慰安婦問題について、いろんな報道: 【言論アリーナ】日本は核兵器をつくれるのか ~日米原子力協定をめぐって~。核兵器の重要性①その凄まじい破壊力こそが平和をもたらす! |奥山真司の地政学「アメリカ通信」。池田 信夫、核兵器をめぐる「日米30年の誤解」 核武装のオプションは必要だが、日本は余剰プルトニウムで核武装はできない。【桜便り】 E・トッド氏「日本は核武装を」。「世界最高の知性」が日本の保守派と激論 「日本は靖国参拝より核武装を」E・トッド氏が来日講演。産経、国産プルトニウム 特徴の説明と消費を急げ。日経ビジネス、ぶつかり合う「価値観」と「日本核武装論」 米朝会談「成功」で日本の安全保障が焦点に。日本が保有するプルトニウムでは核武装はできない。日本は核兵器を開発できるか?その技術的難点とは。

Translate

2018年7月10日火曜日

【言論アリーナ】日本は核兵器をつくれるのか ~日米原子力協定をめぐって~。核兵器の重要性①その凄まじい破壊力こそが平和をもたらす! |奥山真司の地政学「アメリカ通信」。池田 信夫、核兵器をめぐる「日米30年の誤解」 核武装のオプションは必要だが、日本は余剰プルトニウムで核武装はできない。【桜便り】 E・トッド氏「日本は核武装を」。「世界最高の知性」が日本の保守派と激論 「日本は靖国参拝より核武装を」E・トッド氏が来日講演。産経、国産プルトニウム 特徴の説明と消費を急げ。日経ビジネス、ぶつかり合う「価値観」と「日本核武装論」 米朝会談「成功」で日本の安全保障が焦点に。日本が保有するプルトニウムでは核武装はできない。日本は核兵器を開発できるか?その技術的難点とは。

中国は2030年までに原発を100基稼働する予定だという。
中国北京郊外にある発電所(2005年4月7日撮影、資料写真)。
(c)AFP/Frederic J. BROWN〔AFPBB News
【言論アリーナ】日本は核兵器をつくれるのか
~日米原子力協定をめぐって~
アゴラチャンネル 2018/07/10
7月16日に日米原子力協定が自動延長されます。
その焦点はプルトニウムの削減ですが、
日本にあるプルトニウムで核兵器はつくれるのでしょうか 
出演 金子熊夫(元外務省原子力課長) 
諸葛宗男(アゴラフェロー) 
池田信夫(アゴラ研究所所長)

特集:核兵器の重要性①その凄まじい破壊力こそが平和をもたらす!
|奥山真司の地政学「アメリカ通信」
2018/07/06 【この動画の内容は…】
特集:核兵器の重要性①核戦力のロジックを学ぶ
金正恩とトランプの首脳会談を可能にしたのは核兵器の存在。
ならず者国家から一転、敬意を受ける立場にかわった北朝鮮
その莫大な破壊力ゆえ、保有国に敬意を与え、
互いを慎重にさせる。
つまり、核兵器の破壊力こそが世界に平和をもたらす
これは1988年に結ばれた日本の核燃料サイクルを認める
二国間協定だが、その条件は
「利用目的のないプルトニウムは持たない」。
平和利用にすべて使い、核兵器の材料になる
余剰プルトニウムは持たないという意味だ。

 しかし日本の電力会社が保有しているプルトニウムは

47トンで、ここ数年ほとんど減っていない。
協定の延長を前に、アメリカは日本に
「プルトニウム削減」を迫っている。
北朝鮮の非核化を進める上で
「潜在的な核保有国」である日本を
牽制しようという狙いだと思われるが、
そこには大きな誤解がある。

「プルトニウム削減」は無意味
 プルトニウムはアメリカが長崎に落とした原爆の材料だが、
これは原発でウランを燃やすと発生するので、
使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを分離する。
これは本来は高速増殖炉の核燃料になる予定だったが、
その原型炉「もんじゅ」が廃炉になったため、
今はプルトニウムをウランと混合したMOX燃料として
「プルサーマル」と呼ばれる原子炉で燃やしている。

 原発で燃料として利用したプルトニウムを
もう一度リサイクルできるわけだが、
このプルサーマル原子炉は4基しか動いていない。
そのうち2基で処理したプルトニウムは年間1トンだから、
4基がすべて稼働しても2トン。
それ以外に4基あるが、
すべて稼働しても消費量は5トンに満たない。

 青森県六ヶ所村の再処理工場では、
年間最大8トンのプルトニウムができるので、
フル稼働するとプルトニウムが毎年3トン増えてしまう。
このため原子力委員会は、再処理工場のプルトニウム生産に
「上限」を設けることを検討している。
来月、閣議決定される第5次エネルギー基本計画にも
「プルトニウム保有量の削減に取り組む」と明記する方針だ。

アメリカは再処理で純度を高めたプルトニウムは
すべて核兵器の材料になると考え、
再処理工場ではIAEA(国際原子力機関)の査察官が
プルトニウムの量を24時間体制で監視している。
これは1970年代にインドがプルトニウムの量をごまかして、
原爆をつくったことが原因だ。

 インドの原子炉は、燃料棒を核兵器用に取り替えられる
特殊な構造だった。
日本の軽水炉では、原爆はつくれない。
そもそも日本がアメリカの目を盗んで、
核兵器をつくることはありえない。
そんなことをしたら日米関係が崩壊するからだ。

すべてのプルトニウムは核兵器の材料なのか
 だがアメリカは
「プルトニウムは濃度を問わず核兵器の材料だ」という立場で、
その量を監視している。
「利用目的のないプルトニウムを持たない」と約束した日本が、
原爆6000発分も持っているのは
約束違反だといわれてもしょうがないが、
余剰プルトニウムは核拡散の脅威になるのだろうか。

 日本の原子炉メーカーが
核兵器の技術を持っていることは事実だが、
「3カ月で原爆がつくれる」などというのは嘘だ。
まず原爆の材料が、日本では入手できない。
再処理工場で分離されるのは、
プルトニウム239の純度が60%以下の
原子炉級プルトニウムなので、実用的な原爆はつくれない。

