慰安婦問題について、いろんな報道: 通貨交換協定再開を提案した韓国、 体面より「実」を優先、「貸し」を作った日本。悲報、日韓財務対話、新たな通貨協定(スワップ)締結への議論開始で合意。日本にいいことは何もなし。日韓首脳の関係修復に一肌 =「夫婦仲戻した」-バイデン米副大統領。鈴置 高史、二股外交の失敗が加速する「韓国の核」 孤独を癒すにも最終兵器が要る。

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2016年8月27日土曜日

通貨交換協定再開を提案した韓国、 体面より「実」を優先、「貸し」を作った日本。悲報、日韓財務対話、新たな通貨協定(スワップ)締結への議論開始で合意。日本にいいことは何もなし。日韓首脳の関係修復に一肌 =「夫婦仲戻した」-バイデン米副大統領。鈴置 高史、二股外交の失敗が加速する「韓国の核」 孤独を癒すにも最終兵器が要る。

日韓財務対話を終え、笑顔で言葉を交わす麻生財務相(左)と
韓国の柳一鎬・経済副首相兼企画財政相=27日、ソウル(共同)
日韓財務対話で握手を交わす
韓国の柳一鎬・経済副首相兼企画財政相(左)と
ソウルで27日に開かれた日韓財務対話で、
韓国側は通貨交換協定再開を提案した。
同国国内には日本に対して
強硬姿勢を求める一部世論はあるものの、
経済界を中心に将来の不安払拭に向けて
協定の再開を求める声は根強く、
韓国政府としても体面より“実”を優先したとみられる。

 平成13年に始まった日韓の通貨交換協定は、
昨年2月に終了した。
韓国企画財政省や中央銀行に当たる韓国銀行は当時、
「経済指標が良好であり、延長がなくても
特に悪影響はない」との見解を示していた。
 韓国の外貨準備高も比較的十分で、韓国メディアの間にも
「協定延長不要論」が目立っていた。
何より、最大の原因は慰安婦問題での日韓関係の悪化という
「政治的な問題」(韓国財界)にあったとされる。
 ただ、昨年10月に行われた経団連と
韓国の全国経済人連合会(全経連)の定期会合で
全経連側は協定再開を求めた。
米国の利上げなど「金融の不透明化」が理由で、
今年に入っても、韓国経済は主要輸出先の中国の成長鈍化や
英国の欧州連合(EU)離脱決定で、低迷から抜け出せずにいる。
 ひとたび金融市場が混乱すれば打撃を受ける懸念があるうえ、
経済界には、協定再開が経済分野での
対日関係改善の好機になるとの見方もあった。
一方、日本政府は協定再開は
「(韓国側から)話が出れば検討する」
(麻生太郎財務相)との立場だった。
協定は韓国が通貨危機などに陥った際に
日本が救済するという側面が強く、
「日本からお願いするものではない」(財務省幹部)ためだ。

 韓国に進出する日系企業は約700社あるが、
日本から韓国への輸出額は5兆円程度で、
米国や中国だけでなく、EU向けより少ない。
日本は外貨準備高も巨額で、
協定のメリットはむしろ韓国の方が大きい。

 ただ、慰安婦問題をめぐる昨年末の日韓合意を機に
両国関係は改善傾向にある。
さらに、ミサイル発射を続ける北朝鮮や、
尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺で挑発行為を繰り返す
中国との関係を踏まえると、
日韓両国が協力を深める必要性は増している。

 経済面でも、中国の不良債権問題などによって
アジア発の金融危機が起きるリスクはくすぶっており、
協定はセーフティーネットの一つになる。
このため、日本政府も国内世論をにらみつつも、
韓国政府に“貸し”を作った格好だ。
(田村龍彦、ソウル 名村隆寛)

【ソウル=名村隆寛】日本と韓国の財務担当閣僚らによる
第7回日韓財務対話が27日、ソウルで開かれ、
緊急時にドルなどを融通し合う通貨交換協定に関し、
昨年2月に終了したものに代わる新たな協定について
議論を始めることで日韓双方が合意した。
韓国が提案し、日本側が応じた。
 財務対話には、麻生太郎副総理兼財務相と
韓国の柳(ユ)一鎬(イルホ)経済副首相兼企画財政相らが出席した。
 韓国側は、日韓の2国間の経済協力を強化することと、
その「証」として日韓双方が同額となる
新たな協定の締結を呼びかけた。

