災で
トンネルの掘削工事が約1年中断し、さらに遅れを招いた。
東大の安東正樹准教授は
「予算がついていれば、という思いはある。
しかし、技術的に可能だったかというと、
何ともいえない。力不足もあった」と明かす。
 米国は装置の感度を10倍に高める工事をしていたが、
いったん中断。
昨年9月、数倍に向上した段階で観測を再開し、
その直後に
ブラックホールの合体で生じた重力波が地球に届いた。
運も味方した形だが、
佐藤氏は「準備した者には幸福が訪れるということだ」と話す。
■  ■  ■
 米チームは米国立科学財団(NSF)から
資金援助を受け、技術に磨きをかけてきた。
財団のコルドバ長官は「資金援助は大きなリスクだったが、
NSFはリスクをとる機関だ」と話す。
基礎研究を支える体制も日米で差があった。
 世界初の栄誉は逃したかぐらだが、
価値を失ったわけではない。
重力波は1台の装置で検出しても、
それが宇宙のどこから来たのかは分からない。
日米欧が協力して複数の装置で観測することで、
発生源の方角を特定できるからだ。
一番乗りを目指してしのぎを削ってきた日米欧は
ライバルであると同時に、
科学の真理を追究する同志でもある。
 日米欧の計4台の装置が力を合わせることで
宇宙と天体の理解を進めることができると、
ライツィー氏は強調した。
 かぐらの近くにある素粒子観測施設での研究で
ノーベル賞に輝いた梶田氏。
かぐらでもノーベル賞級の成果を狙うのかと聞かれ、
こう答えた。
 「やってみないと分からないので
予言は難しいが、科学者なら当然だ」

 天文学に新たな道を開く重力波の初検出。
大発見の背景と今後の展望を探る。
【宇宙の波紋・重力波の初検出】(下)暗黒世界の扉を開く

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