 プルトニウム型原爆は火薬(起爆薬)でプルトニウムを包み、
まわりの火薬が「爆縮」してプルトニウムを圧縮して
核反応を起こすが、原子炉級プルトニウムだと、
不純物が発熱して爆弾が自壊してしまう。

 核武装するには、プルトニウム239の純度を
93%以上に高めた兵器級プルトニウムが必要だが、
これは日本国内にはない。
それを原子炉級プルトニウムからつくる設備もないので、
兵器級プルトニウムをつくる軍事設備が必要になる。

 この問題は政府も検討し、
2006年に「国産化は技術的に可能だが、
兵器級プルトニウムを製造できる黒鉛減速炉と
再処理設備が必要だ」という秘密報告書が出たという。
原爆を搭載した小型核弾頭を試作するまでには
少なくとも3年かかり、2000~3000億円の予算と
数百人の技術者が必要だといわれる。

 映画のようにテロリストが
プルトニウムを盗んで原爆をつくることは、技術的に不可能である。
アメリカが警戒しているのは、日本政府が核武装することなのだ。

核武装のオプションは必要だ
 それは国内法では可能である。
核武装は憲法違反ではないというのが、
従来からの日本政府の立場だ。
2016年4月にも安倍内閣が
「自衛のための必要最小限度の実力を保持することは、
核兵器であっても、
必ずしも憲法の禁止するところではない」と答弁した。

 だが日本が核兵器を保有することは
核拡散防止条約に違反するので、それを脱退する必要がある。
これにアメリカが反対することは明らかなので、
日米安保条約も破棄する覚悟が必要だ。
つまり外交的には、不可能に近い。

 アメリカが遠い将来にアジアから撤退する場合は、
日米同盟が解消され、日本が核武装することも
必要になるかもしれない。
そのときのために核武装のオプションは
残しておいたほうがよいというのが、
石破茂氏など自民党の有力な政治家の意見だ。

 そういうときに備えて必要なのは、
プルトニウムではなく技術である。
日本の原子力技術と人材はまだ世界の最高レベルだが、
かつてのようなエリートではなくなった。
このまま「脱原発」を続けると、
原子力技術は日本から失われるだろう。

 中国は2030年までに、原発を100基稼働する予定だという。
よくも悪くも日本のような民主主義のコストのない中国や
ロシアでは、核開発が進められている。
原発のコストの大部分は安全設備にかかっているので、
それを考えなくてもよい独裁国家では、原発が最も効率的だ。

 アメリカはカーター政権以来、
プルトニウムの拡散を最大の脅威とみなし、
それを管理することを核戦略の中心に置いてきた。
その立場を認める限り日米原子力協定を守ることは困難だが、
ここまでみたように核武装と原発は別の問題である。

 隣に中国という核大国がある限り、
核武装のオプションを捨てるわけにはいかないが、
今は日米同盟を守ることが日本のとりうる唯一の戦略だ。
したがってプルトニウムの保有量の削減や上限には意味がない。
この機会に日本政府はアメリカの理解を求め、
原子力平和利用の原則を確認すべきだ。

非核化どころか世界有数の核保有国となり得る南北朝鮮

【桜便り】 E・トッド氏「日本は核武装を」
SakuraSoTV 2018/06/27
日本が保有するプルトニウムについて、
世界に正確な情報をはっきり発信することが必要だ。

 日米原子力協定が7月から自動延長されるのを前に、
日本が保有するプルトニウムの量に対する
国際的関心が高まりを見せているためである。

 資源小国の日本はエネルギー政策の基本に
核燃料サイクル計画を据えている。

 米国との協定を踏まえ、核査察も受けながら、
原発の使用済み燃料から新燃料用にプルトニウムを回収している。
だが、その備蓄量が多いと批判する国もある。

 日本が核武装するのではないかという
疑心暗鬼に陥っているようだ。
確かに日本は国内に10トン、
英仏に委託中の37トン、
合計47トンのプルトニウムを所有している。

 「この量は原爆6千発に相当する」という風評が、
独り歩きしていることが問題である。

 日本が持つプルトニウムは「原子炉級」と呼ばれるもので、
核分裂しない種類のプルトニウムが多く含まれる。

 日本の発電用の原子炉では、ウラン燃料を5、6年間、
しっかり燃やすので、非核分裂性のプルトニウムが増えるのだ。

 これに対し、「核兵器級」のものは、
日本とは別タイプの原子炉から生焼けの燃料を
数週間後に取り出すので、
核分裂しやすい種類のプルトニウムに富んでいる。

 同じプルトニウムでも性質は大きく違う。
日本のプルトニウムでは、どんなに頑張っても
本格的な原爆は造れない。

 日本政府は、この科学的事実を世界だけでなく、
国内にも周知しなければならない。

 世界の懸念を晴らすには、
日本がプルトニウムを発電用に活用している姿を示す努力も必要だ。

 そのためには、プルトニウムを含む
MOX燃料を原発で使うプルサーマル発電を増やしたい。

 だが、日本の原発は9基しか再稼働しておらず、
プルサーマル発電が認められているのは、
このうちの4基にすぎない。
しかもその中の四国電力伊方3号機は、
広島高裁の仮処分で運転できない。

 まず国が前面に立ち、電力会社も一体となって
プルトニウムの消費促進を図るべきである。

 保有量削減のため、日本原燃の再処理工場
(青森県六ケ所村)の稼働を抑制するなどの発想は論外だ。
世界の誤解に輪をかけよう。まずは説明と消費の実践だ。

2018.6.27 01:00 2 3 4 産経ニュース
ソ連崩壊や米大統領選のトランプ氏勝利などを
「予言」したことで世界的に著名なフランスの歴史人口学者、
エマニュエル・トッド氏が、5月に東京都内で開かれた
保守系シンクタンク「国家基本問題研究所」(櫻井よしこ理事長)
の創立10周年記念シンポジウムに登壇し、
転換期を迎えた世界の今後や日本が取るべき道について提言した。

日本は安定、欧州は…
 トッド氏は1951年生まれ。
パリ政治学院を卒業後、英ケンブリッジ大で博士号を取得。
76年に発表した最初の著作「最後の転落」が、
人口統計学的な手法で近未来のソ連崩壊を予測して話題に。
以後、人口動態や家族構造に着目した独自の視点で
アラブの春や英EU離脱などを見通すなど、
「現代世界最高の知性」として
その発言は国際的に注目を集めている。