 麻生氏は「今後ともグローバルや地域的な話で
協調する関係を構築していかないといけない」と答え、
両国は新たな協定が
地域金融市場の安定を高めるとの点で一致した。
新たな協定締結に向けた協議は今後行い、
締結の時期や金額について詰めていく。
麻生氏は終了後、記者団の取材に応じ、
韓国側が新たな協定への議論の開始を提案したことについて
「いざというときのために(外貨は)用意しておくべきではないか。
韓国が(そのように)必要だと判断したと思う」と述べた。
その上で「日韓の経済協力は有益であり、
地域の持続的経済成長に資するものだ」と強調した。
 日韓の通貨交換協定は、両政府が平成13年に締結した。
しかし、24年に当時の李明博大統領が
竹島(島根県隠岐の島町)に上陸するなどで
日韓関係が悪化、昨年2月に打ち切られた。
 日韓財務対話の開催は
昨年5月に東京で開催されて以来。

日韓通貨協定の復活、麻生太郎財務相が「向こうから話出れば検討する」
 【ワシントン時事】バイデン米副大統領は26日に
米誌アトランティック(電子版)が掲載したインタビューで、
安倍晋三首相から韓国の朴槿恵大統領との間を取り持つよう頼まれ、
両者の関係修復に一肌脱いだエピソードを紹介した。
 バイデン氏は3人の間でやりとりがあった時期には触れなかったが、
安倍首相と会談した際、首相から「朴大統領(との関係)について、
私を手伝ってくれませんか」と要請されたと説明。
これを受けてバイデン氏が朴氏に電話し、
関係改善に向けた対応を促したという。
 バイデン氏はインタビューで
「私が(日韓)合意を交渉したわけではないが、
私と2人の間には個人的関係があり、
2人は私を信頼してくれた」と強調。
「夫婦の仲を元に戻す
カウンセラーのような役割を果たすことができた」と語った。
 
THAAD配備決定に抗議して断髪する星州の市民たち。
韓国の国論分裂が進む(写真:Abaca/アフロ)

前回から読む) 早読み 深読み 朝鮮半島
 「核武装宣言」に向け準備を進める韓国。
二股外交の失敗がそれを加速する。
孤立無援の韓国
前回は「韓国が核武装の下準備を着々と進めている」との話でした。

鈴置:注目すべきは朴槿恵(パク・クンヘ)政権の外交的な失敗が
核武装を加速しそうなことです。
韓国は「米中双方から見捨てられる」と焦り始めました。
孤独に悩む韓国に、核武装の誘惑が忍び寄っているのです。
 最近の韓国紙を見ると「孤立無援」
「四面楚歌」と卑下する記事が目立ちます。
米中の間を泳ぎ回って両方から利を得る
――という朴槿恵政権の二股外交が完全に裏目に出たのです。
 地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD=サード)の
在韓米軍配備を韓国は認めました。
すると中国から「報復するぞ」と露骨に脅され、
国中が大騒ぎになりました
(「韓国は『唐と戦った新羅』になれるのか」参照)。
 一方、「米国に捨てられるのではないか」との恐怖も高まりました。
「THAADの怒り」を解こうと韓国が、南シナ海問題では事実上、
中国側に立ったからです

大統領の傲慢
 韓国の現状を「孤立無援」と書いたのは
東亜日報のホ・ムンミョン論説委員。
記事は「米国か中国か」(8月12日、韓国語版)です。
以下が状況認識を披歴した部分です。
今、我々はTHAAD配備を巡り、
米国か中国かの二者択一を迫られる。
政府の外交政策全般にわたる乱脈をさらけ出したのだ。
米国、日本とはすきま風が吹く。
中国からは後頭部を殴られる。
北朝鮮に対して使えるカードは何もない。
孤立無援である。
これは「自分一人ですべてできる」という
大統領の傲慢と情勢分析の失敗、
戦略不在のイエスマンばかりで構成された
外交安保チームの無能による複合的な作品だ。

手厳しいですね。
鈴置:私も驚きました。
「外交乱脈」「大統領の傲慢」「無能」――。
表現が激しい韓国紙にしても、異様な大統領批判です。
朴槿恵外交の全否定と言っていい。
「孤立無援」に韓国人が危機感を深めている証拠です。

米中間でフリーズ
「米国か中国かの二者択一」とのくだり。

違和感を持つ日本人もいると思います。

鈴置:朴槿恵政権がTHAAD配備を正式に容認したので、
日本では「韓国は海洋勢力側に戻った」と思っている人が多い。
でも、それは誤解です。
依然として、韓国は二股外交を続けています。

 「米中星取表」をご覧下さい。
韓国が米国側に戻ったというのなら、
南シナ海など重要案件で米国側に立つはずではありませんか。
現実にはTHAAD問題以外では、
韓国はますます中国側に引きずりこまれているのです。