 今回のシンポジウムでは、
「世界の近未来を予測する~日本は生き残れるのか?」
を演題に掲げ、基調講演を行った。

 「日本の基本的な問題は人口減少です。
経済的、政治的、社会的な面では日本は非常に安定している。
ヨーロッパから来ると、それは一目瞭然です。
日本には常に一定の安定性と活力があります」

 「一方で、ヨーロッパはほとんどマヒ状態に陥っている。
ヨーロッパの主要な大国はドイツですが、矛盾にとらわれている。
巨額の貿易黒字を上げる輸出大国であり続けたいのに
人口減少に直面しているのです。
ドイツの対応は日本とは全く異なり、
大量の移民を常に受け入れ続けている。
その結果、国内のバランス、安定性が崩れています」
中国は「もろい大国」
 「中国はどうか。米国と戦略的に対立しており、
巨大な人口を抱え、経済成長率が高い。
しかし私は、非常にもろい大国だと思っています。
出生率が急落し、急速に高齢化が進み、
そして出生性比の問題がある。生まれる女児100人に対し、
通常の国では男児105~106人になるのですが、
中国では118人。女児の選別的中絶が行われています。
これは長期的には人口的不均衡を生み出すし、
何より中国のメンタリティーが古いということを意味しています」
 「さらに先進国と比べて高等教育進学率が低い。
中国はたしかに経済的・軍事的な大国ですが、
新しい現代的な世界ではない」


核拡散を促す米国
 また、話は現在の外交問題にも及んだ。
 「米国は奇妙な行動を取っています。
イランという核兵器を諦めた国との合意は離脱して、
北朝鮮という核保有国とは交渉するのです。
北朝鮮が非核化を進めるというのはばかげた夢となった。
米国と問題を抱えている国々も、
核を手放す方が危険だという教訓を得たことでしょう。
米国は今、核拡散を促すような行動をしているのです」
「日本について、2点を指摘したい。
ロシアとの協調はすばらしい(安全保障上の)補完になります。
日露戦争、また1945年の対日侵攻のことは知っています。
しかし合理的な外交とは、過去の対立を乗り越えることです。
独仏間でできたことは、日露もできると思っています」
 「米国の非合理的で突発的な行動は
旧世界に混乱をまき散らしてます。
日本にとって米国との同盟は、オバマの時代なら容易な選択でした。
しかしあまり合理的でない同盟国に頼るのは、
もはや合理的な選択とはいえません。
核武装が本質的な問題になってきていると思います」
 「フランス人にとって核兵器とは戦争の反対で、
戦争を不可能にするものです。
核兵器はただ自国のためだけに使うものです。
ドイツを守るためにフランスが核を使うことがないように、
米国の核の傘なんて私はジョークだと思っています」
 「私はフランス人の左派かつ平和主義者で、戦争は嫌いです。
しかし私が日本の核武装について考えてほしいと提言するのは、
別に強国になれということではなく、
(国家間の)力の問題から解放されるからです」

本当に中国が脅威なら…
 その後に行われたシンポジウムには、
国家基本問題研究所の櫻井理事長と田久保忠衛副理事長が登壇。
ロシアの信頼性や、中国の脅威度の評価について
疑問を向けられたトッド氏は、こう答えた。
 「日本にとって、米国よりロシアが大切になると
言っているわけではありません。
ただ、本当に危機が重篤な場合、
価値観の相違など忘れなければならない。
第二次大戦で筋金入りの反共主義者だったチャーチル英首相は、
独ソ戦が始まるとロシアと組んだ。
本当に中国を脅威に思っているのなら、
それをやらなければなりません」
 「何年か前、
日本の首相の靖国神社参拝をめぐる議論が起きたとき、
私はこう思いました。
日本人、あるいは日本の首相はもうあの神社について
語ることも参拝することもやめて、
現実の軍事力を整備すればいいのに、と」
 「私が大嫌いなのは戦争です。
なぜ戦争になるのか。勢力均衡が破綻したときです。
そうした場合、再武装をしないことが戦争の近道になる。
私は核兵器を持つのがいいと思いますが、
隣に拡大する勢力があるのなら、再武装するしかないのです」
(文化部 磨井慎吾)

ぶつかり合う「価値観」と「日本核武装論」
2018年6月26日(火)2 3 4 日経ビジネス
カナダ・シャルルボワで6月8~9日に開催された
先進7カ国首脳会議(G7サミット)は、
首脳が一堂に会して政治・経済における政策協調を
アピールする場という本来の姿から、
全くかけ離れたものになった。
トランプ米大統領の傍若無人ぶり・品位のなさだけが
目立った印象である。
トランプ大統領は、当初予定より遅れて会場に着いた後、
9日午前には退出して米朝首脳会談の場である
シンガポールに向かった
(遅刻したにもかかわらず、早退した)。

 討議の場では、鉄鋼・アルミニウム製品への
米国の高関税措置を巡り、激しいやり取りが
カナダ・欧州と米国の間で交わされた。
仏大統領府によると、トランプ氏の言葉は
「長々しい、遠慮のない酷評で、
G7としては異例の発言だった」
(6月10日 朝日新聞)。

 トランプ大統領はカナダに向かう前、
記者団に対し「(サミットに)ロシアを入れるべきだ。
なぜロシアなしの会合をやるのか」と発言した。
「かねて対ロ関係改善に意欲的なトランプ氏だが、
復帰すべき具体的理由は説明していない」(6月9日 時事通信)。
ロシアに弱みを握られているのか、
トランプ大統領のロシアに対する気の遣い方は奇妙である。
イタリアは賛成したが、日本は賛否を明らかにせず、
英独仏とカナダは反対した。

 筆者が最も驚かされたのは、
シンガポールに向かう機内からだったとみられる、
トランプ大統領のツイート内容である。
今回のサミットの議長国であるカナダのトルドー首相が記者会見で、
鉄鋼などに対する米国の高関税措置を「侮辱的」と
非難したことに立腹したようであり、
同首相を「誠意のない軟弱者」とこき下ろした上で、
「G7首脳宣言を承認しないよう米代表団に指示した」と書き込んだ。
筆者はスマートフォンでツイートされる内容を
リアルタイムで見ていたのだが、
書かれた内容がにわかに信じられず、2度読んでしまった。

 トランプ氏が主役になって前代未聞の展開になった、
シャルルボワ・サミット。日本のマスコミ各社も、
さまざまな解説や解釈を試みている。

マーケットを「リスクオフ」に傾かせる不確実性
 14年のウクライナ介入をうけて
G8サミットからロシアを排除した後、
G7サミットは「民主主義や自由貿易という
『共通の価値観』を軸に結束し、
世界を引っ張る枠組みに立ち返った」はずだったが、
「今回、肝心の『共通の価値観』が揺らぎ、
G7の先行きはかつてないほど見通せなくなっている」
(6月10日 朝日新聞)。

 この解説では触れられていないが、
16年の英国民投票におけるEU離脱派勝利
(ブレグジット)と米大統領選におけるトランプ候補勝利は、
「反グローバル化」の強まりという
歴史上の大きな流れを象徴していた。
今年はイタリアでポピュリスト・右派連立政権が誕生しており、
そうした流れが主要国で継続していることが示されている。

 むろん、伝統的な価値観を重視する
国・政治家も負けてはいない。

 「価値観のぶつかり合い」は既存秩序を揺るがし、
「不確実性」を高め、マーケットを「リスクオフ」に傾かせる。
米国株は大幅下落のリスクを内包しており、
米長期金利の上昇余地はそう大きくなく、
為替は常に円高リスクがある。

11月の中間選挙に向けて、
トランプ大統領はまだまだ既存秩序をかき乱す可能性が高いと、
筆者はみている。米通商外交筋によると
「中間選挙までは対外圧力を一層厳しくしていくだろう」、
米国が輸入している自動車・同部品への
最大25%の関税を視野に調査を指示したトランプ大統領は
「本気だ」という(6月10日 時事通信)。
 大波乱のサミットの前後に出てきたのが、
米国からのプルトニウム削減要求に関する報道と、
エマニュエル・トッド氏による「日本核武装」提言である。
 日本経済新聞は最近、おそらく欧米紙を参考にしつつ、
日曜日の紙面作りでかなりの工夫を凝らしている。
「オフ」の時間帯に適したカラーページを増やしつつ、
読者が考えさせられるネタを
あえて1面トップに持ってきている印象がある。
6月10日の1面トップは、
「米、プルトニウム削減要求 日本に
 核不拡散で懸念 政府、上限制で理解求める」だった。
 この記事は、核兵器の原料にもなる
プルトニウムの日本の保有量が増えてきていることに
核不拡散の立場から米政府が懸念を示し、
削減を求めてきているという内容である。
原発の再稼働がなかなか進まないため発電燃料として消費されず、
すでに原子爆弾約6千発に相当する約47トンに達し、
国内外の原子力関連施設で保管しているという。
 3面の解説を含め、もっぱら日本の国策である
核燃料サイクル事業が揺らぎかねないという観点から
書かれているのだが、筆者の考えでは、
それよりはるかに重要なのが、日本が将来いずれかの時点で
核武装する可能性への、米国の根強い警戒心である。
 「米議会には核兵器の製造につながりかねない
プルトニウムの処理を日本に認めることに慎重な議員もおり、
トランプ政権もこうした動きを無視できないようだ」と、
記事には書かれている。
だが、トランプ大統領は米国の軍事費負担を減らし、
NATO(北大西洋条約機構)やドイツ、日本に対して、
自分で防衛費を負担してもらう度合いを
大きくしたい考えのようである。
 また、北朝鮮との関係では、
非核化(核・弾道ミサイル放棄)に向けた
段階的アプローチを容認する路線へと
米朝首脳会談開催の直前から米国は転じており、
北朝鮮が核兵器を保有している時間帯が
少なくともしばらく続くことになる。
それは、突き詰めれば、核兵器の戦争抑止力に期待しつつ、
北朝鮮による核兵器保有を
(時限的だという名目であるにせよ)
事実上認める現実的なアプローチを選択したことに他ならない。
 さまざまなことに関する「価値観」の違いが
世代間で明確に大きくなりつつある中、
日本の将来世代が核武装を選択する可能性は相応にあると、
筆者はみている。
米国の懸念は、長い時間軸で見た場合には、
杞憂だと言い切れない。
 そうした中で注目すべきは、
フランスの著名な歴史人口学者である
エマニュエル・トッド氏による
「日本は核を持つべきだ」という緊急提言である
(「文芸春秋」18年7月号)。
 トッド氏の認識は、
国内の分断がきわめて深刻になっている米国が、
それを解消するためのソリューションとして
対外的に強硬姿勢をとる中、
「日本の核保有という問題を真摯に検討する必要が
出てくるのではないでしょうか」というもの。
 「米国の狂乱状態は単なるアクシデントや
偶然というより構造的なもので、
恒常的に続く可能性が高いと思います」
「つまり、米国は、信頼できる安定勢力ではなくなりつつある、
ということです」
「客観的な力学の上でも、世界の至るところで、
米国はかつての影響力を失いつつあります」
と思考を展開するトッド氏は、
「米国と世界が不安定化するなかで、
安全保障問題は、核保有の是非も含めて、
日本にとって今後、死活問題となるでしょう」と結論付けた。

もっとも、このインタビュー記事の最後でトッド氏は、
「国家が思い切って積極的な少子化対策を打つこと、
出生率を上げるための社会制度を整えることこそ、
安全保障政策以上に、日本の存亡に直結する
最優先課題だということです」と述べて、
筆者の持論である、人口対策がいかに重要かについてを、
日本に念押しすることを忘れなかった。

 そして6月12日には、トランプ米大統領と
金正恩朝鮮労働党委員長による史上初の米朝首脳会談が、
シンガポール・セントーサ島のカペラホテルで
現地時間9時(日本時間10時)過ぎから開かれた。
通訳だけを交えて1対1で会談した後、
米朝双方の閣僚などが加わった拡大会合に移行。
ワーキングランチを経て、
トランプ大統領の記者会見が夕方開かれた。