米中星取表~「米中対立案件」で韓国はどちらの要求をのんだか
(○は要求をのませた国、―はまだ勝負がつかない案件、
△は現時点での優勢を示す。2016年8月25日現在)

案件 米国 中国 状況


日本の集団的自衛権の行使容認 ● ○ 2014年7月の会談で
朴大統領は習近平主席と「各国が憂慮」で意見が一致


米国主導のMDへの参加 ● ○ 中国の威嚇に屈し参加せず。
代わりに「韓国型MD(ミサイル防衛)」を採用へ

在韓米軍へのTHAAD配備 △ ▼ 韓国は「要請もなく協議もしておらず
決定もしていない(3NO)」と拒否していたが、
北朝鮮の4回目の核実験でようやく受け入れた

日韓軍事情報保護協定(GSOMIA) ▼ △ 2012年6月、中国の圧力もあり
韓国が署名直前に拒否。
米も入り「北朝鮮の核・ミサイル」に限定したうえ覚書に格下げして合意

米韓合同軍事演習の中断 ○ ● 中国が公式の場で中断を要求したが、
予定通り実施

CICAへの正式参加(注1) ● ○ 正式会員として上海会議に参加。
朴大統領は習主席に「成功をお祝い」

CICAでの反米宣言支持 ○ ● 2014年の上海会議では賛同せず。
米国の圧力の結果か

AIIBへの加盟 (注2) ● ○ 米国の反対で2014年7月の
中韓首脳会談では表明を見送ったものの、
英国などの参加を見て2015年3月に正式に参加表明

FTAAP (注3) ● ○ 2014年のAPECで朴大統領「積極的に支持」

中国の南シナ海埋め立て ● ○ 米国の「明確な対中批判要請」を韓国は無視

抗日戦勝70周年記念式典 ● ○ 米国の反対にもかかわらず韓国は参加
(注1)中国はCICA(アジア信頼醸成措置会議)を、
米国をアジアから締め出す組織として活用。
(注2)中国はAIIB(アジアインフラ投資銀行)設立をテコに、
米国主導の戦後の国際金融体制に揺さぶりをかける。
(注3)米国が主導するTPP(環太平洋経済連携協定)を
牽制するため、中国が掲げる。

神戸大学大学院の木村幹教授のよく使う

「フリーズした」との表現が、米中間で身動きが取れなくなった
韓国の現状を見事に言い当てています。
米国に怒られTHAADで顔だけ海側に向けた。
しかし、片足はちゃんと大陸に残しているのです。

なぜ、日本では「韓国が海洋勢力側に戻った」
との誤解が蔓延しているのでしょうか。
鈴置:外交関係者が
「韓国を屈服させ、こちら側に引き戻した」と宣伝しているためでしょう。
木村幹教授もそう分析しています
 日本の一部メディアが嫌韓ムードに迎合し
「中国寄り外交に失敗した韓国が日本に頭を下げてくる」
といったニュアンスで報じていることもあります。

恥知らずの中央日報
THAAD配備も白紙化する可能性があるということですか。
鈴置:
あり得ます。
配備予定地では「THAADの強力なレーダーが
人体に影響を及ぼす」と激しい反対運動が繰り広げられています。
このため韓国政府は他の場所を探し始めましたが、
そこでも反対運動が起きています。

一般の国民はどう見ているのですか?
鈴置:韓国ギャラップが8月9-11日に
「THAAD配備」に対する賛否を聞いています。
(韓国語)によると「賛成」が56%、「反対」が31%でした。
 この時点では「賛成」する人が2倍近くいたことになります。
ただ、中国が韓国への報復に本腰を入れたら、
「反対」が急速に増えると思われます。
 7月8日の配備正式容認の後、
ハンギョレなど左派系紙に加え、
保守系紙の中央日報も連日のように、
反対派の寄稿を載せました。
 ナショナリストの趙甲済(チョ・カプチェ)氏が
中央日報を読んで「だったらTHAADの代案はあるのか。
北朝鮮の核ミサイルから
国民を守る方法を示せ」と激怒したほどです。
 趙甲済氏は自らが主宰するネットメディアに
中央日報の空想」(7月26日、韓国語)を載せ、
厳しく批判しました。前文を訳します。
自主国防ができる経済力を持ちながら、勇気や責任感がなく、
外国に国防を依存する国家や国民、
そしてメディアはどんなことでもする。
恥を知らないからだ。中央日報がその証拠である。