 ポンペオ米国務長官は会談の前日、
「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化だけが、
米国が受け入れられる唯一の結果だ」としつつ、
過去の米政権とは異なる北朝鮮の体制保証の用意があり、
会談の成功を楽観していると発言。
米朝の間で「ディール」が十分成立し得ることを示唆した。

 トランプ大統領は12日朝、
「実務者協議はうまくいっているが結局のところは関係ない。
これまでとは違う本物のディールが
成立するかどうかはまもなく分かるだろう」とツイート。
米朝首脳会談を成功させることにより
外交面でポイントを稼ぐことを、
11月の中間選挙にらみで強く意識していることをうかがわせた。

 米朝共同声明の主な内容は、下記の通り。
体制保証を米国から得る一方で、非核化プロセスで
具体的な確約は一切しなかった
北朝鮮の「外交的勝利」と言えるだろう。
朝鮮戦争終結後の軍事バランスは?

トランプ大統領は北朝鮮に体制の保証を提供する約束をし、
金委員長は朝鮮半島の完全な非核化について
断固として揺るがない決意を確認した。

米国と北朝鮮は、朝鮮半島に、
永続的で安定した平和の体制を構築するため、共に努力する。
4月27日の板門店宣言を再確認し、
北朝鮮は朝鮮半島の完全な非核化に向けて取り組むことを約束する。

米国と北朝鮮は朝鮮戦争中の
捕虜・行方不明兵の遺骨の回収などに努める。
夕方の記者会見でトランプ大統領は、
朝鮮戦争が近く終結することへの期待感に言及。
軍事的なコミットメントは変わらないとして
在韓米軍の即時縮小は否定したが、
北朝鮮との対話中は米韓合同軍事演習を
中止する意向を明らかにした。
また、「米軍の兵士を帰国させたい」
「将来の米軍の削減は多額の金銭節約につながる」とも述べた。

 朝鮮戦争が名実ともに終結し、核・弾道ミサイルを
(少なくともしばらくの間は)保有している
北朝鮮の体制保証を米国が提供し続け、
在韓米軍が規模を大きく縮小さらには撤収する場合、
東アジアの軍事バランスは変わってくる。

朝鮮半島情勢については従来、
中国・韓国・日本に膨大な数の難民が
押し寄せるケースにどう対処するか、
南北朝鮮の統合が実現した場合に、
北の老朽化したインフラの再整備などの
巨額のコストを誰が負担するのかといった、
北朝鮮の体制崩壊を前提にした議論がなされることが多かった。
しかし今後は、核兵器を保有している北朝鮮の
現体制が米国の保証を得て存続することを前提にした議論を
していく必要がある。

「以前とは全く異なる日本」
 ブルームバーグ通信は6月11日、
「『朝鮮戦争終結』なら日本の安保環境に激変も」
と題した記事を配信した。

その中で大塚拓・自民党安保調査会副会長は、
米朝間で朝鮮戦争終結が合意された場合、
韓国に「米軍が残るかどうか」がポイントになると指摘。
仮に米軍が朝鮮半島から撤退する場合、
「米中の緊張が高まった時のフロント(前線)が
日本になるということを即意味する」
「日本にとって好ましくないのは言うまでもない」とした。
 自民党の安全保障調査会は、

政府が年末に改定する
防衛大綱・中期防衛力整備計画(中期防)に向けて、
防衛関係費の大幅拡充を提言。
具体的には、これまで目安とされてきた
GDP(国内総生産)比1%以内を見直し、
NATO(北大西洋条約機構)が加盟国に求めている
GDP比2%を参考とするよう求めた。
18年度当初予算では5兆1,911億円が計上されている<図1>。
これに対し小野寺五典防衛相は6月8日、
「必要なものを積み上げていくことが基本だ。
GDPと機械的に結び付けることは適切ではない」と述べて、
否定的な考えを示した。
だが、長い時間軸で見た場合、
この問題はどうなっていくだろうか。

図1:日本の防衛関係費
注:16年度まで決算、17年度は補正後、
18年度は当初予算(出所)財務省

日本の安全保障をどう確保すべきかをテーマに、

外交・安保政策論議がこの先活発になっていく可能性はかなり高い。
そして、既存秩序が不安定化しており、
若い世代では価値観の変化が顕著になっている。

 これらを考え合わせると、
「以前とは全く異なる日本」が
数十年後に現出している可能性は、
きわめて高い。
河田 東海夫 元原子力発電環境整備機構(NUMO)理事
【GEPR編集部】
日本の内外から、日本の保有する

プルトニウムへの懸念が出ています。
ところが専門家によると、
これで核兵器はつくれないとのこと。
その趣旨の論考です。

しかし現実の国際政治では、余剰プルトニウムは
「原則として持つべきではない」という名目の下に
核管理が行われています。
【以下本文】

「原子炉級プルトニウムで核爆弾が作れるか?」
という議論は過去40年間にわたって何度も繰り返して行われてきた。
その結論を一言でまとめれば、核爆弾が広い意味での
「核爆発装置」を意味するのであればイエスであり、
ミサイルに搭載する核弾頭を意味するのであればノーである。

日本が現在国内外に保有しているプルトニウムの総量は
約48トンであるが、そのほとんどは
「原子炉級プルトニウム」である。
10月23日の朝日新聞社の社説では、その48トンを
「原爆6000発分」と表現しているが、
これを使えば日本がすぐにでも強大な核兵器国に
なれるといわんばかりの、きわめてミスリーディングな表現だ。

原子炉級プルトニウムと兵器級プルトニウム
原子炉でウラン燃料を燃やすと、
副産物としてプルトニウムができる。
はじめのうちにできるのはプルトニウム239(Pu249)という
同位体で、核分裂の効率が良く、
原子炉の燃料や核爆弾の理想的な原料になる。
しかしウラン燃料を長時間燃やし続けると、
ほかにPu240やPu241などの高次の同位体が次第に増えてくる。

高次の同位体が増えると、中性子や熱の発生が増えて、
まともな核爆弾は作りにくくなる。
軍事用兵器としての核爆弾を作る場合は、
高い信頼性が求められるので、
「兵器級プルトニウム」とよばれる
Pu239の純度が高い(93%以上)プルトニウムが使われる。
一方、原子力発電所(軽水炉)で燃やした燃料中にできる
プルトニウムの場合、高次の同位体が増え、
Pu239の濃度は50~60%程度に落ちてしまう(注1)。
こうしたプルトニウムを「原子炉級プルトニウム」と呼ぶ。
プルトニウムの品位については、
今日ではPu240(中性子や熱の発生が大きい)の
含有率を指標として図1のように分類されている。

図1・プルトニウム品位の分類

核爆弾の原理
ウラン235(U235)やPu239は、

中性子をあてると核分裂を起こしてエネルギーを発生するが、
その際2~3個の新しい中性子が飛び出す。
その中性子が周りのU235やPu239にあたると
新たな核分裂が起こり、その結果生じる中性子が
さらに新たな核分裂を起こす。
こうした現象を核分裂の連鎖反応と呼ぶ。

U235やPu239のかたまりが小さいと、
中性子の多くが外に漏れ出てしまい
連鎖反応はうまくつながらない。
しかし、ある適量を集めると、
中性子の漏れが減って連鎖反応がうまくつながり、
核分裂が一定割合で持続する状態を達成できる。
こうした状態を「臨界」と呼ぶ。
さらにたくさんの量を集めると、漏れはさらに減り、
核分裂で発生する2~3個の中性子のほとんどが
連鎖反応に寄与できるようになるため、
核分裂はネズミ算的に急増する。
こうした状態を「超臨界」と呼ぶ。

プルトニウムを用いる核爆弾は、中心部が空洞になっている
プルトニウムの金属球の周りを高性能火薬で包み、
外側から一斉点火することで、
同心円状に内側に向かう爆発を起こし、
その衝撃波で中空金属球を中心に向かって押しつぶす。
この操作を「爆縮」という。

空間的に分散していたプルトニウムを
一挙に中心に押し固めるのである。
こうすることで瞬時に「超臨界」状態を達成し、
その瞬間に中性子をあてると爆発的に増大する連鎖反応が起こり、
巨大なエネルギーが生まれる。
これがプルトニウム型核爆弾の原理である(注2)。
核爆弾では超臨界達成にタイミングを合わせて
中性子を発生させる装置が、核爆発の点火装置として
重要な役目を果たす。

原子炉級プルトニウムの課題その1:早期爆発の問題
原子炉級プルトニウムでは本格的な核爆弾は
きわめて作りにくくなる。その原因は2つある。

一つは、高次の同位元素が増え、
それらから多量の中性子が発生することである。
このため、原子炉級プルトニウムを使った場合、
核爆発の点火装置が常時つきっぱなしのような状態が生じる。
その結果、爆縮の途中段階から連鎖反応が始まってしまい、
そのエネルギーでプルトニウム金属球が
超臨界になる前に蒸発飛散してしまう。

この現象は「早期爆発」と呼ばれる。
いわば「湿った爆弾」になってしまい、
十分な爆発威力が発揮できないのである。
ただし、その場合でも爆発威力は広島や
長崎の原爆の10分の1程度が期待できるとの見解があるが、
きわめて粗い近似計算による推定でしかなく、
実際に原子炉級プルトニウムを使って
それを実証した実験例は一つもない。

「原子炉級プルトニウムで核実験成功」との虚報
1994年6月27日に民主党クリントン政権下の
米国エネルギー省(DOE)は
「1962年に原子炉級プルトニウムを用いた
核爆発装置の実験に成功している。
爆発力は20キロトン以下であった」
という発表を行った(注3)。

翌日の朝日新聞はそれを
「商業炉のプルトニウム:核爆発、成功していた」
との見出しで報じた。
しかし上述実験に使われたプルトニウムは
今日の定義で言う「原子炉級」ではなく
「燃料級」のプルトニウムであった。

実際に使われたのは、英国の軍事用プルトニウム生産と
発電を兼ねた二重目的の原子炉で生産されたプルトニウムであった。
その発熱や中性子発生量を兵器級や
原子炉級のプルトニウムと比較して図2に示す。

この図を見れば、実験に使われたプルトニウムの特性は、
実際には兵器級のそれにかなり近く、
とても原子炉級と呼べるものではなかったことがわかる。
1994年のDOE発表は、事実を捻じ曲げた「虚報」だったのである。
当時の英国の原子炉は軍事目的を兼ねた炉であり、
運転主体の英国原子力公社も核兵器生産の責任母体であった。
それは決して「商業炉」と呼べるものではない。
朝日新聞の「商業炉のプルトニウム」との報道は、
DOEの虚報にさらに嘘を塗り重ねた二段重ねの虚報といえる。

図2・1962年の核実験で使用されたプルトニウムの推定特性

DOE虚報の舞台裏
DOEの虚報は、1994年5月にDOE原子力局長に、

著名な反核・環境保護団体NRDC(天然資源防衛協議会)の
シカゴ事務所の役員であったテリー・ラッシュ氏が
指名されたことに端を発する。

彼と近しい関係にあり、
反プルトニウムNGOとして有名なNCI(核管理研究所)の
レーベンソール所長らが仕掛けたもので、
彼らの情報公開請求にこたえる形で
就任間もないラッシュ局長が前述の発表を行ったのである。

古い時代には「燃料級」の同位体組成までを含めて
「原子炉級」と呼ぶ時期があった。
あえてその古い定義による「原子炉級」という言葉と
「爆発力20キロトン以下」という情報のみを流すことにより、
現在の定義による原子炉級プルトニウムで
あたかも相当量の威力の原爆ができそうなイメージを流布し、
プルトニウム利用推進派を
沈黙させることをもくろんだのである(注4)。
この発表は見事に功を奏し、
ほとんどの日本人やメディアはその嘘を今日に至るまで
事実として信じ込んでいる
(2013年11月10日日経記事など)