「反米」と「恐中」の共闘
これまた激しい批判ですね。
鈴置:
日本の安保不感症のメディアは、

趙甲済氏が韓国人で幸いでした。
この人が日本人だったら
「恥知らず」と毎日、断罪されていたでしょう。
 趙甲済氏がこれほど中央日報を手厳しく批判したのも、
THAAD配備がいつひっくり返るか分からない状況だからです。
 THAADに反対するのが
反米色の濃い左派だけなら話はまだ簡単です。
しかし保守勢力の中核をなすはずの経済界も、
THAAD配備に否定的です。
中国が報復の1つに経済制裁を挙げているからです
(「環球時報が中国政府に建議した5つの対韓制裁」参照)。

■環球時報が中国政府に建議した「5つの対韓制裁」
(1)THAAD関連企業の製品の輸入禁止
(2)配備に賛成した政治家の入国禁止と、
そのファミリービジネスの中国展開の禁止
(3)THAADにミサイルの照準を合わせるなどの軍事的対応
(4)対北朝鮮制裁の再検討
(5)ロシアとの共同の反撃
注)環球時報の英語版「Global Times」では
(7月9日)で読める。
 中央日報はサムスングループの創業者が設立した新聞で、
経済界の利益を重視します。
このため親中的で
――はっきり言えば制裁を恐れる「恐中派」です。
左派のハンギョレと
THAAD反対で歩調を合わせる結果となっています。
 現在はTHAAD配備に賛成している保守系紙の朝鮮日報や
東亜日報も、中国からもう少し脅されたら、
腰くだけになる可能性があります。
政府が配備を正式に決めたので追従した側面が強い。
それまで明確な姿勢を打ち出さないか、
あるいは主張が揺れてきたのです
 仮に、中国の脅しに抗して
朴槿恵大統領が「配備」の所信を貫徹できたとしても、
賛成派の政治家が次の大統領になるのは難しい。
 中国が「賛成した政治家は入国禁止にする」と威嚇しているからです

米国に捨てられ、中国に隷属
韓国を「四面楚歌」と評した記事もあるとのことですが。

鈴置:保守派の大御所、朝鮮日報の金大中
(キム・デジュン)顧問が書いた「大韓民国の選択
(8月2日、韓国語版)です。以下が書きだしです。

大韓民国はいよいよもって四面楚歌である。
 こう続きました。
中国の戦略は単に軍事、外交には留まらず、
韓国ののど元である経済的な利害関係まで露骨に絡めるものだ。
我々に手を差し伸べてくれるはずの米国も、
もはや気を配ってくれるわけではなく、
時には自らに都合よく変貌する。
つまり我々は、西から押し寄せる中国の覇権主義と、
東で頭をもたげる
米国の新たな保護主義の間で進退両難の境遇にある。
もし韓国がTHAAD配備に失敗し、
アジア諸国が中国の南シナ海の掌握に
はっきりとした態度を取らないと、米国は最終的には
防衛ラインを日本列島に後退させ、
アジアを中国に差し出すしかなくなる。
すなわち、韓国を放棄することを意味する。
我々が米国か中国かという岐路で
中国を選ぶ素振りを見せれば、
その瞬間から我々は独立した存在とはなり得ず、
中国に隷属する結果を呼ぶ。
 「こんなことをやっていると、
米国から見捨てられるぞ」との悲痛な訴えです。

青瓦台は無知なのか
恐ろしいほどの孤独感ですね。
鈴置:
これまで「天才的な朴槿恵外交により、

我が国は米中双方と史上最高の関係にある」
と韓国人は信じてきました。
それが一気に逆転したのです。
孤独感はひとしおでしょう。
もともとさみしがり屋の国民ですしね。

「進退両難」などと悩まずに、二股外交をやめて
さっさと米国側に戻ればいいのではないでしょうか。
鈴置:
ええ、朴槿恵政権がそうしないから問題だ、
と金大中顧問は怒っています。

以下をご覧下さい。
青瓦台(大統領府)は、米国か中国かの問題に本心を見せない
「曖昧戦術」を可能な限り取るつもりのようだ。
何を隠そうとしているのか、無知ゆえにそうするのか、
自信がないのか、敢えてそうするのか――それさえも分からない。
 朴槿恵政権は米中の間で身動きが取れなくなってしまった。
決断を下せないので「曖昧戦術」という言葉を使って
誤魔化しているのだ、と金大中顧問は怒ったのです。
 先に引用した東亜日報のホ・ムンミョン論説委員も
「曖昧戦術」をやり玉に挙げました。その部分を訳します。
国軍からは「戦略的曖昧さ」という外交用語が出始めた。
「戦略的曖昧さ」とは現状維持が必要な時に使う政策であり、
THAAD配備には合致しない。
 もっとも、朴槿恵大統領とすれば
「ここで完全に米国側に戻ったら、
中国に手ひどくイジメられるのは確実だ。
国民はそれに耐えられるのか」と反論したいところでしょう。