このDOE発表に関しては、
1980年代中頃にDOE原子力局長代行を務め、
その後米国原子力学会会長も務めたデイビッド・ロッシン氏が
「機密とねじ曲げられた政策」という批判論文を
2001年に発表している。
その中で彼は、1962年の核実験の威力は
「瑣末(minuscule)であり、
巨大な火薬の爆発程度であった」という
当時の関係者の証言を紹介している。
これが事実であれば、実験で使われたプルトニウムの
何倍もの中性子発生量がある
本物の原子炉級プルトニウムは、
国防用の核兵器原料としては
ほとんど魅力がないといえるだろう。

原子炉級プルトニウムの課題その2:発熱の問題

もう一つの問題は発熱であり、
こちらは実用的な核兵器を作ろうとする場合は
より深刻な問題である。
兵器級プルトニウムを使う本格的な核兵器では、
プルトニウムの発熱は10ワット未満に抑えられるが(注5)、
原子炉級プルトニウムの場合8キログラムで
90~150ワットの発熱がある。
こうした発熱体を熱的には
断熱材に等しい高性能火薬で包んでしまうと、
内部の温度は火薬が不安定化する
100度をはるかに超えてしまう。
大きな火薬玉に
100ワットの白熱電球を埋め込むようなものだ。

中性子を跳ね返して漏れを減らす「反射材」で包むと
プルトニウムの必要量を半分近くに減らせるが、
それでも最低50ワット程度の発熱があり、
高性能火薬不安定化のリスクは無視できない。
これほどの発熱体である原子炉級プルトニウムの場合は、
プルトニウム金属球を常時は外しておき、
使用寸前に組み込むような形態の核爆弾しか作れない。
船で敵地に運んだり、爆撃機で投下したりするなら、
そうした核爆弾も使用可能だろうが、
それでは今のミサイル時代の国防用兵器としては落第だ
原子炉級プルトニウムは、待機時の安全性と
使用時の性能の高信頼性を要求される
ミサイル搭載用核弾頭にはとても使えない。

実際にロスアラモス研究所の核兵器設計部門の部長を長らく務め、
その後NCIの技術顧問も務めたカーソン・マーク氏も、
1990年の論文で
「“兵器”という言葉が、軍事組織が配備するのに
ふさわしいものを意味するのであれば、
原子炉級プルトニウムは純粋な核爆発装置の兵器として
魅力のないものといえるだろう」と述べている。

日本の原子炉級プルトニウム蓄積は実際上の脅威たりえない
以上述べたように、原子炉級プルトニウムは、
ミサイル搭載用の核弾頭にはとても安心して使える代物ではない。
米国のマンハッタン計画以来の核武装関連累積コストを見ると、
約9割はミサイルなどの搬送手段と
その誘導制御システムに投じられており、
核爆弾そのものにかかったコストは1割程度に過ぎない。

仮に日本が核武装するとした場合も、
ミサイルと誘導制御システムのコストが
相対的に大きくなることは間違いないだろう。
その高価なミサイルに載せる核弾頭に
安全性や性能信頼性が保証できない原子炉級プルトニウムを使い、
大事な国防システムの信頼性を台無しにするなどという
バカな選択をする国がどこにあろうか?

核武装の必要性が生じたときには、日本は専用の生産炉を作り、
そこで生産した兵器級プルトニウムを使うことで、
信頼性の高い防衛システムを構築するしかない。
したがって、冷静に考えれば、
日本がいくら原子炉級プルトニウムを溜め込んでも、
それが世界に実際上の脅威を与えることにはつながらないのである。

そもそも、わが国が保有する
48トンのプルトニウムはIAEAの保障措置制度における
厳しい監視下に置かれており、日本がこっそりと
不正転用することなどとてもできない構図になっている。
それでも仮にどこかの国から疑義を持たれた場合には、
「万が一核武装の必要が生じたとしたら、
その時には我が国は兵器級プルトニウムを生産して
信頼性の高い兵器を作る。原子級プルトニウム転用を疑うのは、
わが国を見下しているに等しく、大変失礼ではないか?」
とやり返せばよいだろう。

(注1)軽水炉では、エネルギーのきわめて小さな
「熱中性子」で核分裂を起こさせるが、
その場合プルトニウムの奇数番号の同位体
(Pu239, Pu241)のみが核分裂する。
一方核爆弾ではエネルギーの高い「高速中性子」で
核分裂を起こさせるが、その場合は、
偶数番号のPu238, Pu240, Pu242も核分裂を起こす
(分裂のしやすさはいろいろ差がある)。
したがって、原子炉級プルトニウムでPu239含有率が
50~60%に落ちても、臨界量は極端に大きくは変わらない。

(注2)ウラン235を使用するヒロシマ型原爆では、
はじめ二つのブロックを離しておいて、
一方を火薬の爆発で飛ばして合体させることで
超臨界を達成するという
単純な方式が用いられる(「砲弾型」という)。

(注3)この内容はカーター政権時代の1977年に
すでに一度公表済みであったが、
再度注目させるために発表をした。

(注4)この発表における「原子炉級」が
古い定義によるものであって、今日の定義に従えば
当該プルトニウムは「燃料級」にあたるという事実は、
後で補足情報として
付け加えて知らせるという姑息な方法をとった。

(注5)マンハッタン計画当時の関係者は、
プルトニウム金属は手に持つとウサギを抱くような
温かさがあると述べている。兵器級プルトニウムの
ほのかな発熱のイメージが伝わる。

日本は核兵器を開発できるか?その技術的難点とは
…日本は技術先進国だから、
核武装は簡単だという俗論がありますが、
そう簡単ではありません。
…事用原子炉と商業用原子炉が炉の構造自体からして
違っていることを知らないようです。
従って作られるプルトニウムも種類が違います。
核兵器に使用できるプルトニウムは、
純度90%台後半の高濃度Pu239だけです。

一方、民生用原発から出るプルトニウムはPu240で、
これはそのままでは軍事転用はできません。

では、この軍事用プルトニウムを、
日本はどれだけ保有しているでしょうか。
世界の核分裂性物質の量 - 核情報によれば、
日本はゼロです。

念のためにお断りしますが、民生用Pu240から
まったく核爆弾が製造できないわけではありません。
2005年5月の国連における
ノーベル賞受賞者らによる声明によれば
http://kakujoho.net/npt/ucs_npt.html
「テロリストも、民生用のプルトニウムを使って
強力な核兵器─少なくともTNT火薬換算で
1000トン(1キロトン)の
破壊力を持つもの─を作ることができる。」