国論分裂を防げ
結局、韓国はどうすればいい、と
韓国のシニア記者たちは主張しているのでしょうか。
鈴置:
ホ・ムンミョン論説委員の結論は以下です。
親米派、親中派に分かれ、
我々の内部が引き裂かれるようなことがあってはいけない。
感情的な、反射神経的な対応を慎み、
泰山のように重々しく対処すべきだ。
 「国論分裂を防げ」との叫びです。
韓国人は「我々は国難のたびに国論が割れ、
存亡の危機に直面した」と自戒の念を持っています
(「韓国は『唐と戦った新羅』になれるのか」参照)。
 それだけに「また内部分裂して、国が滅びるのか」
との恐怖感が頭をもたげているのです。
金大中顧問の結論部分も同様でした。
国の存亡に関わる重大問題を直接国民に問い、
コンセンサスを築くという指導者の姿を見せることが
今、大統領に求められている。
 大統領がリーダーシップを発揮して国論をまとめよ、との主張です。
しかし、その国論が
簡単にまとまらないから大統領も困っているのです。
 金大中顧問もそれは分かっているでしょう。
興味深いことに、
このコラムにはさりげなく
核武装の主張が盛り込まれているのです。

核さえ持てば全て解決
外交的な孤立を核武装で打破しよう、ということですね。
鈴置:
その通りです。

核を持てば、米国から捨てられても北朝鮮や日本に対抗できる。
中国も核武装国へのイジメは、少しは手加減するかもしれない
――との思惑でしょう。
以下、「核武装」部分を訳出します。
米国の著名な政治学者、ブレジンスキー
(Zbigniew Brzezinski)博士は著書『戦略的ビジョン
(Strategic Vision)』の中で、米国が中国によって
アジアから追い出された場合の
韓国の生き残る道を3つに要約した。

1つは中国への従属、2つ目は核兵器の保有、
3つ目は日本と協力し中国に対抗することだ。
核武装は国際社会によって阻止される。
日本との協力は常に中国を選好してきた
歴史的な経験から考えて不可能だ。
だとすれば、我々の選択は中国の属国になることだ。

「中国の属国になる」ですか?
鈴置:
それは読者を挑発するために書いているだけで、
本音はもちろん異なるでしょう。
また金大中顧問は「日本との協力」を推薦しているわけでもない。
 ブレジンスキー博士は「日韓協力による
中国への対抗」が難しい理由として
「歴史的経緯」だけではなく
「米国のバックアップが期待できないこと」を挙げています。
原文(93ページ)を引用します。
Japan’s inclination to stand up to China 
without strong US baking is problematical at best.
 いくら日韓が協力しても米国の軍事力の支援
――核の傘がなければ中国に対抗できない
――というわけです。
 金大中顧問は3択のうち中国への隷属も、
日本との共闘もダメというのですから
「韓国は核武装するしかない」と訴えていることになります。

もう、大国の命令は聞かない
でも、「核武装は国際社会に阻止される」
と金大中顧問は書いています。
鈴置:そう書いて見せているだけでしょう。
朝鮮日報は今年2月から露骨な核武装の主張を控えました。
社説もシニア記者もある日を期してピタリと書かなくなった。
国益に関する何らかの配慮からと見られます。
 金大中顧問は北朝鮮の3回目の核実験の直前、
(韓国語版)を書きました。
そこで核武装を韓国の選択肢の1つに挙げました。
 そして「国際社会」つまり、核を保有する大国に対しては、
以下のように猛烈に反発しました
(「核武装して“奴隷根性”を捨てよう」参照)。
強大国の優越意識丸出しの思考に異議を唱えたい。
弱小国や途上国が核を持とうとすると、
強大国は「危険性」とともに「核の効率的管理の不在」を指摘した。
自分たちにはできるが、私たちには難しいとの指摘だ。
 韓国保守の大御所は、いざとなれば
「韓国の核武装に対する国際社会の阻止」
などケリ飛ばす覚悟と思います。
こうなってくると、朝鮮半島から目が離せません。
 冷戦終結で孤立した北朝鮮が核武装に乗り出した。
こりゃ大変、と見ていたら、
今度は冷戦で勝ったはずの韓国が
独りよがりの外交を展開して失敗。
孤立したあげく核武装の下準備を始めた。
 日本は今や、太平洋の覇権を狙う中国と、
2カ所で核武装の進む朝鮮半島の
双方に同時に対応していかねばならないのです。
(次回に続く)

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