広島級の約3分の1ていどの破壊力を持つ核爆弾は、
民生用プルトニウムからも製造できます。

これをネタ元にして、反原発・反核論者たちは、
「日本がプルトニウム備蓄して
核爆弾を作る気だ」と主張しています。
http://kawasakiakira.at.webry.info/201507/article_14.html
ナンセンスです。
それは「できる」というだけで、
軍事的合理性を考えない妄論です。

日本が核武装をする場合、製造するのは戦術核ではなく、
戦略核ないしは準戦略核です。

戦略核を作らねば、相手国の核兵器に対しての
抑止力にはならないからです。

日本が本気で核抑止力を持つならば、
日本に核兵器を照準している中国と北朝鮮の
心臓部を一撃で壊滅させねばなりません。

そのためには、たとえば米軍が運用している
Mk85核爆弾は約8メガトンですから、
その程度の破壊力が必要となります。

メガトンとは核爆弾の爆発力の単位で、
TNT火薬換算で100万トンのことです。

ですから1キロトン級原爆などのような
テロリストの凶器をいくら作っても、
軍事用には無価値なのです。

またPu240は不純物が多く、
不発の確率が非常に高いために、
こんなもので軍用核爆弾を製造する国はありません。

反原発・反核論者たちは、日本人が
スーツケースに不発かもしれない手製原爆を入れて、
平壌や北京に持ち込むとでも思っているのでしょうか(失笑)。

では次に仮になんとかして核爆弾を作ったとします。
しかしまだ高いハードルがあります。それが核実験です。

核実験をしないと、スペックどおりの性能がでるのか、
不具合がないか検証できません。
考えるまでもなく、日本国内に
核実験場などができる場所はありませんし、
外国が貸してくれるはずもありません。

そこで出てきたのが、コンピータ・シミュレーションで、
なんとかできるのではないかという説が
他ならぬ中国のメディアから出てきました。

中国城市安全研究所副所長の楊承軍教授の説です。

http://news.searchina.net/id/1584694?page=1
コンピュータ・シミュレーション核実験とは、
臨界前核実験のことで、実際の核爆発を伴わずに
バーチャルにやってしまおうということで、
既に核保有国は実用化しています。
楊氏によれば、日本はアブナイ潜在的核保有国で、
すぐに中国を抜くぞと脅かしています。

①日本には世界最大のヘリカル型核融合実験装置があるなど、
核融合技術で世界一流。
②核爆発実験をしなくても高性能の
スーパーコンピュータによるシミュレーションで
核兵器を作る能力がある。
③日本はミサイル搭載用の核弾頭を開発する能力もあり、
極めて短期間のうちに、
「世界第3位の核兵器保有国」になれる。
④日本が核兵器を保有した場合、西太平洋地区、
とくにわが国の安全に対する重大な脅威となる。

●核弾頭保有数(2014年現在)
・1位ロシア・・・8000発
・2位米国 ・・・7315発
・3位フランス・・・300発
・4位中国  ・・・250発
・5位英国  ・・・225発

つまり、楊氏は日本は中国を越える
核兵器の保有が短期間で可能だと言いたいようです。

①はほんとうです。日本の核融合技術は
水爆の技術とダブりますが、後述するように
原爆と同じ技術的ネックを抱えています。

④の、日本が核兵器の核兵器の運搬手段を
保有しているというのも事実です。

かつてはH2型ロケットしかなく、
軍用ミサイルには不適格でした。

ペイロード(搭載量)は大きいのですが、
なにぶん液体燃料ですので発射まで
時間がかかりすぎるのです。

とろとろと発射台で燃料を詰めていたら、
返り討ちにあってしまいます。

軍用の核ミサイルはすべて固体燃料です。
ところが、これが日本には存在します。

2年前、日本独自技術で作り上げた
固体燃料ロケット「イプシロン」です。
これは素晴らしいロケットです。
イプシロンロケット - JAXA|宇宙航空研究開発機構
2018年1月18日 更新
イプシロンロケット3号機 打ち上げ成功!

このイプシロンは、人工知能を有しており、

自ら数万パーツの部品の不具合をチェックし、
LAN(ローカルエリアネットワーク)で
自己診断してしまいます。

これは世界最初の技術で、すごいぞ、JAXA!

この自己診断機能により発射人員はわずかで済み、
大規模な発射基地は不要となりました。

その結果、打ち上げ費用は30億(目標値)という
驚異的な費用圧縮に成功しています。

こんな素晴らしい夢を満載したロケットに、
核爆弾を積むと言い出したら
JAXAのロケット技術者は号泣するでしょうね。

日本のロケット技術者は世界で唯一、
平和目的のみのロケットを作れるので、
世界中の同業者から
うらやましがられている存在だからです。

しかし、世界でもこれほどまでに
潜水艦発射型核ミサイルに適したロケットは
存在しないのも、悔しいですが事実です。

問題は、②のコンピュータ・シミュレーションで、
実際の核実験に置き換えられるかどうかです。

この楊氏の説は半分がほんとうなので困るのですが、
半分はほんとうです。

米国やフランスは既にはスパコンで
臨界前核実験をシミュレートする技術が確立しています。

しかし、ではなぜかつてフランスが
臨界前核実験の技術を持っていながら、
世界の批判を尻目にしてムルロワ環礁で
核実験を強行したのでしょうか。

それはコンピュータに
入力する実データが必要だったからです。

実データは、現実に核爆弾がどのように作動し、
どのような破壊力をもつのかは実験せねば得られません。

日本に実データがあるはずかありません。
外国から提供を受けるしかないわけです。
米国がくるれはずもありません。
ですから、日本に世界一のスパコン技術が
あろうとなかろうと、
元種がないのでは手も足もでません。

というわけで、考えにくい想定ですが、
米国了承の下に核兵器を製造するならば、
わが国は核兵器とその投射手段の
基本技術だけは有しているから可能というわけです。
しかし、それだと米国からの自立と
独自核抑止力獲得の目標ははかなく消えますね。

というわけで、問題は政治的な課題になっていきます。

0 件のコメント:

コメントを投稿